Posted: 26 Jul. 2019 4 min. read

「課せられる『世界最高水準のカジノ規制』に即したIR(統合型リゾート)ビジネス参入リスクと管理を徹底解説」セミナーにデロイト トーマツ 仁木が登壇

海外で発生したリスク事例も踏まえた、今打つ活動の一手

有限責任監査法人トーマツ パートナー、デロイト トーマツ グループ IR(Integrated Resort)ビジネスグループ リーダーである仁木一彦が、2019 年6月18日(火)に東京都内で開催された株式会社日本計画研究所(JPI)主催のセミナーに登壇し、「課せられる『世界最高水準のカジノ規制』に即したIR(統合型リゾート)ビジネス参入リスクと管理を徹底解説 ~海外で発生したリスク事例も踏まえた、今打つ活動の一手~」をテーマに解説した。

セミナー会場の様子
セミナー会場の様子

リスクマネジメントの重要性の高まり

IR(統合型リゾート:Integrated Resort、以下「IR」という)の話に入る前に、まずは組織におけるリスクマネジメントについて解説する。日本では新しい産業となるIR事業は多様なリスクを伴うことから、リスクマネジメントの検討が不可欠である。世界の金融機関向けにDeloitteがGlobalで実施した「グローバルリスクマネジメントサーベイ第11版(2019年発表)」においては、リスクマネジメントが重要であるという回答が多く見られる。

IR事業におけるリスクマネジメント

IR事業においてもリスクマネジメントは考慮しなければならない。カジノを含むIR事業は以下のような特徴を持つことから多様なリスクを伴うビジネスとなる。

  1. 大量かつ多額の現金およびゲーミングチップのような現金同等物を扱う等カジノに特有なリスクが存在すること(例:ゲーミングフロアにおけるマネー・ローンダリングの発生、ゲーミングの不正/詐欺など)
  2. 他産業にはない負の影響の懸念が存在すること(例:反社会的勢力の介入、ギャンブル等依存症の増加、青少年への悪影響の発生など)
  3. 不特定多数の顧客が訪れる24時間365日稼働する施設であり、ITシステムを含むインフラが事業運営の前提となる(例:入場規制違反、監視機器を含むIRインフラの不具合など)

リスクを具体化した後には、リスクを評価し優先順位を決めたうえで、「回避」「低減」「移転」「保有」のような対策の中から、適切な対策方法を検討することになる。

IRにおける特徴的なリスクとは?

新しい産業であるIR事業は、既存の他産業に無い様々なリスクが存在している。種類を大きく分けると、「規制違反」、「業務・システム」、「外部環境」、「その他」の4つとなり、リスクは多岐にわたる。以下図表にてリスクの一部を例示する。

既存の他産業にない様々なリスク
既存の他産業にない様々なリスクが存在

規制違反になるとIR事業者は結果責任を問われることも

ここまで、リスク事例の紹介、リスク対策例の解説をしたうえで、IR事業におけるリスクマネジメントの在り方について総括した。最後に、IR事業者が検討しておくべき点について解説する。IR事業は参入規制に基づき、免許が付与されるが、リスク事象を発生させると、最悪の場合、結果責任が問われ、免許はく奪につながる可能性がある。つまり、対策をしていれば良いということではなく、違反となるような事案を発生させないことが重要である。そして万が一、リスク事象が発生した場合は即時に適切な対応をすることが求められる。IR事業に参入する企業は、インシデントが発生しないためのリスクマネジメント体制を構築しつつ、インシデントが発生した後の危機管理(クライシスマネジメント)体制を構築しておくことも同時に必要となる。

有限責任監査法人トーマツ パートナー、デロイト トーマツ グループ IRビジネスグループ リーダー 仁木一彦
有限責任監査法人トーマツ パートナー、デロイト トーマツ グループ IRビジネスグループ リーダー 仁木一彦

 

 


IR(統合型リゾート)ビジネスグループのアドバイザリーサービス 

IR実施法の審議開始から免許交付までの間に、IRビジネスグループでは参入を目指す日本企業に対し、さまざまなアドバイザリーサービスを提供します。

また、カジノ施設の設置と運営にはさまざまな課題や社会問題が指摘されています。そのため、IRビジネスグループでは、日本企業に対する事業支援サービスだけでなく、企業と自治体に対し、IR施設を設置・運営する上で懸念される課題と社会問題の解決に関するアドバイザリーサービスも提供します。

サービス概要ページ


IR(統合型リゾート)ビジネスグループにおける海外IR施設に関する知見  

デロイト トーマツ グループはこれまで、「IRビジネスグループ」において海外事例のナレッジを提供するなどしてきました。

IRビジネスグループは、リサーチグループの陣容を拡充し、その知見を活用しながら、統合型リゾートビジネス参入に関するアドバイザリーを幅広く提供します。また、各国のデロイトメンバーファームと強固に連携し、グローバルビジネス、観光ビジネスの振輿、地方創生、社会問題の解決の観点からの情報分析、洞察を提供します。

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プロフェッショナル

デロイト トーマツ グループ IR(Integrated Resort)ビジネスグループ リーダー

仁木 一彦/Kazuhiko Niki

仁木 一彦/Kazuhiko Niki

デロイト トーマツ リスクアドバイザリー パートナー

オペレーショナルリスク・プラクティスの日本責任者、IR(統合型リゾート)ビジネス・プラクティスの責任者を務める。 公認会計士、公認内部監査人、公認不正検査士。 2000年公認会計士登録。 【オペレーショナルリスク・プラクティス】 15年以上にわたり、リスクアドバイザリー業務に従事し、オペレーショナル・リスク領域のプロジェクト責任者を多数務める。 専門分野は、コーポレートガバナンス、内部統制、内部監査、不正対策、業務プロセス改善、リスクマネジメント、コンプライアンス、レギュレーション(規制)対応など多岐にわたる。 金融、製造業、サービス、メディア、不動産、ホテル、鉄道、エンタテインメントなど、幅広い業界に対してオペレーショナル・リスク・サービスを提供した実績を有する。 【IR(統合型リゾート)ビジネス・プラクティス】 IRビジネスに係るプロジェクトの業務責任者を多数務め、IRビジネス参入を検討する企業だけでなく、国や地方自治体に対するサポートも手がける。 世界のIR産業(カジノ産業)、IR法規制、背面調査、RFP/RFC対応、IRビジネス・リスクなどの分野を専門としている。 IRビジネスに関係の深いエンタテインメント、メディア、不動産、ホテル等でのコンサルティング業務経験を多数有する。 【著書等】 『図解 ひとめでわかる内部統制 第3版』(東洋経済新報社)、『図解 一番はじめに読む内部監査の本 第2版』(共著,東洋経済新報社)、『リスクマネジメントのプロセスと実務』(共著、LexisNexis)、『不動産[賃貸]事業のためのマネジメント・ハンドブック』(共著、プログレス)、『カジノ産業の本質』(監訳、日経BP社)など多数。