Posted: 24 Oct. 2024 5 min. read

子どもたちの未来創造に寄り添う地域プロボノのあり方とは

Just Do It‼地域イニシアチブ(JDI)の活動紹介 Vol.4

Just Do It!!地域イニシアチブ(以下、JDI)は、デロイト トーマツ グループが掲げる「人とひとの相互の共感と信頼に基づく『Well-being社会』」の実現に向け、「社会ゴト」を「自分ゴト」化し、地域や団体が取り組む経済価値、社会価値の創出に対し、社内外の仲間と共にプロボノ活動による実践支援を行うグループ横断の“地域プロボノチーム”です。

取り組む主なテーマは、WorldClass注1)の3分野である教育、スキル開発、機会創出に注力しています。

JDIの中には様々な分科会(部会)が存在し、今回はその中でも子どものWell-being(幸福度)向上のための芸術教育支援を行っている「アートX部会」の取り組みを紹介します。

注1)WorldClassについて

日本の子どもの幸福度の現状と課題

2020年9月に、ユニセフ・イノチェンティ研究所が『レポートカード16-子どもたちに影響する世界:先進国の子どもの幸福度を形作るものは何か』注2)を発表しました。

その報告書では、日本を含む先進国38ヶ国の子どもの幸福度ランキングが示され、日本の子どもの幸福度は先進国中でほぼ最下位という厳しい現状が浮き彫りになっています。

特に精神的な幸福度や自己肯定感において、他国に比べて大幅に低い数値を示しており、社会全体での取り組みが急務とされています。

家庭環境、教育システム、そして社会的なプレッシャーが重なり、子どもたちが自己表現や感情を適切に発散できる機会が不足していることが一因と考えられています。

この現状を受け、私たちは子どものWell-being向上に貢献するため、プロボノ活動として子どもの芸術教育およびその活動に対するサポートを展開しています。

特に、創造的な表現を通じて子どもたちが自分自身と向き合い、内なる感情を表現する機会を提供することが重要であると考えています。

注2)Worlds of Influence: Understanding what shapes child well-being in rich countries | Innocenti Global Office of Research and Foresight

 

創作活動を通じた幸福度向上の取り組み

子どもたちが自分の感情や考えを自由に表現する場が少ない現代社会において、創作活動は彼らの幸福度向上に大きく貢献します。

創作はただの遊びや楽しみではなく、子どもが自己肯定感を高め、ストレスを緩和する手段でもあります。

私たちのプロボノ活動では、子どもたちがアートを通じて自分自身を表現し、個性が尊重される体験の場を創り出す活動の支援をしています。

アートの創作は失敗や正解がなく、常に新たな発見や感動が生み出される瞬間の連続です。

そうした環境を整えることで、子どもたちは心理的安全性の保たれた空間で自己表現の重要性を学び、他者との創造的協働を通じて、コミュニケーション力をも育みます。

この活動は、学校の学業や家庭生活とは異なる感性を研ぎ澄まし、解放される時間を他者と共有することで、子どもたちが心から楽しみながら学び合う貴重な機会でもあります。

“絵の具にまみれながらボールで白い壁に色を塗る”、なんて日常の生活ではなかなかない機会なのでは?

 

レッジョ・エミリア・アプローチのエッセンスを取り入れた創作体験の場

私たちが取り入れている「レッジョ・エミリア・アプローチ」は、イタリアで生まれた教育方法で、子ども自身が主体となり学びを深めることを重視します。

このアプローチでは、子どもたちが自らの好奇心に従って学び、発見し、表現することが尊重されます。

周囲の大人は子どもたちを指導するのではなく、彼らの学びをサポートし、問いかけや材料を提供することで、創造力を引き出す役割を担います。

アート活動においても、子どもたちはアトリエリスタの元で自由に素材や手法を選び、自分のペースで作品を作り上げます。

このアプローチに基づき、私たちはアーティスト・インキュベーション施設「門司港美術工芸研究所」注3)が主催する子ども向け芸術教育(アートスクール)の企画・開催をサポートし、子どもたちにとっての“表現の場”を創り上げているところです。

注3)門司港美術工芸研究所

 

あしあとアート&とんとこぽん(太鼓のリズムで大画面に足跡を描くワークの様子)

 

アートスクールの影響と今後の展望

アートスクールでは、各回で異なるテーマを設定し、子どもたちは自由に自分のアイデアを形にする時間を楽しんでいます。

絵具、粘土等の自然素材など、多様な素材を用いることで、子どもたちにとって自分の感性や創造力を存分に発揮できる場となっています。

アートスクールの締めくくりには、「対話によるアート鑑賞会」を設け、アーティストの作品を見て感じたことを言葉で紡ぎ、また、他者の言葉に耳を傾けて受け止める練習も行います。

アートスクールは少しずつではあるものの反響を呼び、参加した子どもたちやその家族、関係者から好評を得ています。

今後もこのプログラムを定期的に開催し、新たなテーマや表現手法を取り入れていくサポートを行う予定です。

今後の課題として、さらなる地域との連携や支援者の拡大が挙げられますが、引き続き多くの方々にこの活動を知っていただき、関係人口を増やす努力をしていきます。

子どもたちがより豊かな自己表現の場を得ることで、日本全体の子どもの幸福度向上に寄与できると信じています。

ねんどあそび(大量の粘土で遊ぶワークの様子)

 

子どもたちのねんど作品(粘土遊びはいつも大人気です)

 

JDIアートX部会は、アートを軸にしたソーシャルデザインの手法を用いて、社会変革(アート・トランスフォーメーション)を目指すコミュニティ・オブ・プラクティス(実践コミュニティ)です。

アートX部会の取り組みに関心のある方は下記までご連絡ください。

 

執筆者

Just Do It‼地域イニシアチブ
メンバー 室屋 聖子(デロイト トーマツ リスクアドバイザリー株式会社)
※ 執筆者の社名・肩書は執筆時のものです。

 

JDI活動に関するお問い合わせはこちらから:info_jdi@tohmatsu.co.jp

 

関連ブログ

 

JDI活動紹介動画

 

Well-beingについて

人とひとの相互の共感と信頼に基づく『Well-being(ウェルビーイング)社会』」の構築を目指す──。デロイト トーマツ グループが掲げているAspirational Goal(目指すべき社会の姿)です。Personal/ Societal/ Planetaryのそれぞれについて、Well-beingすなわち健全な状態を目指します。わたしたちは今後も継続的に、デロイト トーマツ グループの財産であるメンバーのPersonal Well-being実現のための取り組みを進め、それぞれのメンバーがSocietal well-being、Planetary Well-being実現のために、よりサステナブルな将来を構築するべく、共に取り組んでまいります。

人とひとの相互の共感と信頼に基づく 「Well-being 社会」

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