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デロイト調査: LGBT+に関する取り組みは職場にポジティブな影響をもたらしているが、課題もまだ多い

本文章は2022年6月15日にニューヨークで配信されたプレスリリースを翻訳および編集したものです。なお、この翻訳文と原文に相違がある場合は、以下原文の記載事項を優先します。
English from HERE: New Deloitte Report: LGBT+ Inclusion Efforts Yield Positive Impacts In Workplace, Yet Challenges Persist 

2022年6月29日
 
  • LGBT+の当事者を対象とした調査で、回答者の大多数がLGBT+に関する取り組みを職場が強化しており、ポジティブな影響を与えていると考えている
  • 10人中4人以上がインクルーシブでない言動を職場において経験している
  • 企業がLGBT+のインクルージョンをさらに進めるための施策を導入しているものの、多くの回答者が職場で親しい同僚以外には自分の性的指向や性自認をカミングアウトしないことを選択している

 

デロイトが発表した調査レポート「LGBT+Inclusion @ Work: A Global Outlook」によると、回答者の80%が、LGBT+の取り組みを多くの企業が強化しており、それが職場にポジティブな影響を及ぼしていると回答しました。また、LGBT+の従業員の70%以上が、目に見えるアライシップ*や従業員リソースグループ **をはじめとするLGBT+のインクルージョン施策を理由に、所属企業で働き続けたい意向を持つ一方で、全回答者の42%が職場でインクルーシブでない言動を経験したことがあることがわかりました。

*アライシップ:LGBT+など性的マイノリティについて理解し、応援・支援をすること
**従業員リソースグループ (Employee Resource Groups):組織図や業務上の区分とは異なる、属性や特性、価値観などによって結びついて活動する従業員グループ。


本調査は、世界の12の地域でさまざまな業界の組織に属する600人のLGBT+ (Lesbian、Gay、Bisexual、Transgenderなど) の方を対象に、当事者が日々直面する現実や、組織における取組みがどのように機能しているか、またどのような改善が求められるかを考察しています。

デロイトのGlobal Inclusion LeaderであるEmma Coddは、本調査の結果を受けて以下のように述べています。

「組織のダイバーシティ戦略としてLGBT+のインクルージョンを目的とした各種施策が推進されていることを当事者たちはポジティブに受け止めています。しかし、同時に組織の日々のカルチャー醸成にLGBT+インクルージョンを完全に組み込むためには、まだ取り組むべきことがあることも確かです。インクルーシブでない言動には断固たる対応をし、職場において誰もがありのままの自分でいられるよう、真のリスペクトに満ちた組織カルチャーを醸成する必要があります。」
 

各組織は、LGBT+当事者にとって有意義なサポートにつながる様々な取組みを導入している

多くの組織がダイバーシティ戦略の一環としてLGBT+のインクルージョンを強化しています。回答者の約80%が自組織においてLGBT+インクルージョンの活動や取り組みが導入されていると回答し、うち95%がLGBT+当事者にとって有意義な支援につながったと考えています。

取り組みは多岐にわたり、回答者の40%近くがLGBT+インクルージョンについてリーダーがオープンに話しているとし、また3分の1が自組織にLGBT+のアライシッププログラムがあると答え、さらに3分の1近く (31%) が自組織が社外向けのビジネスイベントなどでLGBT+インクルージョンについて議論していると答えました。

また、グローバルな組織に勤務する回答者のうち93% が、組織全体レベルのLGBT+のインクルージョンに関するコミュニケーションや取り組みが自身の所属する国でも有意義な支援につながっていると考えています。
 

所属組織での取り組み・支援が進む一方で、職場ではインクルーシブでない言動も起きている

多くの組織がLGBT+の当事者のための取組み・支援を行っているものの、回答者の42%は、職場においてインクルーシブでない言動に触れた経験があると答えました。セクシャリティに関して言われたくないコメント (33%)、性自認に関して言われたくないコメント (25%)、またはより広い意味で受け入れがたい言動などが含まれます。

