サービス

国際税務コンプライアンス業務(FATCA, CRS, QI, QDD)

国際税務コンプライアンスの課題と税務リポーティングをナビゲート

蓄積されたノウハウおよび米国税務に関する知見を生かし、コンプライアンスプログラム構築支援、IRSへの登録支援、税務報告、外部検証、最新情報の提供等、ご要望に応じた最適なサービスを提供します。

制度の概要

これまで国際税務コンプライアンスの分野において、米国は主導的な役割を果たしており、まず、2001年にQI(Qualified Intermediary)制度を導入、その後、多数の国と協定を締結した上で2014年には、FATCA(Foreign Account Tax Compliance Act)を開始しています。米国人を特定するFATCAが世界中に浸透したことにより、今度はその枠組を使い、世界各国の居住者を特定する、CRS(Common Reporting Standards)が導入されています。QI, FATCAは、米国の税法ですが、CRSは、OECDが、CRSという基準を作り、賛同する国は、各国で法令を定めた上で、それらの国の間で、情報を交換しています。日本では、2017年1月から租税条約実施特例法を改正し、導入されています。

さらに新しい動きとして、QDD(Qualified Derivative Dealer)とCARF(Crypto-Asset Reporting Framework)があります。

米国株式を参照する金融派生商品を利用し、直接米国株式を保有することなく、米国株式を保有することと同様の経済的効果を生み出す取引に対して対策を講じるため、IRS(Internal Revenue Service)は2017年に内国歳入法871条(m)およびその関連規則を導入しました。これに伴い、2017年QI契約において、相対取引の金融派生商品を取扱う金融機関に対する制度としてQDDが導入されています。日本の金融機関においても、米国証券の信用取引やCFD(Contract for Difference)を取扱う場合等で、既に数社の金融機関がQDD資格を取得しています。

また、OECDにおいて、新しい暗号資産報告の枠組みであるCARFおよびCRSの改正が公表され、国際税務コンプライアンスの分野がますます強化され重要性を増しています。

サービス概要

デロイト トーマツでは、国際税務コンプライアンスに関する多くの知見を有し、日本において200社を超える金融機関にさまざまなサービスを提供しています。

複雑で進化しつづけるグローバルな情報のリポーティング要件に準拠することは、組織や金融機関にとって大きな課題となっています。必要なデータを手作業で収集すれば、成長やイノベーションへの集中など、より戦略的な業務に割ける時間やリソースが費やされることになってしまいます。

私たちのグローバル情報リポーティングサービスは、さまざまな税務リポーティングサービスを通じ、クライアントが規制やコンプライアンス上の責務を果たせるよう、事業への影響を最小限に抑えながら、アカウントホルダー、顧客、投資家の情報を特定し、ドキュメント化し、税務当局に報告するサポートを行います。私たちは、規制上の情報報告に関する改定に対する深い理解と、複数の管轄区域のコンプライアンスを実現した豊富な経験を兼ね備えています。

また、私たちは、FATCA、CRS、QI規則など、グローバルな情報のリポーティング業務におけるテクニカルアドバイス、ギャップ分析評価、実装支援、プロセスレビューを提供しています。税務申告書作成や税務調査対応の改善を目指す国際機関に、QIおよびWP (Withholding Foreign Partnership)の戦略レビューも提供しています。デロイトのネットワークを通じて、専門的な管轄区域の知識を活用し、クライアントが最善の意思決定を行えるよう支援します。

サービス例

QI

2023年から有効となっている新QI契約対応を全面的にサポートします。また、米国事業体が発行するサムライ債がQI対象となったことに加え、米国株式を参照する一定の金融派生商品を取り扱う場合には、QI資格を取得した上でQDD(Qualified Derivatives Dealer)としての対応も必要となっています。

デロイト トーマツでは、新規にQI/QDDとなることを予定されている金融機関に対して、QI/QDD契約申請から、コンプライアンスプログラムの構築、様式1042Sの電子申告まで、米国税務のプロフェッショナルが安心のサポートを提供します。

FATCA

日本の金融機関は、日米政府間声明だけではなく、FFI契約、米国財務省規則の規定に準拠したFATCA対応が必要となり、特定した米国人等については、Form8966(FATCA報告)により、直接米国のIRSへ電子報告が必要となります。

また、パススルーペイメントにおける源泉徴収の導入の延期や、米国資産の売却額・償還額に対する源泉徴収の取りやめ案の公表など、多くの課題が積み残された状態で、FATCAはスタートしています。デロイト トーマツでは、デロイト トーマツ税理士法人の米国税務のプロフェッショナルと、有限監査法人トーマツの金融スペシャリストが連携し、FATCAの規則を適切に理解し、日本の金融機関に最適なサポートを提供します。

OECD CRS

既に100カ国を超える国々が、賛同を表明しており、日本も2017年から導入しました。FATCAと大きく異なるのは、国内法が制定され、金融機関は日本政府に報告することとなります。それ以外にも、FATCAとは微妙に異なる点が多数あり、また、米国人だけではなく、世界中の多くの居住者が対象となることから、非居住者の管理の徹底、各国納税者番号の取得、管理、報告等、多くの課題が残されています。国内法が制定され、不遵守に対する執行規定も制定されました。

また、国税庁による調査が始まり、徴求済みの届出書や顧客属性の確認が行われており、より厳格な対応が求められることとなります。

プロフェッショナル

前田 幸作/Kosaku Maeda

前田 幸作/Kosaku Maeda

デロイト トーマツ税理士法人 パートナー

米国公認会計士(イリノイ州/ハワイ州) 電機メーカーに勤務後、ニューヨークに拠点を置く大手会計事務所の日系金融部門で経験を積み、2004年に税理士法人トーマツ(現 デロイト トーマツ税理士法人)に入社。FATCA(外国口座税務コンプライアンス法)に関して、多数の金融機関にサービスを提供しており、数多くの論文・ニュースレターを執筆している。また、QI(Qualified Intermediary)制... さらに見る