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文章生成AIで学べる、実践的なフェルミ推定 

文章生成AIの役割付与を活用したロールプレイ・トレーニング 

生成AIの登場が話題になっており、その活用方法や規制などについて多くの企業や政府で議論の対象となっています。生成AIでは様々なタスクを行うことが可能であり、我々の仕事や生活に大きな影響を及ぼすものといわれています。 生成AIには無限に近い活用方法がありますが、本稿では、文章生成AIに先生役を務めてもらい、コンサルティングファームや金融業界の面接でよく聞かれる「フェルミ推定」のトレーニングを行う方法を紹介します。

1. フェルミ推定とは

フェルミ推定とは、一見予想もつかないような数字や、調査しないとわからないような数字を、論理的思考能力を頼りに概算することです。例えば、「日本にある駅の数」や「一日に飲まれるコーヒーの量」などといった問いに対し、一般的に明らかな数字(都道府県の数や日本の人口など)や身近な情報(駅間にかかる時間やコーヒー好きが一日に飲むコーヒーの量)を組み合わせ、論理的に答えを概算していきます。フェルミ推定は、限られた情報を駆使して、論理的に思考することが重要視される職業(コンサルタントなど)の採用面接でたびたび出題されています。

2. 文章生成AIにフェルミ推定の問題を出題してもらう

早速文章生成AIを使用してフェルミ推定のトレーニングを行います。文章生成AIは先生として、問題の出題、回答の解説、さらには生徒役(ユーザー)の回答の傾向や改善点のフィードバックまでしてくれます。文章生成AIに先生になってもらい、トレーニングしていくための手順を紹介します。

①まずは、文章生成AIにお願いしたいことを指示する

文章生成AIにお願いしたい役割を伝えます。以下のようなことを伝えると役割を理解してくれます。

  • 先生役をやってもらうこと
  • 生徒に難易度を選択させ、その難易度に応じたフェルミ推定の問題を出題すること
  • 生徒役(ユーザー)の回答が正しいかを判断し、誤っている場合は回答・解説を行うこと
  • 3問終えた時点で生徒役にフィードバックを行うこと

 

実際の入力文は以下になります。(英文で入力した方が正しく動作する傾向にあります)

 

②トレーニング開始・難易度の選択

役割を指示するとトレーニングが開始されます。指示通り、まず問題の難易度を聞かれます。 まずは初級を選択してみます。すると、早速出題してくれます。 

 

③問題に回答する

正解編

初級編、最初の問題は「地球上にある車の数」です。フェルミ推定の設問としては確かに初級レベルです。生徒として、車の数の定義(今回は自家用車の台数)や算出方法といった考え方を含めて文章生成AI先生に伝えてみます。するとすぐに文章生成AI先生が正解・不正解判定+回答へのフィードバックをしてくれます。

不正解編
3問出題するように指示を出したので次の問題を出題してくれます。今度は「ピザの注文数」を求めるようです。一日にピザを食べる人の数、その人が注文するピザの枚数を考えれば、正解が求められそうですが、今回はあえて間違った答えを伝え、文章生成AIが不正解時にどのような反応をするのか見てみます。
世界の全人口が皆ピザを1回注文すると回答してみます(80億人×100%×1回=80億回…多すぎる値です)

文章生成AI先生は、的確に答えが不適切と判断しました。そして、ヒントをくれ、もう一度考えるチャンスをくれました。
今度は正解を目指し、ピザを多く消費する国とそうでない国に分けた上で注文率を乗じた数を回答します。

正解したようですが、細かな計算ミスを指摘されています。文章生成AIは正確に採点を行うようです。

ヒントをもらう
最終問題は「サッカーボールの生産量を求めよ」とのことです。最終問題とあって、難易度が高いのでヒントを要求します。

文章生成AI先生はヒントをくれました。
1つ目のヒントと2つ目のヒントをもとに、世界のサッカー人口×交換周期で回答すると

 

正解とのことで、褒めてくれています。

 

 

 

④フィードバックをもらう

最初に文章生成AIに役割を指示した際に3問終えた時点で生徒役にフィードバックを行うことを伝えていたので、フィードバックをもらうことができます。

全体的に褒められており、親切に今後の取り組み方についてもアドバイスをくれます。

番外編~上級の問題~
難易度を最初に選びましたが、上級を選択すると以下のような出題がありました。難易度も適切です。
上級問題は難しい内容となっており、フェルミ推定が得意な方におすすめです。

 

 

 

 

3. 文章生成AI先生にフェルミ推定のトレーニングをしてもらった感想

文章生成AI先生は適切な問題を出題してくれており、生徒が分からない問題に対してはヒントをくれたり丁寧に解説をしてくれたりしている印象を受けました。(ピザの注文数やサッカーボールの生産数などは、文章生成AI先生がどこまで正解を知っているのかは不明です)
また、フィードバックも的確で、無料で行えるトレーニングとしては十分であると感じました。
今回はフェルミ推定のトレーニングを行いましたが、他の分野の学習にも活用できそうです。学生であれば、英作文の練習や化学の知識を問う問題なども出題してくれるでしょう。社会人であれば、いずれ研修の教材の一つとして、文章生成AIが用いられるかもしれません。

4. おわりに

今回は、文章生成AIの応用的な使い方として、文章生成AIを用いてフェルミ推定の学習トレーニングをする方法を紹介しました。文章生成AIをはじめとした生成AIの活用方法の可能性は無限大であり、今後も様々な活用方法が登場することを期待しています。生成AIを上手に活用しながら、人間と生成AIが共存する、そんな未来の到来が楽しみです。  

(注)AI生成物の内容について、その正確性、完全性、特定目的への適合性その他一切の保証をしないものとします。 

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