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ナレッジ
Future of Telecom 2030
通信事業者の将来のビジネスモデル
通信事業者は幅広い事業領域で、高品質のコネクティビティを提供しており、ユーザーにとってはネットワークが存在しない暮らしやビジネスはもはや想像できない次元に達しています。一方で、ネットワークに接続することが当たり前になり、あらゆるモノ・情報がつながる世界のなかで、実際に必要とされ、利用されているのは「サービス」です。
2030年までに、通信事業者はどんなシナリオを選ぶのか?
本稿は、デロイトがセンター・フォー・ザ・ロング・ビュー(CLV)のシナリオ方法論に基づき通信セクターを分析したものです。
顧客との接点のあり方が進化し、これを支えるネットワーク技術の高度化と効率化もさらに追求されていく、こうした環境変化のなかで通信事業者が採りうるシナリオはどういったものなのか、2030年の将来を見据えて、市場を生き抜くために自身をどう定義する必要があるのかを論じており、日本の通信業者にとっても示唆に富む内容となっています。
株主価値を最大化するために、通信事業者はネットワークインフラと、顧客リレーションの両方の保持者であることを追い求めるのでしょうか?あるいはいずれか一方を選択し集中していくのでしょうか?
4つのシナリオ
本稿はデロイトのシナリオ開発アプローチにより、顧客リレーション軸と技術支配軸を用いて4つのシナリオを描いています。
シナリオ作成プロセス
自然言語処理(NLP)アルゴリズムにもとづく広範囲な調査、デスクトップ調査、専門家らの洞察をもとに、通信業界の将来を形成するドライバーのロングリストを作成し、これらを分析したのち、5つのカテゴリ(社会、技術、経済、環境、政治)に分け、不確実性の程度と通信業界への影響度に応じてランク付けを行った。
業界のクライアントからのフィードバックやデロイトTMT コミュニティの専門家の知識をもとに、本稿における検討領域にある影響度および不確実性の高いドライバーは、すべて重大な不確実性へとクラスタリング(軸を設定)した。次に、クラスタのコンセプトをより深く理解できるよう、不確実性および影響度の低のドライバーで強化した。その後、こうした重大な不確実性の相互依存と組み合わせの関連性についてテストを行った。このプロセスによって、「(ネットワーク)技術層の支配」と「従来の顧客リレーションのオーナーシップ」という2つの軸をもつ1つのシナリオマトリクスが導かれた。
シナリオ1: エンジニアによる巻き返し
「エンジニアによる巻き返し」のシナリオでは、通信事業者が顧客リレーションはもちろん、ネットワーク技術領域とインフラも制する。これは通信事業者がたどってきた道、そしてこういう結末を迎えたいと望むシナリオである。彼らは自社の技術力でネットワーク・イノベーションを牽引し、資産を維持、運用する能力を備えている。さらに通信事業者は顧客関係を一層制することで、バリューチェーン全体に注力できる。収益制御点を支配し、B2BやB2Cの顧客に直接アクセスできる。
シナリオ2: 新たな卸売の真実
シナリオ「新たな卸売の真実」では、通信事業者が長きにわたり大切にしてきたエンドユーザーの制御点をついに失う。市場で成長し、勝ち抜くためにまだコア・コンピタンスを有する部分であるネットワーク技術に関して再び主導権を取り戻しに来ている。
シナリオ3: 仮想通信事業者
シナリオ「仮想通信事業者」では、通信事業者は顧客とのリレーションを有する第一人者としての立場を保っている。しかし、ベンダーや新たなインフラ企業となりネットワークへ参入してきた企業へ技術領域の支配権を完全に明け渡してしまうため、ネットワーク層からは退いている。
シナリオ4: ベンダーブランド
シナリオ「ベンダーブランド」では、通信事業者は顧客リレーションと技術支配の両方の領域から追い出されてしまっている。彼らは極わずかに残った能力に注力し、市場との関わりを維持するため、最適なポジション確立に努めている。かつての市場を支配していた頃の面影は鳴りを潜め、B2B顧客を対象としたテクノロジー企業の子会社となり卸売販売チーム及びサービスチームとしての働きを担っている。
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