Posted: 01 Jun. 2020 2 min. read

いまこそ企業が取り組むべき「資金繰り管理」と「資金創出策」

【シリーズ】COVID-19とレジリエンス経営

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が企業に大きな影響を及ぼしている。急速に悪化する財務状況を受けて、企業は今後抜本的な事業再構築、いわゆるリストラクチャリングといった取り組みが必要となるが、まず足元では手元流動性の確保、そのための「資金繰り管理の強化」と「資金創出策の立案と実施」が極めて重要な基盤となる。ここではその2つについて企業の課題とそのためのアプローチを解説する。

本稿は「COVID‐19とレジリエンス経営」と題し様々な経営課題を毎回20分で解説する連続Webinarからの抜粋記事です。

「資金繰り管理」のために取り組むステップ

手元流動性確保に欠かせない資金繰り管理は、残念ながら平時においてさえあるべきレベルに達している企業は少なく、大企業や財務的に余裕のある企業ほど取り組みが不十分である。

過去実績についてはPL、BSはもちろん、上場企業の開示対象であるCFについても把握できているところは多いが、資金繰り管理についてはできているケースは多くない。また見通しにおいては、PLこそ多くの企業で作成されているが、BS、CF、資金繰り管理までをあるべきレベルでなされているケースはほとんどない。

資金繰り管理のために実際に取り組むべきステップには、1)資金繰りの迅速な可視化、2)資金繰りの予測精度向上、と同時に3)財務マネジメント施策実行、という流れがある。これらには図表のように実にたくさんの課題があるように見えるが、多くの企業でやるべきことの課題は共通なので、対応していくことは可能である。

4つのPDCAサイクルで「資金創出策」を

次に資金創出の一般的なアプローチを大きく分けると、1)現状認識・目標値設定、2)施策検討、3)施策社内合意、4)施策実行・モニタリングである。ここでは資金創出目標値を定め、4つのPDCAのサイクルをスピーディかつアジャイルに実行していくことが肝要である。

資金創出につながるものとして我々が常に着眼するものは、売上の向上、コスト削減、運転資本削減、設備投資削減などである。滞留している売上債券の回収や在庫の削減なども検討の対象になる。短期間で実現できるものを迅速に立案し、実行していくことが重要である。

具体的な事例として、eコマース活用による売り上げ向上、業務改革・RPA導入によるコスト削減など、当社が関与して短期間で資金創出に成功した施策をwebinarにて紹介しており、ご参照いただきたい。

資金繰り管理強化や資金創出策の取り組みは、ふだん目につけられていない領域に着眼していくことが多いため、短期的な資金創出だけでなく、中長期的に取り組んでいくことでより強固な財務体質を構築していくことにつながる。この危機をチャンスに変えていく手立てとして、企業は積極的に取り組みたいところである。

【シリーズ】COVID-19とレジリエンス経営

>>経済へ与える影響を3つの時間軸で紐解く

 

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宮原 智也/Tomoya Miyahara

宮原 智也/Tomoya Miyahara

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー パートナー

産業機械・建設/エネルギー統括 金融機関、会計系コンサルティングファームにおいて、15年以上にわたる豊富な事業再生やM&Aの実務経験を有する。 1998年に大手都市銀行に入行し、2002年に会計系コンサルティングファームの事業再生チームに参画。さまざまな業種・規模の再生案件において、幅広い業務を多数提供。 2015年よりデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社に参画し、グローバル大手企業のクライアントを中心とする有事局面における危機対応・リストラクチャリング支援、業績不振海外拠点の再構築支援、ハンズオン型支援に従事している。 主な実績・担当セクター サービス:M&Aを含む事業再生(再生計画作成、計画の実行段階におけるモニタリングや経営管理体制の構築支援、実際の事業および財務リストラクチャリングの実行支援、撤退支援等)。 セクター:海運関係企業(海運会社、造船会社、船主等)、自動車部品メーカーの案件に多数関与。 関連サービス/インダストリー ターンアラウンド&リストラクチャリング 産業機械・建設 エネルギー >> オンラインフォームよりお問い合わせ