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台湾・コロナ対策事例から学ぶデジタル技術の活用
APリスクアドバイザリー ニュースレター(2021年3月1日)
日本では2020年1月7日に2度目となる緊急事態宣言が発出され、人の行動が大きく制限される状況が続いています。一方、日本からわずか2,000km離れた台湾では、人々は自由に外出、活動しており、各企業は尾牙(旧暦の忘年会)を楽しんでおります。
確認された感染者が40万人を超えた日本と、未だに1,000人未満の台湾の大きな差は何でしょうか。台湾では違反者には最大300万円以上の罰金が科される等、隔離措置の違いもその要素のひとつとしてよく取り上げられますが、本稿では台湾におけるデジタル活用の巧みさに着目します。
台湾コロナ対策におけるデジタル活用事例
■住民全員が確実にマスクを買える環境を整える
- 全6,000カ所以上の販売拠点でのマスクの在庫が3分ごとに自動更新されるマップの開発
- インターネットやスマートフォンアプリでマスクを予約購入し、コンビニやスーパーなどで受け取れるサービスの展開
■感染者の行動履歴管理および濃厚接触者を特定し、通知する
- 施設や飲食店入店の際、来館(入店)日時と氏名、連絡先の登録が義務付けられ、感染発覚時に移動履歴を特定
- 同じ場所、同じ時間に感染者がいた場合通知され、PCR検査、接触の濃度に応じて隔離と経過観察を義務付け
(例: 施設・飲食店での履歴管理のための掲示・アプリイメージ)
※全てのビル、飲食店が対象となっているわけではありませんが導入事例は徐々に増加しており、速やかな対象の特定および情報共有に役立っています。
特に注目すべきは導入スピードです。例えば、2020年1月20日にCOVID-19感染確認第1号が発見された後、わずか約2週間後の2月6日にマスクアプリを実用化しております。適切かつ迅速なデジタル活用の背景に、行政院政務委員・デジタル担当の唐鳳(オードリー・タン)氏等、IT専門家の活躍は既知のことかと思われます。
適切な対応の結果、台湾での感染拡大は最小限に抑えられ、経済活動との両立を実現しました。行政院の発表によりますと、2020年のGDPは前年と比べて速報値で2.98%増加しました。コロナ禍において世界でも数少ないプラス成長を記録した事例となりました。
この成功事例は、日本の企業活動にも応用可能であると筆者は考えております。IT専門家の支援によって実現する適切なデジタル活用は、Withコロナ時代においても競争優位性を高める重要な要素であると考えます。
事実、台湾の多くの企業ではデジタル化を推進しており、2021年までにDX(デジタルトランスフォーメーション)関連事業が台湾のGDPを更に150億米ドル(NTD 4,000億超)押し上げるとの予想も出ています。例えば台湾で成長著しい製造業では、生産管理業務の一部をロボット化することでコスト削減と品質の向上を実現しております。またリテール業においてはCRMとSNSを連携させ、カスタマージャーニー分析に活用する手法はもはや一般的になりつつあります。また台湾に拠点を置く日系企業も2020年以降、デジタル化推進が加速していることを現場で体感しているようです。
企業に見られるコロナ禍での主要課題と、デロイト トーマツの支援(例)
デロイト トーマツのリスクアドバイザリーは、豊富な経験を備えたIT専門家が多数在籍しており、企業のニーズと状況に応じた適切な支援を行うことが可能です。例えば、企業が抱える課題とデロイト トーマツの支援には以下のようなものがあります。
課題:コロナ禍に優先対応すべき課題点の整理と、戦略の立案が不十分
- リスク評価支援
- 経営戦略に沿った、デジタル活用戦略の立案
- 支援事業継続化計画の策定
課題:自粛要請により紙ベースの業務継続が困難に
- ペーパーレス化推進
- RPA導入による業務最適化
課題:コロナによって変化した顧客ニーズへの対応が不十分
- CRM導入による営業支援
- SNSを活用したカスタマージャーニー分析支援
課題:テレワーク導入による情報漏洩リスクの増加
- ITインフラ評価
- セキュリティ対策の立案と推進
著者:三木 悠一
※本ニュースレターは、2021年3月1日に投稿された内容です。
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