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トムスレーシングエンジニアとの協働で、レース中の意思決定を支援するアナリティクスを提供

トムスレーシングチームとともに、レース戦略上のアドバンテージ獲得を目指して

デロイトアナリティクスでは、国内のフォーミュラカーレースのトップカテゴリーであるスーパーフォーミュラをはじめ、国内外のさまざまなレースカテゴリーで活躍をしているトムスレーシングチームとともに、レースデータ分析プラットフォームを開発し、より強固なレース戦略上のアドバンテージを獲得できるよう取り組んでいます。

本記事では、2022年に開催されたレースの写真を交えながら、トムスレーシングチームとデロイトアナリティクスの連携についてご紹介します。

トムスレーシングチームのスーパーフォーミュラ車両

 

今回のソリューションのポイント

トムスレーシングエンジニアと議論をするデロイトアナリティクス

モータースポーツにおけるアナリティクスは長い期間取り組みがなされてきましたが、レース当日の天気や気温や他チーム車両の状況といった時々刻々と変化する要素が多く、レースエンジニアはそれらの影響を速やかに把握し意思決定を行う必要があります。しかしながら、従来はレース中の時間的制約のため、データの部分的な活用にとどまっていました。

2021年4月以降、デロイトアナリティクスはトムスレーシングエンジニアとの協力のもと、国内のフォーミュラカーレースのトップカテゴリーであるスーパーフォーミュラ、およびその下位カテゴリであるスーパーフォーミュラライツを対象としたレースデータ分析プラットフォームの開発に取り組んでいます。従来、レーシングエンジニアが手作業で記録・集計していたレース中のタイムデータや車両状態データを自動で取得・集計し、データベースに保存することでレーシングエンジニアの作業負荷を軽減すべく支援しています。また、決勝レースにおける各車のタイム差やタイヤ交換による順位変動予測、コース上での各セクターにおける車両間隔など、集計・分析が必要なため今までレース中に活用することができていなかった種々の情報をリアルタイムに可視化・表示するwebアプリケーションをクラウド上に構築。デザイナーがwebブラウザー上での表示に合わせて画面構成を検討し、レース中に必要な情報をコンパクトに集約表示することで、決勝レースにおけるピットインタイミング等の検討に際し、より高度な意思決定を速やかに行うことが可能になりました。

当該連携においては、データサイエンティストとして活動する専門家や、リアルタイムにデータを理解し、戦術に繋げるためのユーザーインタフェースデザイナーをはじめ、デロイトアナリティクスの幅広い知見を結集して取り組んでいます。一方でトムスレーシングチームからはドライバーはもちろん、複数のエンジニアを交えたディスカッションを重ね、レースごとに改善を重ねています。

トムスおよびデロイトアナリティクスからのコメント

トムス エンジニア 小枝様

タイムデータ分析がリアルタイムとなったことで、セッション中の状況をより広く把握することができるようになりました。タイムについてドライバーとのコミュニケーションを取る際も、すでに情報が集約されているこのシステム上で完結できます。我々のリクエストに対応して素早く改善して頂ける事で、システムの使い勝手も毎戦進化しています。引き続き、データを更に有効活用できるシステムへと発展していく事を期待します。

 

トムス エンジニア 大立様

データ分析プラットフォームの構築により、レース中のリアルタイム分析を行うことが実現しました。レース戦略や予選時のアタックタイミング想定など、これまで目視や手作業で実施していた項目がリアルタイムで見られることにより、戦略の幅が大きく広がりました。今後もこれまで日本ではあまり手をつけられていなかった項目に挑戦して、レース結果をより良くしていけたらと思います。
 

トムス エンジニア 伊藤様

データエンジニアを担当しております。これまでは、データエンジニアの業務の中でコピー&ペーストで済むデータまとめシートが種々存在しておりました。しかし、デロイトアナリティクス様にシステムを開発頂いたことにより、これらの単純作業へ割く時間が無くなり、他の作業に時間を使うことが出来るようになりました。

デロイトアナリティクス 星 貴史

レースデータ分析プラットフォームでは、必要な情報を見落とさず迅速かつ確実に確認できること、それをもって正しい判断が行えることを目標に画面構成やデザインを検討しました。また、実際にレースの現場へ赴いてユーザーの利用シーンを観察したり、毎レース終了後にユーザーヒアリングを行うことで、より使いやすいツールとしてブラッシュアップを行っています。

トムスのメンバー、デロイトアナリティクスのメンバー

 

今後の展望、さらなるアナリティクスの活用を目指して

10月のシーズン最終戦に向けて、レース成績に寄与するレースデータ分析を行っていくとともに、来シーズンではレースデータへのより高度な分析の実施やセッティング項目による走行タイムのシミュレーションなどのレース外におけるアナリティクス導入に向けて取り組みを進めていきます。

デロイト トーマツ グループでは、長年にわたり獲得したアナリティクスの知見を活用し、領域を問わず様々な企業・組織のデジタルトランスフォーメーションを支援しています。詳細に関しては、お問い合わせフォームよりお問い合わせください。

チーム紹介

Kuo VANTELIN TEAM TOM'S
チーフエンジニア、#37レースエンジニア
小枝 正樹様

輸送機器メーカーで設計業務を経験後、2007年トムス入社。データエンジニアを経て、フォーミュラニッポン(現スーパーフォーミュラ)、F3(現スーパーフォーミュラライツ)、Super GTのレースエンジニアを務める。2022年シーズンはスーパーフォーミュラ チーフ兼#37レースエンジニア、Super GTチーフエンジニア。スーパーフォーミュラ(含フォーミュラニッポン)では2012・2014年に中嶋一貴、2019年にニック・キャシディ、Super GTでは2017年に#37のレースエンジニアとして、チャンピオン獲得に貢献。

Kuo VANTELIN TEAM TOM'S チーフエンジニア、#37レースエンジニア 小枝 正樹

Kuo VANTELIN TEAM TOM'S
#36レースエンジニア
大立 健太様

新卒で2017年トムス入社。スーパーフォーミュラ、Super GTのデータエンジニアを経て、2020年シーズンからスーパーフォーミュラ#36のレースエンジニアを務める。2022年シーズンもスーパーフォーミュラ#36レースエンジニアを務めると同時に、Super GTでは#37のレースエンジニアに抜擢。GT500クラスでは最年少エンジニアであり、若いながらも確かなセッティング能力・コミュニケーション能力で、最年少ドライバーコンビと共にチャンピオン獲得を目指す。

Kuo VANTELIN TEAM TOM'S #36レースエンジニア 大立 健太

Kuo VANTELIN TEAM TOM'S
データエンジニア
伊藤 大晴様

電気部品メーカーで設計業務を経験後、2019年トムス入社。以後、スーパーフォーミュラ、Super GTのデータエンジニアを務める。2022年シーズンはスーパーフォーミュラ#36データエンジニア、Super GT #36データエンジニア。両カテゴリともレース結果に直結する各種データを取り纏める存在であり、各種判断を下すレースエンジニアの補佐役を冷静に務める。

Kuo VANTELIN TEAM TOM'S データエンジニア 伊藤 大晴

デロイトアナリティクス
シニアスタッフ
星 貴史

グラフィックデザインの経験をベースとしたUX/UIデザイナーとして、ユーザー調査からデザインへの落とし込みまでワンストップでのプロセス実施を強みとする。特に情報を整理・集約し、確実かつ迅速にユーザーへ届けるダッシュボード系UIに関して多くの経験を有し、社内システム開発や社外提案に従事。

デロイトアナリティクス 星 貴史

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