挑戦によって広がるキャリア|Deloitte AI Institute Spirits #9 ブックマークが追加されました
AIやデータアナリティクスなどの技術は、現場レベルの問題を解決するだけではなく、組織全体の戦略や事業方針といった大きな目標に貢献しうる計り知れない可能性を秘めています。日進月歩で技術が進んでいる今だからこそ、確かな技術力に加え、大きな視点で組織と技術のあり方を捉えられる俯瞰的な視点が必要とされています。
デロイト トーマツ グループの Deloitte AI Institute には、人とAIが協調する社会「The Age of With」の実現に向けて、日夜精魂を傾けつづける先駆者たち「AI Spirits」が多数在籍しています。このインタビューシリーズでは、そんなデロイト トーマツの「AI Spirits」1人ひとりに焦点を当て、AI導入の最前線とその魅力についてお伝えします。
第9回は、長年ソフトウェアベンダーにてアナリティクスシステムの提案、開発に従事した経歴を持ち、金融分野におけるAI/アナリティクス、データ利活用推進システムのスペシャリストとして手腕を発揮しているデロイト トーマツ コンサルティング合同会社Growth & Innovationユニットの鹿渡に話を聞きました。
― 自己紹介をお願いします。
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 Growth & Innovationユニットに所属しています。デロイトのグローバルイニシアチブとなるDAIIの国内での運営にも携わっております。
― これまでの経歴を教えてください。
大学を卒業後、アナリティクスソフトウェアの開発・販売を専門とするソフトウェアベンダーに就職し、長らく顧客の業務課題解決のためのプロジェクトに携わり、AIやアナリティクスを主軸にキャリアを歩んできました。
― デロイト トーマツ グループに転職を決めた理由は?
前職には20年ほど勤務しましたが、このまま1社でキャリアを築くべきか、他の世界も経験するべきかを考え、後者であれば今後の選択肢が広がるだろうと思い転職を決意しました。当初は前職同様のソフトウェアベンダーのコンサルティング部門をターゲットに考えていましたが、転職エージェントさんから薦められたことをきっかけにデロイト トーマツに興味を持つことになりました。
当時の自分にとってデロイト トーマツは「上流コンサルティングやアドバイザーコンサルティングを中心としたファーム」というイメージがあったので、最初はデータ基盤構築やアナリティクスの導入を中心とした自分のキャリア志向とは合致しないかもしれないと思っていました。しかし実際に理解を深めると、「グローバルでは上流部分で描かれた戦略を実現し、システムを実装する、運用を支援するという部分でも幅広く事業を展開しており、日本でもそういった業務を積極的に拡大している」ということで、それなら自分のキャリア志向にも合いそうだと考え、転職を決めました。
― 想定外の展開でしたね
当初は転職先としてコンサルティングファームを第一候補に入れていなかったので、自分でもこのように話が進むとは思いませんでした。しかし、前職での経験も活かせますし、さらにこれまでよりも広範な形でプロジェクトに携わる機会も増えました。自分の世界が広がったなと感じています。
― 転職にあたって、デロイト トーマツで挑戦してみたいことはありましたか?
実はそういった気負いはあまりなくて、自分がこれまでやってきたことを軸として、デロイト トーマツでもきっちり着実にお客様にそれを届けたいという気持ちが強かったですね。
― 現在の業務の内容を教えてください
現在所属しているデロイト トーマツ G&Iユニットは、金融ディビジョンの中のユニットで、主にオファリングの開発、提供を行っています。私自身は、金融のお客様に向けたAIやアドバンストアナリティクスを活用したオファリングの開発・提供を行っています。
― 金融業界におけるAIやアナリティクスの活用状況はいかがですか?
与信分野においては古くからリスクを予測するためにアナリティクス技術が導入されていましたが、他の分野においてもAIやアナリティクスの活用が進んでいます。
例えば、いわゆるリテールビジネス、営業マーケティング支援業務においてAIやアナリティクスの利用が進んでいます。現在の金融業界では多種多様な商品が展開されていますが、お客様の属性と各種データから「このお客様にこのタイミングでこの商品をレコメンドすれば、期待する売上額を最大化できる」といったことをアナリティクスで計算でき、一定の成果が得られています。
リテール以外のさまざまな業務においてもアナリティクスの活用事例を紹介・提供し、社会基盤となる金融業界の課題解決に取り組んでまいりたいと思っています。
― データ活用に対する課題などもありますか?
金融企業においては業務や商品によりシステムが分かれているケースが多く、その場合はデータもそれぞれのシステムで分かれて蓄積され、1人のお客様の体験を業務やシステムをまたがって分析したいけど簡単にはできないということがあります。このような課題を解決するためには、データウェアハウス(組織内でのデータ活用を促進するために業務・システム横断的にデータを収集・統合・蓄積したデータベース)が必要不可欠です。各社、データウェアハウスの構築を進めていますが、特に大きな組織において、様々な業務・システムからデータを収集・統合・蓄積し、上流システムの変更や分析ニーズに合わせて修正・拡張し続けることは容易ではなく、多くのお客様がなんらかの課題を抱えていらっしゃるものと思います。
― AIやアナリティクスを業務に適用するとき、心がけるべきことはありますか?
