最新動向/市場予測
幾分楽観にシフト:2020年マクロベースラインシナリオ/米中合意の光と影:第三国への負の影響に留意 他
リスクインテリジェンス メールマガジン Vol.54(2020年1月)
リスクの概観と金融規制の動向に係る概観について、留意すべき特徴点を炙り出すと同時に、有限責任監査法人トーマツ リスク管理戦略センターが考える意見も発信いたします。
目次
- 幾分楽観にシフト:2020年マクロベースラインシナリオ
- 米中合意の光と影:第三国への負の影響に留意
- 英国で取り組みが加速するオペレーショナル・レジリエンス対応
- 講演情報
- リスクインテリジェンスメールマガジン
リスクの概観(トレンド&トピックス)
幾分楽観にシフト:2020年マクロベースラインシナリオ
有限責任監査法人トーマツ
リスク管理戦略センター
ディレクター
勝藤 史郎
2020年は、予想外の地政学イベントで始まった。1月2日米軍は大統領の命令によりイランのソレイマニ司令官を殺害、イランはこれに対し報復攻撃を実施、米・イラン間の軍事的緊張が一気に高まった。しかしながら、トランプ大統領がこれ以上の攻撃は差し控えることを表明したことから、現状全面的な武力衝突には至っていない。WTI原油先物価格も米・イラン間の緊張を受け一時1バレル=60ドル台半ばにまで上昇したが、その後は同60ドル前後の元のレンジに回帰している。こうした状況から、中東における地政学リスクは上昇したものの、米・イラン関係が今後武力衝突に発展する可能性は高くなく、また原油価格への影響も限定的とみておきたい。
マクロ経済の動向(トレンド&トピックス)
米中合意の光と影:第三国への負の影響に留意
有限責任監査法人トーマツ
リスク管理戦略センター
マネジャー
市川 雄介
米中両国は通商を巡る「第1段階」合意の署名にこぎつけた。土壇場での署名撤回などといった最悪の事態は免れ、中国の補助金問題などの構造協議を第2段階の交渉に先送りする形で、両国の貿易摩擦は一時休戦となった。関連する新聞記事数から算出される通商政策不確実性指数(TPU)は、トランプ政権発足後に急上昇していたが、足許(1月10日時点)は大きく低下している(図表1)。通商政策の不確実性の高まりは有意に世界のGDPや貿易を押し下げていたことが指摘されており 、今般の米中の緊張緩和の動きは、目先の世界経済には一定の追い風となり得る。
金融規制の動向(トレンド&トピックス)
英国で取り組みが加速するオペレーショナル・レジリエンス対応
有限責任監査法人トーマツ
リスク管理戦略センター
シニアマネジャー
対木 さおり
英国でオペレーショナル・レジリエンス強化の取り組みが本格化している。オペレーショナル・レジリエンスとは、テロやサイバー攻撃、通信や電力などの障害、自然災害等に起因する業務の中断に対して、いかに柔軟に業務を回復・継続するかに対する金融機関の対応能力のことを示す。昨今、AIやFinTech(フィンテック)等の新たな金融テクノロジーの発展に伴い、重要な業務を第三者(サードパーティ)に委託するケースも増加しており、英国のオペレーショナル・レジリエンス対応は、外部に委託する重要業務の中断に対する回復までをも対象とするものである。
講演情報
【外部講演】
2020年1月時点の講演情報はありません

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グローバルな視点からみた、企業経営上の様々なリスクをチェックするリスクインテリジェンス メールマガジン(グローバル・リスク・ウォッチ)では、毎月、過去一ヶ月間に起きた事象を振り返りながら、事業リスクという視点から、多くの金融機関や事業法人が留意すべき特徴点を炙り出します。同時に、様々なリスク管理や金融規制上のトピックに関し、デロイト トーマツ グループの一員である有限責任監査法人トーマツ リスク管理戦略センターが考える意見も発信していきます。
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