ナレッジ

企業の生成AI活用を補強するインテリジェントオートメーション

生成AI等の先端技術の活用は重要ですが、早急に実利を得るには、既に存在する自動化技術との融合が重要です。従来技術を統合し、継続的にプロセスを最適化するには、インテリジェントオートメーションと呼ばれるプロセス管理や、RPA技術を駆使したデジタルワーカーの活用が肝となります。インテリジェントオートメーションと生成AIを融合することで異次元の生産性やDXを追求することが可能です。

企業を取り巻く労働環境の変化

労働人口、労働環境に大きな変化が生じています。例えば金融機関では多種多様、かつ膨大な量の事務を極めて正確にこなすことが求められますが、その実務を支えてきた世代が今後、大量退職を迎えます。また終身雇用を前提とした雇用形態が崩れており、長期雇用を前提とした俗人化した業務を継続することは困難です。上記に加えて、一部金融機関において導入された、同意なき転勤の廃止やCOVID-19の影響もあり、働く場所を固定する業務オペレーションも成り立ちえません。

この環境変化を踏まえると、既存のオペレーションモデルは持続可能とはいえず、新たな手法によるオペレーション全体のDXが不可避の状況にあります。

 

インテリジェントオートメーションによる業務変革/DX

従来、多くの企業はペーパレス・WF化、ルールベース自動化、AI・RPA活用などで生産性向上に取り組んできました。生成AIなど新たな技術も出現するなか、今後の更なる生産性向上には、個別技術単体に飛びつくのではなく、様々な自動化技術の融合が重要となります。従来技術を統合し継続的にプロセスを最適化するには、インテリジェントオートメーションと呼ばれる統合技術の活用が肝です。インテリジェントオートメーションは、以下の3つの統合技術で構成されます。

①プロセス管理・・・チャネルとタスク管理を行い、業務全体の統制をおこなう。ワークフローに応じて、人とデジタルワーカーへの作業指示を行い適切なコラボレーションを実現

②RPA技術を駆使したデジタルワーカー・・・既存システムに手を加えずに自動化、及びAPI構築が可能

③プロセス可視化/モニタリング

 

生成AIとインテリジェントオートメーションの融合

生成AIは企業の業務変革に大きな影響を与えます。生成AI出現前は、用途ごとに専門家がAIを構築する必要がありました。一方、生成 AIは「言葉」でその挙動を変えられる「汎用性」から、AIの導入効率が格段に上がるが精度は課題となっています。知識を補完・精度を上げる手法には、LLM自体が知識を学習する特化型LLM(ファインチューニング)と、質問文をクエリとして関連DBを検索して回答文を整形するRAGという手法があります。RAGにおいては、独自情報の検索・関連情報取得が生成AIの回答精度を向上させることに重要です。一方、分散した情報ソースから取得・整形する必要があり、インテリジェントオートメーションとの融合が重要となります。RAGを利用するための関連情報の検索キーから、インテリジェントオートメーションが複数の関連システムから情報を取得してLLMに投げることで、顧客特性に応じたパーソナライズされた回答が生成でき、精度や個別化といった課題を解決できます。

このように、生成AIだけでは実現できない業務変革を、インテリジェントオートメーションをハブとした既存技術との融合で実現できます。一つの技術に頼ることなく、技術の融合を柔軟に実現できる統合基盤を会社の資産として構築しておくことが、技術変化の激しい世の中で実利を得るために重要であるといえます。

 

アバターとの融合によるヒューマンライクなCX

テキストでの対応がメインの生成AIとアバターを組み合わせることで、音声や温かみのある表情などのヒューマンライクな応対により、顧客にはCXに優れた体験を提供することもできます。アバターなどのCXに直結する技術は、今後も更に進化することが予想されますが、個社業務に活用するには裏側の既存システムとの連携が必須です。その司令塔となるのがインテリジェントオートメーションであり、既存技術融合のハブとなります。

デロイトが作成した生成AIとアバターによる接客のデモ。顧客の音声を聞き取り、要望に合った商品を提案している。

先端技術の探索と、既存技術・情報の融合プラットフォームを整備することを両面から進めることが企業のオペレーティングモデルの変革に重要となります。

 

インテリジェントオートメーションの導入に向けて

インテリジェントオートメーションをハブとして、企業の生産性を劇的に向上させるためには安定稼働するITソリューション、製品が重要です。また、それらの先端的なソリューションを活用した意欲がある企業、アーリーアダプターの存在が重要です。

デロイトは、インテリジェントオートメーションの最大手であるSS&C Blue Prismとグローバルでアライアンス関係にあり、2024年夏には同社と金融機関向けのラウンドテーブルを実施しました。当日は30社を超える企業が参加し、将来の金融機関のオペレーションモデル、特にインテリジェントオートメーションや生成AIの活用について議論し、業務効率化やDXに対する強い意欲や高い期待の声が聞かれました。

 

インテリジェントオートメーションや生成AIの活用についてご関心をお持ちの方は、お問合せフォームよりご相談ください。

お役に立ちましたか?