調査レポート

Deloitte CFO Signals Japan: 2023Q3

財政環境見通しは不変、年末は金融市場動向の転換点となるか

日本における第34回目の実施となったCFOを対象とした四半期ごとの意識調査。本調査前半では、CFOの経済環境に関する意識変化やマクロ視点での日本経済及び世界主要国のリスクシナリオについて時系列で意識調査を行い、調査時点での最新の見通しを考察しました。調査後半では、日本の独自のホットトピックとして、「ファイナンス組織における人的資本強化」に関してお伺いしました。本ページでは、今回のサーベイ結果の中で特徴的な回答結果についてまとめています。(調査期間:2023/11/14~11/24)

Deloitte CFO Signals について

Deloitte CFO Signalsは、デロイトがグローバルレベルで定期的に実施している、企業を取り巻く経済環境に関するCFOの意識調査です。毎回の調査で世界各国CFOの皆様から得られた回答結果を集約し、デロイトの専門家が考察を加え、CFOからの”Signals”として発信しています。日本で行うDeloitte CFO Signals Japanでは、「経済環境に関する調査」において、毎回グローバルで統一の設問を設定しています。それによって日本だけに限らず、グローバルレベルでCFOの動向を考察します。

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2023Q3 CFO Signals Report Highlights

財政的な見通し

設問1. 財政的な見通し

各社の財政的な見通しが3ヶ月前と比べてどのように変化したかを調査した。

今回の調査でも「概して変わっていない」回答が59%と、前回の60%に続き半数以上を占めた。残りは「(大いに)楽観的になった」「(大いに)楽観的でなくなった」が概ね20%ずつに分かれた。調査期間である2023年11月の外部環境は、欧米金利上昇とその一服感、世界的なインフレ緩和の兆し、好調な株価、円安の進行などで特徴づけられる時期だった。3ヵ月前の前回調査以降、総じて経済環境に著変はなく、日本経済・海外の経済・金融市場は安定した状態が続いたといえる。10月に勃発したイスラエル・ハマスの軍事衝突は、現状この2国・地域間の戦争にとどまっており、経済や金融市場への大きな影響はみられていない。こうした背景からCFOの財政見通しは概ね不変との結果になったと考えられる。

しかしながら、今後来年にかけては経済環境の変動がCFOの財政見通しを変化させるだろう。2023年中に欧米中銀は利上げを継続したが、2024年には欧米経済の減速と利下げが見込まれ始めている。日本においては、欧米とは逆に日本銀行の金融政策正常化による金利上昇期待が高まりつつある。為替相場も今回調査後の12月に、それまでの1ドル=約150円の円安水準から一時10円近く円高に振れるなど、変動が大きくなっている。2023年末は景気や金融市場動向の大きな転換点になる可能性がある。

(全文レポートより一部抜粋)

今後1年間の日本経済の注目点

設問4. 今後1年間の日本経済の注目点

今後1年間の事業展開を展望するうえで注目される日本経済の注目点を調査した。

今回調査では、新たに回答選択肢に加えた「為替動向(更なる円安の進行など)」が81%の高い回答率で1位となった。11月に一時1ドル=150円を超えた円安は、特に輸入企業にとっての投入コスト増加要因となっている一方、輸出企業や海外事業の円ベース収益の押上要因にもなっている。多くの企業にとって年初想定以上の円安であることや、来年度の計画レート策定時期であることなどが、為替動向への注目を高めた背景であろう。

なお、11月の調査後の12月には、日本銀行総裁の発言を機に円金利上昇期待が高まり一時1ドル=141円レベルまでの急激な円高が進行した。金融政策への思惑から今後も為替市場は変動が予想され、高い注目度が続くだろう。2位「人材・労働力不足」、3位「生産コストやインフレ」は引き続き注目点として上位に位置しており、コスト増加がCFOの継続的な注目点であることを示唆している。

(全文レポートより一部抜粋)

ファイナンス人材に対する人的資本投資

設問6. ファイナンス人材に対する人的資本投資

ファイナンス人材に対する人的資本投資を「十分できている」と回答した企業は0%となり、各社ともに取り組み途上であることがうかがえる。23年2月の本サーベイにおける「今後ファイナンス組織として力を入れたい取組み」に関する設問で、「ファイナンス人材育成・人的資本の強化」との回答が上位となったことを裏付ける結果となり、さらに力を入れていきたいと考えていることがうかがえる。

一方で、「できていない」と回答した企業も0%であり、何らかの形で人材投資を進めていることがわかる。しかしながら、そのレベル感は企業によって様々であり、「できている」「どちらともいえない」「あまりできていない」の3択で3分割される結果となった。

(全文レポートより一部抜粋)

人材マネジメントに関する課題

設問9. 人材マネジメントに関する課題

人材マネジメントに関する課題としては票が割れる結果となった。50%を超える回答がないことから、どの会社も一律で抱えている課題があるわけではなく、各社各様の課題を抱えていることがわかった。人材マネジメントにあたっては、大方針となる人材戦略を立案し、戦略に沿って採用、配置、育成のサイクルを全体感をもって検討していく必要があるだろう。

「中途採用者が企業文化や慣習になじめていない」「定着率が低い」といった課題をあげた企業は少なく、中途採用比率が高まるにつれ、企業側でも受け入れ文化が整ってきていると言えるだろう。

(全文レポートより一部抜粋)

CFOにとっての“the Trusted Advisor”となるために

デロイト トーマツ グループでは、様々な課題に直面するCFOを支え、ファイナンス組織の能力向上に寄与することを目指したサービスを展開しています。グローバルに展開するプロフェッショナルファームとして先進的な知見やネットワークの場を提供し、CFOにとっての“the Trusted Advisor"となることを目指します。詳しくは、CFOプログラム*をご確認ください。

*CFOプログラムとは、様々な課題に直面するCFOを支え、ファイナンス組織の能力向上に寄与することを目指すデロイト トーマツ グループによる包括的な取り組みです。

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