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【ビジネスパーソン必見!】生成AIが組織・人事領域にもたらす変化と必要な備え

デロイト トーマツ コンサルティングの組織・人事領域のエキスパートが解説する最新生成AI活用

このインタビューシリーズでは、デロイト トーマツ コンサルティングに所属する各業界・領域の専門家が、各業界・領域における最新のAI活用事例と生成AIに関するデロイト トーマツならではのソリューション提供につい解説していきます。 第五回は、HC(Human Capital)Division 田中公康が生成AIが組織・人事領域に与える影響、生成AI活用に向けて必要な準備などを解説していきます。

1. 解説者紹介

田中公康
デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員
ヒューマンキャピタルデジタル(HC w/Digital)推進責任者
デジタル人事(Digital HR)サービスリーダー
DX(デジタルトランスフォーメーション)実現に向けた組織・推進体制や人材育成などをテーマとした、デジタル時代に対応した働き方改革や組織・人材マネジメント変革、などのプロジェクトを多数手掛けている。直近では、HRテック領域の新規サービス開発にも従事。講演・執筆多数。

主な著書に「DX経営戦略~成熟したデジタル組織を目指して~」「ワークスタイル変革」等がある。

2. 組織・人事領域における生成AIのニーズ

――組織・人事領域における生成AIに関連したご相談としては、どのような内容が増えておりますか

田中:人事業務には採用・評価・異動、特に採用や評価業務における生成AI活用のご相談が増えています。その中でも人事業務の効率化に関するご相談が増加していますね。従業員からの処遇・勤怠ルールといった人事関連の問い合わせ対応を生成AIで効率化・高度化できないかといった内容です。これまでも人事業務の高度化・効率化に関するご相談はいただいておりましたが、生成AIを活用することでもう一段進められないかといったご相談が寄せられています。
経営層・役員の方からは人材(人的資本を絡めて、人材戦略や人材ポートフォリオなど) に関するご相談も増えてきています。生成AIの普及により今後必要となる人材、必要な役割や求められるスキルはどのように変化するのかといった内容です。生成AIの普及により業務内容が変われば当然必要な人材や人材評価観点も変わります。組織の構成員に生成AIが加わった際に人や組織をどう変えていくべきかという点に関心が高まっています。

3. 事例・デロイト トーマツならではのサービス

――組織・人事領域における生成AIを活用した具体的な案件事例を教えてください

田中:そもそも生成AIで何ができるのかという問い合わせや、生成AIがもたらす変化やインパクトに関する意見交換のご依頼を多くいただいております。そうしたご依頼の中から、生成AI活用による人事業務の効率化や高度化のPoC支援を行った事例もあります。また他にも、生成AIをどのように活用するのか考えるワークショップや、CHRO・人事部長向けのセミナーなど行っています。

――組織・人事領域における生成AI関連のご相談に対し、デロイト トーマツだからこそ提供できるご支援はどういったことですか

田中:デロイト トーマツは組織・人材領域において、豊富な経験とノウハウを有しており、組織・人事領域のコンサルティングにおいては国内でも有数の規模となっています。ご支援できる領域も方針・戦略策定から実行支援までと幅広いです。デロイト トーマツの強みは、組織・人材領域における幅広い知識・経験と、最新テクノロジー導入や利活用の支援 によりクライアントのニーズに応えることができる点であり、クライアントからもそうした点を評価いただいております。

4. 生成AI導入や活用にあたって必要な準備とメッセージ

――組織・人事領域において、生成AIはどのような影響を与える可能性がありますか

田中:組織・人事領域において、生成AIは大きく4つの影響を与える可能性があると考えます。
まず1つ目は、人事業務の効率化・高度化への影響です。Well being・人的資本経営など人事業務が増加・複雑化する中で、業務を効率化し、注力すべき業務を取捨選択する必要がでてきています。生成AIを活用することで、企画や新しいアイデアの検討といった、人が注力すべき業務に人員を集中配置させることが可能になります。そうした業務自体にも生成AIを上手に取り入れることで、単なる業務の効率化だけでなく高度化することもできるでしょう。そもそも生成AIを使いこなすにはノウハウやスキルを持った人材を配置する必要がありますが、それが実現できれば人事部の業務やミッションの達成に大きな成果を期待できます。
2つ目は、働く人々への影響です。生成AIを活用することで、特にオフィスワーカーやデスクワーカーの業務効率化・高度化が期待されます。リモートワークの普及に伴い、バーチャル空間で働くことへの抵抗感も薄れてきていますが、バーチャル空間での業務の中に生成AIを組み込んでいくことはポストコロナ時代における新しい働き方の一つのポイントとなるかもしれません。実際に、生成AIを活用した働き方を模索している企業も増えています。
3つ目は、採用プロセスへの影響です。生成AIとのやり取りを通じて、日程調整や一次スクリーニングなどの採用業務を効率化することができます。さらには、求職者に合わせた会社・募集のポジションの紹介など、魅力付けもできるようになるかもしれません。逆説的ですが、人間の面接官よりも生成AIの方が候補者の考え方、企業とのフィットを客観的に把握できるかもしれません。もちろん生成AIは機械ですので最終的な採用可否は人間が判断すべきですが、一部の採用業務に生成AIを用いることで、採用業務の高度化・効率化が期待できます。今後は、求職者も生成AIを使ってエントリーシートを書くケースも増えてくると思われます。企業として、欲しい人材を獲得するために求職者の力をどのように見極めていくのか、生成AIによる変化や可能性を意識しながら採用のあり方についても模索していく必要があります。
4つ目は、評価基準や評価方法そのものへの影響です。生成AIが普及すると必要な人材・スキル自体にも変化が生じるのでその変化にあわせた評価が必要です。さらに評価自体への生成AI活用も考えられます。採用と同じく、評価においても生成AIを一部活用することで、より客観的な判断が可能となるかもしれません。

――組織・人事領域を担当されているクライアントは生成AIの導入や活用にあたりどのような戦略や準備をすべきと考えますか?また、生成AIの導入・活用・規制などで悩まれているクライアントにメッセージをお願いいたします

田中:新しいテクノロジーやツールは実際に使ってみることが重要です。実際に使用することで、ノウハウや考え方を蓄積することができます。また、テクノロジーは日進月歩で進化しているため、常に最新のノウハウや考え方をキャッチアップしていく必要がありますが、実際に使用することでキャッチアップも可能になります。
新しいテクノロジーの導入には、リスクに対する懸念もありますが、ある程度リスクを許容し、チャレンジしていくことも重要です。

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