ニュースリリース

CHROなど人事リーダーへの期待“攻めの役割”が増加~デロイト トーマツ・日本CHRO協会調査

85%の企業がCHROの役割変化として「事業戦略と人事戦略の統合」の増加を挙げる等、“攻め”の役割への期待が大きくなっています。一方、その役割を強化していくためには、「CHROをサポートできる人材」や「データ・システム基盤整備」の不足が障壁となっていることが明らかになりました。

2023年6月29日

デロイト トーマツ グループのデロイト トーマツ コンサルティング合同会社(東京都千代田区、代表執行役社長:佐瀬真人、以下デロイト トーマツ)と一般社団法人日本CHRO協会(東京都千代田区、理事長:中井戸 信英)は、CHRO(最高人事責任者)をはじめとする企業の人事リーダー(以下、「CHRO」)を対象にした、人的資本経営の取り組みや求められる役割の変化、課題についての調査結果を発表しました。

CHROに対して「事業戦略と人事戦略の統合」など“攻め”の役割が「過去から相対的に増大した」と回答した企業は85%に上りました。一方、「人事データの統合・管理」などの”守り”に時間をとられて理想どおりの役割配分にシフトしきれていない現状も明らかになりました。役割シフトに向けた障壁として、「CHROをサポートできる経験やスキルのある人材」や「データ・システム基盤整備」の不足が、課題となっていることがわかりました。

主な調査結果は以下のとおりです。

■未来型CHROに求められる4領域の役割

人的資本経営への関心が世界的に高まる中、CHROに期待される役割は急速に変化しています。こうした時代の転換点において、デロイト トーマツは未来型のCHROに期待される役割を考察するため、その役割を4つの領域「ストラテジスト」「カタリスト」「スチュワード」「オペレーター」に分類しています。

図1 デロイト トーマツの提唱するCHROの4つの役割

図1 デロイト トーマツの提唱するCHROの4つの役割
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■CHROが担う役割変化の実態

5年前から現在との比較において、CHROの”攻め”の役割(「ストラテジスト」「カタリスト」)の多くが増大していると回答した企業の割合が高い結果となりました。

各役割別の割合は、「事業戦略と人事戦略の統合=85%」「労働力計画の策定=70%」「組織文化の醸成=73%」「組織開発の検討・実行=74%」などです。

一方、”守り”の役割は「縮小した」との回答は少数で、ほとんどが「増大した」または「変わらない」でした。特に「人事データの統合・管理」は増加しています。CHROの役割は全ての領域で範囲が拡大していることが見て取れます。

図2 過去(5年前)から現在までに変化した、CHROの攻めの役割

図2 過去(5年前)から現在までに変化した、CHROの攻めの役割
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図3 過去から現在までに変化した、CHROの守りの役割

図3 過去から現在までに変化した、CHROの守りの役割
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■4つの役割領域に関する、現在と理想の時間配分

CFO(最高財務責任者)とCHROとで4つの役割領域に関する「理想の時間配分」を比較したところ、ほぼ同じ割合(4:3:2:1)となることが判明しました。一方、「現在の時間配分」では、CHROはCFOに比べて「ストラテジスト」の割合が少なく、代わりに「オペレーター」の割合が高くなっています。CHRO自身は特に今後は「ストラテジスト」の役割へ注力していきたいと考えていますが、CFOに比べ現在と理想のギャップが大きい結果となっています。

*CFOのデータは、Deloitte CFO Signals Japan: 2022Q1より引用

図4 CFOとCHROが注力する役割の、現在と理想

図4 CFOとCHROが注力する役割の、現在と理想
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■理想の役割配分に向けて、CHROの障壁となっている制約・課題

CHROが理想の役割配分にシフトするうえでの障壁と考えている項目を調査したところ、「CHROをサポートできる経験・スキルのある人材がいない」という課題がトップ(56%)に挙げられました。急拡大する役割範囲に対して、CHRO自身が単独で全ての領域の推進・実行を担うことは難しく、戦略起点で人事を考えられるブレインとなりうる人材・組織体制の構築が求められているといえます。

次いで挙げられたのは「意思決定をするためのデータ・システム基盤が十分でない」という課題です。理想の役割配分に向けては「オペレーター」の割合を減らしていくことが必要ですが、そのためには、人事データを統合するシステム基盤を整備し、効率化を図ることが必要と考えられます。

