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【ビジネスパーソン必見!】中国市場における生成AIの特徴やニーズ、最新トレンド

デロイト トーマツ コンサルティングの中国市場エキスパートが解説する最新生成AIトレンド

このインタビューシリーズでは、デロイト トーマツ コンサルティングに所属する各業界・領域の専門家が、各業界・領域における最新のAI活用事例と生成AIに関するデロイト トーマツならではのソリューション提供につい解説していきます。 第四回は、現在デロイト上海オフィスに駐在しているSAM(Strategy, Analytics and M&A)Division 池田晋吾が中国市場における生成AIの特徴や最新動向からニーズや今後の展望などを解説していきます。

1. 解説者紹介

池田 晋吾
デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員
自動車産業や商社を中心とし、幅広く日系企業に対して新規事業戦略、新規参入戦略、M&A戦略、販売戦略等の支援を実施。2009年よりシンガポールを拠点とし、東南アジア全域での日系支援のコンサルティングサービスで豊富な経験を有する。2019年6月より上海に駐在。

2. 中国市場における生成AI活用の動き・状況

――中国市場における生成AI活用の特徴や直近の動き、その背景を教えてください

池田:外国製の生成AIサービスの利用規制が導入されたことが直近で最も大きな動きです。2023年8月に中国では、外国製生成AIの国内使用規制が導入されました。規制の背景には、外国製の生成AIを用いることにより体制批判に繋がることや統制が効かなくなることを避けたいといった政府の意図があるといわれています。
外国製生成AIサービス規制の動きから中国では生成AIの活用が遅れるのではないかという予測もありますが、欧米と同様に活用は進んでいくと考えます。なぜなら、中国はこれまでもデジタルを含め独自のガラパゴス的なエコシステムを形成して、発展を遂げてきたからです。また、日本と比べて人口は10倍以上、GDPは約4.5倍と規模の強さ もあります。生成AIは国も注力領域として定めていますし、活用も急速に進んでいます。ガラパゴス化するとしても今後も発展していくでしょう。中国の巨大プラットフォーマーを中心に生成AIの開発も進んでいます。
中国市場は元々ライブコマース、eコマースが進んでいる点が特徴の一つでしたが、ライブコマースやeコマース領域におけるAI活用、新しい活用モデルの誕生も予測されますね。
また、製造業のスマート化・自動化への生成AI活用にも注目です。中国は2022年の共産党大会で「中国式現代化」を掲げ、製造業を中国国内に維持した形で経済を発展させていくことを宣言しました。製造業を国として今後も重要視していく中で、製造業における生成AI活用も進んでいくのではないでしょうか。

3. 欧米と中国市場の生成AIによる影響の比較

――欧米では業界・業種に特化した大規模言語モデル(LLM)が注目を集めていたり、生成AIによる雇用の代替が進んでいたりしますが、中国ではいかがでしょうか

池田:業界・業種に特化したLLMに関しては欧米で活用が進んでいる領域は中国でも同様に今後活用が進むと思います。先ほども申し上げた通り、中国市場はライブコマース・eコマースが先進的であり、それらの業界に特化したLLMが今後進化していきそうですね。
雇用の代替に関しては、一般的には、AIによる雇用の代替は作業が比較的単純な業務からボトムアップで進んでいきますが、中国ではデリバリーアプリの配達などの労働は内陸部からの出稼ぎ労働者が安価に担っていることもあり、欧米と比較するとAIに代替されるスピードは遅いです。ホワイトカラーの定型業務については欧米同様にAIによる雇用の代替が今後進んでいくと考えられます。作業が比較的単純な業務とより複雑で知的な業務が人力で残り、その中間にあるホワイトカラーの定型業務が真っ先にAIに代替されていくというのは中国市場ならではかもしれませんね。

4. 中国ならではのサービス

――中国においても生成AIに関しクライアントからの相談が増えている状況かと思いますが、どのような相談が増えていますか

池田:中国市場に進出している日系企業からのご相談はコスト削減に関する内容が多いです。現地企業との競争が激化する中、コスト競争力で現地企業に大きく差をつけられていることに悩まれ、コスト削減に向けたAI活用をご相談いただくことが多いですね。デロイト トーマツとしてはコスト削減に向けたPoC※や業務改革の支援をしています。
中国に進出している欧米企業からのご相談として多いのは、オペレーションのローカライズ・自動化に関する内容です。中国市場は固有性の高いマーケットかつ規制に伴って迅速な対応が求められることから、欧米企業はAIを活用して業務自体を自動化、非人間化して対応しようと試みています。デロイト トーマツとしても実際にAIの導入を支援するケースが増えてきています。
※PoC...Proof of Conceptの略。新しい技術やアイデアなどの実現可能性や効果などを検証するための工程。

――クライアントのニーズや課題に対して、デロイト中国にはどのようなケイパビリティがあり、どのようなソリューションを提供していますか

池田:デロイト トーマツは、クライアントの悩み・クライアント業務の全体像を捉えた上で、最適な生成AI活用を支援することができます。
中国現地企業との競争が激化する中で、日系企業が中国市場で勝つにはコアコンピタンスに注力することが必要です。デロイト トーマツはクライアントがコアコンピタンスに注力できるように、生成AIなどの技術を活用しながらバックオフィスやミドルオフィスの効率化を支援することも多いです。
また、デロイト トーマツはプラットフォーマーBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)それぞれとのアライアンスを結んでいます。特にアリババとの協業体制は強力であり、プラットフォーマーと協業する形で提案やオペレーションを行えることも強みです。

5. 中国市場における生成AIの展望・生成AI導入における準備

―中国市場における生成AIの今後の展望を教えてください。また、中国において生成AI活用を検討されているクライアントへのメッセージを教えていただけますか

池田:中国市場における生成AI活用はグローバルと同様に今後も発展していきます。一方で、ライブコマース・eコマース、顧客接点のデジタル化といった領域は中国市場独自かつ先進事例が多く生まれています。発展するという点はグローバルと同様ではあるものの、発展の仕方はガラパゴス的になるだろうことが予測されます。
これまでの技術がそうであったように、生成AI活用においても今後、中国ならではの面白く、競争力のあるモデルやソリューションが現れるでしょう。中国市場における先進事例は、グローバルでの戦略を検討する際にも重要な材料となります。デロイト トーマツと共に引き続き中国の動向を注目していきましょう。

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