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調査レポート
今治.夢スポーツが生み出す社会的インパクトの可視化 2023
サッカーを通じて社会創りに取り組む今治.夢スポーツのSROI分析レポート
近年、スポーツへの投資は社会的課題解決においても大きな意味を持つようになっています。本レポートでは、サッカーを通じて社会創りに取り組む株式会社今治.夢スポーツの事例を通じ、社会的投資収益率(Social Return on Investment, SROI)を分析することで、社会的価値の可視化を行いました。今回の分析では、昨年度の分析に加え、新しく施工されたアシックス里山スタジアムでの取り組みをはじめとした新たな取り組みが生み出す社会的インパクトも分析対象としました。
スポーツチームが生み出す社会的価値
スポーツチームが生み出す価値には、財務的価値と潜在的財務価値、社会的価値の3種類が存在すると言われています。スポーツチームが生み出す財務的価値は、チケット収入や放送権料収入などスポーツチームの興行等の活動によって生み出される価値を指し、スポーツチームが生み出す潜在的財務的価値は、パートナーやチームロゴ、広告露出権など、財務諸表に顕在化はしないものの、活用することで財務的価値を生み出しうる無形資産のことを指します。
一方、スポーツチームが生み出す社会的価値は、財務的価値や潜在的財務価値とは異なり、地域や他産業にもたらされる多面的な価値のことです。この価値は、スポーツチームのサポーターや拠点地の地域住民などのステークホルダーに広く還元されます。各スポーツチームがもたらす社会的価値の向上は、スポーツを通じて地域活性化に貢献します。このような効果は、定性的にはステークホルダーに認識されていたものの、可視化はされてきませんでした。近年では、このような社会的価値の可視化に注目が集まっています。
今治.夢スポーツとの本年度の取り組み
今治.夢スポーツは、2002年5月29日に設立され、愛媛県今治市を本拠地とするサッカーチームのFC今治の運営を基軸に、「次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する」を理念として掲げ、青少年へのサッカー教育や指導者の普及活動、環境教育の推進活動などを行う企業です。デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社は、2021年より継続的に今治.夢スポーツのもたらす社会的価値を分析しており、今回で3年目を迎えました。本年度は、2023年1月に新しく施工された「アシックス里山スタジアム」に関連する活動も対象に加えて社会的価値分析を行いました。
社会的価値分析結果
前年度の分析では、2021年度から2023年までの3年間で今治.夢スポーツが生み出す社会的価値を分析しました。今年度の分析では、昨年は予測値であった2023年度について実績値を測定し、アップデートしました。
事業別の3年累積の社会的投資収益率(以下、SROI)は図の通りの結果となりました。育成・普及事業では、昨年見積もった費用よりも試合関連経費が抑えられたことによりSROIが上昇しました。また、アースランド・野外教育の今治.夢スポーツ独自の活動においては、イベントへの参加者数が想定を超えたことにより、SROIが上昇しています。一方、サッカークラブ運営事業ではDAZNでのオンラインでの試合視聴者数が予測と比較して30万人減少した影響でSROIが低下しています。ホームタウン活動では、主な活動ともいえるBari Challenge Universityが実施されなかったことでSROIが低下しました。また、今年度から里山スタジアム関連活動を分析のスコープに入れています。里山サロンや里山ドッグランの運営による社会的インパクトを測定した結果、今年度は立ち上げ直後ということもあり、可視化できたインパクトは限定的となり、SROI値は0.5倍となりました。
本レポートでは、上記の内容に加え、事業ごとにSROIを単年度ベースで比較した内容を記載しております。ご興味のある方はぜひPDF版をダウンロードしてご覧下さい。
留意事項
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