アナリティクスを導入することで、特定の金融商品の成約確率がこれまでに比べて数ポイント高まるなど、一定の成果が見られることは多々あります。
ただし、すぐに成果を出せるケースもあれば、なかなか成果が出ないケースもあります。出なければ、なぜ出なかったのかを分析すること、そこで得た知見を次の施策に生かしていくこと、こうしたプロセスの繰り返しがとても大事だと考えています。1回か2回試して「結果が出なかったから諦める」のではなく、学ぶべきことをきちんと学んでいけるカルチャーを持つ組織は強いと感じます。試行を繰り返すことで知見やスキルが確実に高まり、実績につなげることができるからです。1回で結果を出すための努力も当然大事ではありますが、改善を繰り返すプロセスも大事です。
― あらためてAIやアナリティクスに関するアプローチにおいて、どのようなところがデロイト トーマツの特徴になりますか?
「AIやアナリティクスを業務に取り入れるだけではなく、組織の中でどう位置づけて活用するか、そうした方針や戦略策定から行えること」「人材や組織設計も視野に入れて、幅広い領域でアドバイザリーコンサルティングを行えること」さらに「コンサルティングだけではなく、実装や運用支援まであらゆるプロセスをカバーできること」がデロイト トーマツの特徴だと思います。
個人的にも、AIやアナリティクスを組織で活用するための戦略策定の段階から携わることになったのが前職との大きな違いであり、幅が広がった部分だと感じています。
加えてデロイトグループはグローバルでビジネスを展開しているため、グローバルな事例やナレッジを蓄積できているのも大きな強みです。
― デロイトのどのようなことに魅力を感じていますか?
世界各国に逸材がいることは前職でも目にしていましたが、デロイトにおいても同様に、グローバルでさまざまなイニシアチブが立ち上がっており、DAIIもその1つです。私が所属するデロイト トーマツ コンサルティングだけではなく、グループ内の各法人からメンバーが参加しているため、組織の壁を越えたネットワークがあります。そうした中でさまざまなキャリアを築いた方と、AIについて会話できる機会があることは、自分にとって大きなプラスになっています。
ちょうど最近、DAIIが中心となり、お客様向けの24時間イベントを開催しました。いわゆる「follow the sun」方式で、昼間の時間帯となる国がファシリテートするようにスケジュールされたイベントで、時間帯ごとに、最初はオーストラリア、次に日本というようにバトンが渡り、中国、インド、ヨーロッパとイベントが進行していきました。日本からも数百人のお客様が参加されましたが、こういうイベントが開催できるのも、やはりグローバルなネットワークを持つ企業ならではの強みだなと思います。
― デロイト トーマツのメンバーはどのような形でキャリアを形成しているのでしょうか
デロイト トーマツでは毎年、個人の目標設定を行うのですが、その際、最初に中長期のキャリア目標を掲げます。この欄には、自分自身が将来成し遂げたいこと、こうなっていたいというキャリア像を記載します。このとき、組織や上司が期待していることや、先輩方の先例を気にすることなく、自分自身のストーリーとして自由に記載すべきだと思っています。
デロイト トーマツは、様々なスキルやキャリア志向を持ったコンサルタントがそれぞれ活躍し、成長できる機会があるファームです。コンサルタントにそのような機会を提供できるのは、コンサルティングファームとしての規模の大きさ・サービスの幅の広さゆえだと思っています。
この中長期のキャリア目標は、プロジェクトの上司や仲間に伝えておくべきだなと思っています。それぞれが自分のキャリア志向を開示していると、より志向に合ったプロジェクトにアサインされやすくなりますし、仲間から「これやってみない?」とアドバイスをもらいやすくなります。
時にはアサインされたプロジェクトがキャリア志向に完全にはフィットしないこともあると思います。しかし、中長期で描いているキャリアパスには必要な経験かもしれませんし、何かの糧になるかもしれません。上司や仲間とそうした会話をする上でも、この目標設定は重要な役割を担います。
― プライベートではどのようなことを楽しんでいますか?
ポップカルチャーが好きです。仕事で忙しい合間に、新しい音楽、ドラマ、映画といったコンテンツに触れるようにしています。特に、今の時代や空気を、新しい表現手法で表した作品が好きですね。近年では各種コンテンツのストリーミングサービスが充実していて、とても便利だなと感じています。
個人的に最も好きなドラマも、現在、まさに世界同時配信されているのですが、アメリカ時間で日曜夜に配信開始されるので、日本だと月曜になってしまいます。いまドラマが佳境に入り、月曜日になると少しそわそわしています(笑)。
― 最後にメッセージをお願いします。
デロイト トーマツにはさまざまなキャリアを持った方々を受け入れられる土壌があります。技術中心にキャリアを築いてこられた方でも、大いに活躍ができる場面があります。皆さんがこれまで培ってきた経験や技術を用いて、業務課題や社会課題の解決を一緒に、楽しく、取り組んでいければと思っています。