こういったインクルーシブでない言動は、オフィスとリモート勤務のいずれの環境でも起きています。「インクルーシブでない言動に触れた」と回答した人のうち47% はオフィス環境で、20%はリモートワーク環境で経験したと述べました。また、33% がオフィス環境とリモートワーク環境の双方で経験し、そのうち4分の3近くが所属組織に報告し、10人中6人がその対応に満足していると回答しました。

インクルーシブでない行動を報告しなかった理由については、すべてのジェンダー・アイデンティティでほぼ共通する一方で、女性は自分の苦情が真剣に受け止められない (女性40%:男性22%)、報告するほど深刻ではないとの回答 (女性33%:男性16%)が多く、男性は報告したことで状況が悪化することを懸念する回答(男性38%:女性17%)が多い結果となりました。 ***

***この分析においては母数の少なさから、ノンバイナリー(自身の性自認・性表現に「男性」「女性」といった枠組みをあてはめようとしないセクシュアリティ)と回答したグローバル平均の比較は含まれません。また、女性からの回答は、トランスジェンダーの女性も含まれます。
 

いまだに多くの人が、自分の性的指向や性自認をほとんどの同僚に打ち明けていない

性的指向については、回答者の45%が自身の性的指向について大半の同僚に広くカミングアウトし、34%が一部の同僚にだけ、19%が職場で一切カミングアウトしていないと回答しています。一部の同僚にだけカミングアウトしていると回答した人のうち36%は、直属のチームや同僚には自身の性的指向をカミングアウトすることに抵抗がないが、組織全体に対してカミングアウトするのは抵抗があると回答しました。性自認については、回答者の43%が大半の同僚に広くカミングアウトし、26%が一部の同僚にのみ、17%が一切カミングアウトしていないと回答しています。一部の同僚にのみカミングアウトしている回答者のうち23%が、多数の同僚にカミングアウトすることで自身のキャリアに悪影響を及ぼすことを懸念しています。

性的指向、性自認いずれも大半の同僚に広くカミングアウトしていると回答した人のうち10人に9人が、安心してカミングアウトできたのは組織の風土によるところが大きいと回答しました。

デロイト のGlobal Deputy CEO兼Chief People and Purpose OfficerであるMichele Parmeleeは以下のように述べました。

「職場におけるLGBT+のインクルージョンが重視されているのは心強いことです。一方で、本調査からはまだ多くの取組みが必要であるということがわかりました。LGBT+のインクルージョンの観点から未来志向型の組織を構築するためには、リーダーや同僚には3つの重要な要素が求められます。LGBT+当事者がありのままの自分でいられるような環境を整備すること、インクルーシブでない行動には断固とした対応をすること、そしてアライシップを見える化し、声をあげ続けていくことです。」
 

Deloitte LGBT+Inclusion@Workの詳細ならびに結果全容はこちらからご覧いただけます。
https://www2.deloitte.com/global/en/pages/about-deloitte/articles/lgbt-at-work.html
 

調査方法

本調査は、世界の12の地域で10の主要な業界で勤務するLGBT+の当事者600人を対象に2022年2月に実施しました。一貫性を保つため、本調査ではLGBT+ (Lesbian、Gay、Bisexual、Transgenderなど)として表記しており、異性愛者および/またはシスジェンダーでないと自認する人を含めています。回答者は、フルタイム勤務の正社員 (93%)、パートタイム勤務の正社員 (5%)、契約社員 (2%) から構成されています。回答者の半数以上 (55%) が男性、 39%が女性、 3%がトランスジェンダー、 2%がノンバイナリーでした。また、43%がゲイ、34%がバイセクシャル、14%がレズビアンだと回答しています。その他の性的指向と性自認は、パンセクシャル (3%)、アセクシャル (3%)、クィア (2%)、およびヘテロセクシャル (1%) を含みます。回答者は、年齢や職責にかかわらず、LGBT+の成人の従業員で構成されており、39歳未満がわずかに多い結果でした。調査対象の大半は、少なくとも6年以上の職歴があります。なお、Deloitteの所属者は今回の調査対象に含まれていません。
 

 

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