調査レポート

Deloitte CFO Signals Japan: 2022Q4

財政環境の見通しは停滞、今後は金融システムの動向に注目

日本における第31回目の実施となったCFOを対象とした四半期ごとの意識調査。本調査前半では、CFOの経済環境に関する意識変化やマクロ視点での日本経済及び世界主要国のリスクシナリオについて時系列で意識調査を行い、調査時点での最新の見通しを考察しました。調査後半では、日本の独自のホットトピックとして、「ファイナンス組織における変革への取組み」に関してお伺いしました。本ページでは、今回のサーベイ結果の中で特徴的な回答結果についてまとめています。(調査期間:2023/2/14~2/24)

Deloitte CFO Signals について

Deloitte CFO Signalsは、デロイトがグローバルレベルで定期的に実施している、企業を取り巻く経済環境に関するCFOの意識調査です。毎回の調査で世界各国CFOの皆様から得られた回答結果を集約し、デロイトの専門家が考察を加え、CFOからの”Signals”として発信しています。日本で行うDeloitte CFO Signals Japanでは、「経済環境に関する調査」において、毎回グローバルで統一の設問を設定しています。それによって日本だけに限らず、グローバルレベルでCFOの動向を考察します。

最新のレポート

ダウンロード可能なレポートを公開しております。

過去のレポートはこちらからご確認いただくことが可能です。

2022Q4 CFO Signals Report Highlights

財政的な見通し

設問1. 財政的な見通し

各社の財政的な見通しが3ヶ月前と比べてどのように変化したかを調査した。

今回の2022Q4調査では、財政見通しが「概して変わっていない」との回答が56%と過半数を占めた。

総じて財政的な見通しは不変といえる。調査期間の2023年2月は、日本では昨年末の新型コロナウイルス感染症関連の移動制限解除により経済活動が回復していた状況だった。特に、コロナの制約で痛手を被っていた非製造業の景況観は、日銀短観にみられるように大幅に回復していた。

他方、グローバルなインフレ基調は依然企業のコスト増加要因となっており、企業のマージン縮小の方向性は不変であった。海外ではロシア・ウクライナ対立は膠着状態であり、米中対立も先鋭化していたことはやや悪材料だったといえよう。今後については、3月中旬に発生した米国の中堅銀行破綻の影響で金融市場の不安定化や経済見通しの懸念が拡大する可能性もあり、次回調査ではCFOの景況観にも動意が出てくる可能性がある。

(全文レポートより一部抜粋)

今後1年間の日本経済の注目点

設問4. 今後1年間の日本経済の注目点

今後1年間の事業展開を展望するうえで注目される日本経済の注目点を調査した。

第1位は前回同様「生産コストの上昇やインフレ懸念」であり、原材料価格や輸送コスト、そしておそらく人件費の上昇を含むコスト上昇が依然CFOの注目点であることを表している。原油などの商品価格は落ち着きを取り戻しているものの、電力/ガス/水道・農林水産物・鉱産物などの価格は依然上昇しており、国内企業物価指数の上昇率は2月時点で前年比9.1%と高水準にある。サービス価格もコロナ制約解除による需要増加で上昇している。こうしたコスト上昇への懸念はいまだ払拭されていない。

第2位は「人材・労働力不足」が前回の4位から順位を上げた。飲食など国内サービス業では事業再開に伴う労働需要が高まっているほか、デジタルなどのスキル人材獲得競争は依然過熱している模様だ。今年の労使交渉で賃上げ要求への満額回答が目立つなど、企業が人材確保の手立てを積極的に打ち出していることは、人材不足と人件費上昇リスクの双方を示唆しているといえよう。

(全文レポートより一部抜粋)

変革に向けた中長期計画

設問6. 変革に向けた中長期計画

ファイナンス組織としての中長期計画を作成している企業は78%となった。多くの企業において足元だけではなく、中長期を見据えて行動するための指針として、中長期計画を作成していることがうかがえる。

そのうち、中長期計画を毎年見直している企業も56%となり、不確実性の高い現代において、変化に対して柔軟に方向転換をしていると推察できる。

中長期計画を作成しておらずとも、年度計画を作成している企業もあり、全社の中期計画や予算のサイクルに合わせてファイナンス組織としての計画を作成していると考えられる。

(全文レポートより一部抜粋)

ファイナンス組織として力を入れたい取組み

設問8・10(補足) ファイナンス組織において現在力を入れている・今後(3-5年程度)力を入れたい取組み  (1位:4点、2位:3点、3位:2点、4位:1点に換算)

現在力を入れている取組みと今後3-5年程度で力を入れたい取組みを比較すると、「データドリブン経営へのシフト(データ提供および意思決定への参画)」と「サステナビリティ経営へのシフト(非財務を含むデータ提供および意思決定への参画)」が増える結果となった。一方で、「ビジネスパートナー機能の強化(経営・事業戦略立案への参画)」は減少する結果となった。これまでは戦略立案に参画することに重きを置いてきたのに対し、今後はより具体的な意思決定の中身に資する取組みにシフトしていくことが推察できる。社内外の多種多様なデータを活用した経営判断を行うために、データ基盤、それらを活用するための制度・プロセスをあわせて整備していくことが重要となるだろう。

「資本市場とのリレーション強化」、「税務コストの最適化」、「トレジャリーマネジメントの高度化」等は得点数としては低い結果となったが、専門性が高い取組みでもあり、一定のリソースに絞って実施していると推察できる。

(全文レポートより一部抜粋)

CFOにとっての“the Trusted Advisor”となるために

デロイト トーマツ グループでは、様々な課題に直面するCFOを支え、ファイナンス組織の能力向上に寄与することを目指したサービスを展開しています。グローバルに展開するプロフェッショナルファームとして先進的な知見やネットワークの場を提供し、CFOにとっての“the Trusted Advisor"となることを目指します。詳しくは、CFOプログラム*をご確認ください。

*CFOプログラムとは、様々な課題に直面するCFOを支え、ファイナンス組織の能力向上に寄与することを目指すデロイト トーマツ グループによる包括的な取り組みです。

お役に立ちましたか?