図5 理想の役割配分に向けて、CHROの障壁となっている制約・課題

図5 理想の役割配分に向けて、CHROの障壁となっている制約・課題
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[調査概要]

調査期間:2023年4月6日~4月27日

調査対象者:日系企業のCHROおよび人事/人財部門の責任者

参加企業数:91社(製造業28社、非製造業63社)

調査項目:主に以下に関する設問

 

【人的資本経営の取り組み実態】

  • 現在重視している人材戦略テーマ
  • 人材戦略テーマを推進するうえでの課題

 

【CHROの役割変化】

  • 現在CHROが担っている役割
  • 過去から変化したCHROの役割
  • 今後強化していきたいCHROの役割
  • CHROの役割変化に影響を与える要因
  • CHROの各役割分類に対する、現状と理想の時間配分

 

■7月19日にウェビナー開催

本調査の結果については、2023年7月19日(水)16:00-17:00に、企業の人事や経営企画・経理財務・総務などの各部門責任者様向けウェビナーを開催し、より詳細な分析をもとに示唆・提言を含めた解説を行う予定です。申込は、以下からご登録ください。

https://tohmatsu.smartseminar.jp/public/seminar/view/39948

参加申込の締め切り=2023年7月14日(金) 17:00

<報道機関の方からの問い合わせ先>

デロイト トーマツ グループ 広報担当 西原
Tel: 03-6213-3210  Email: press-release@tohmatsu.co.jp

デロイト トーマツ グループは、日本におけるデロイト アジア パシフィック リミテッドおよびデロイトネットワークのメンバーであるデロイト トーマツ合同会社ならびにそのグループ法人(有限責任監査法人トーマツ、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社、デロイト トーマツ税理士法人、DT弁護士法人およびデロイト トーマツ グループ合同会社を含む)の総称です。デロイト トーマツ グループは、日本で最大級のプロフェッショナルグループのひとつであり、各法人がそれぞれの適用法令に従い、監査・保証業務、リスクアドバイザリー、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、税務、法務等を提供しています。また、国内約30都市に約1万7千名の専門家を擁し、多国籍企業や主要な日本企業をクライアントとしています。詳細はデロイト トーマツ グループWebサイト(www.deloitte.com/jp)をご覧ください。

Deloitte(デロイト)とは、デロイト トウシュ トーマツ リミテッド(“DTTL”)、そのグローバルネットワーク組織を構成するメンバーファームおよびそれらの関係法人(総称して“デロイトネットワーク”)のひとつまたは複数を指します。DTTL(または“Deloitte Global”)ならびに各メンバーファームおよび関係法人はそれぞれ法的に独立した別個の組織体であり、第三者に関して相互に義務を課しまたは拘束させることはありません。DTTLおよびDTTLの各メンバーファームならびに関係法人は、自らの作為および不作為についてのみ責任を負い、互いに他のファームまたは関係法人の作為および不作為について責任を負うものではありません。DTTLはクライアントへのサービス提供を行いません。詳細は www.deloitte.com/jp/about をご覧ください。

デロイト アジア パシフィック リミテッドはDTTLのメンバーファームであり、保証有限責任会社です。デロイト アジア パシフィック リミテッドのメンバーおよびそれらの関係法人は、それぞれ法的に独立した別個の組織体であり、アジア パシフィックにおける100を超える都市(オークランド、バンコク、北京、ベンガルール、ハノイ、香港、ジャカルタ、クアラルンプール、マニラ、メルボルン、ムンバイ、ニューデリー、大阪、ソウル、上海、シンガポール、シドニー、台北、東京を含む)にてサービスを提供しています。

Deloitte(デロイト)は、監査・保証業務、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、リスクアドバイザリー、税務、法務などに関連する最先端のサービスを、Fortune Global 500®の約9割の企業や多数のプライベート(非公開)企業を含むクライアントに提供しています。デロイトは、資本市場に対する社会的な信頼を高め、クライアントの変革と繁栄を促し、より豊かな経済、公正な社会、持続可能な世界の実現に向けて自ら率先して取り組むことを通じて、計測可能で継続性のある成果をもたらすプロフェッショナルの集団です。デロイトは、創設以来175年余りの歴史を有し、150を超える国・地域にわたって活動を展開しています。 “Making an impact that matters”をパーパス(存在理由)として標榜するデロイトの約415,000名の人材の活動の詳細については、(www.deloitte.com)をご覧ください。