調査レポート

Deloitte CFO Signals Japan: 2023Q4

財政環境見通しは概ね不変、米中動向や日銀金融政策は引き続き大きな注目点

日本における第35回目の実施となったCFOを対象とした四半期ごとの意識調査。本調査前半では、CFOの経済環境に関する意識変化やマクロ視点での日本経済及び世界主要国のリスクシナリオについて時系列で意識調査を行い、調査時点での最新の見通しを考察しました。調査後半では、日本の独自のホットトピックとして、「データドリブン経営への取り組み状況 」に関してお伺いしました。本ページでは、今回のサーベイ結果の中で特徴的な回答結果についてまとめています。(調査期間:2024/2/15~2/28)

Deloitte CFO Signals について

Deloitte CFO Signalsは、デロイトがグローバルレベルで定期的に実施している、企業を取り巻く経済環境に関するCFOの意識調査です。毎回の調査で世界各国CFOの皆様から得られた回答結果を集約し、デロイトの専門家が考察を加え、CFOからの”Signals”として発信しています。日本で行うDeloitte CFO Signals Japanでは、「経済環境に関する調査」において、毎回グローバルで統一の設問を設定しています。それによって日本だけに限らず、グローバルレベルでCFOの動向を考察します。

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2023Q4 CFO Signals Report Highlights

財政的な見通し

設問1. 財政的な見通し

各社の財政的な見通しが3ヶ月前と比べてどのように変化したかを調査した。

今回の2023Q4調査では「概して変わっていない」回答が76%と、前回の59%から更に増加して全体の4分の3以上を占めた。確かに、調査期間の2024年2月までの3ヵ月間は経済や政治環境に著変は無かったといえる。

ロシア・ウクライナ問題は膠着状態、欧米の中央銀行は利上げを停止して様子見に入り、株価は堅調に上昇を続け、また為替相場は円安水準を維持した。かかる状況からは、CFOの財政環境見通しが不変であったことは首肯しうる。ただし、今後は見通しに変化が出てくる可能性が高そうだ。米国大統領選挙戦ではトランプ氏の共和党候補指名が決定したが、世論調査によれば支持率でバイデン現大統領をわずかにリードしている。トランプ氏が大統領に返り咲いた場合に米国の外交・経済・通商政策には大きな変動が見込まれる。金融政策においては、欧米中銀が利下げのタイミングを見計らっているのに対し、日本銀行は今年から金融政策の正常化を進める見通しだ。これに伴い為替市場では今後円高への転換も見込まれる。

(全文レポートより一部抜粋)

今後1年間の日本経済の注目点

設問4. 今後1年間の日本経済の注目点

今後1年間の事業展開を展望するうえで注目される日本経済の注目点を調査した。

今回調査では、1位が「人材・労働力不足」、2位が「為替動向」と前回から順位が入れ替わった。また3位には「日本銀行の金融政策」が前回の4位から順位を上げ、前回3位の「生産コスト・上昇インフレ懸念」が4位に後退した。もっとも上位4つの回答は前回と同じであり、CFOの注目点が人材・為替・金融政策・インフレであることは不変だ。業績見通しの好転とともに事業拡大を支える人材不足が更に深刻になっており、今年の春闘での大幅な賃上げ回答につながっているとみられる。為替市場は2月まで1ドル=150円レベルの円安が続いたものの、今後日本銀行の金融政策正常化や欧米中央銀行の利下げ転換により円高への転換が見込まれる。日本銀行の金融政策正常化は、そのペースによっては為替のみならず企業の資金調達コストの上昇につながる可能性もある。当面はこれらの項目がCFOの注目点であり続けるだろう。

(全文レポートより一部抜粋)

データドリブン経営に関する取り組み状況

設問8. データドリブン経営に関する取り組み状況

データドリブン経営に関して全社的に取り組んでいることとして、「意思決定に必要なデータの可視化」(56%)、「デジタル人財の育成」(48%)が上位となる結果であった。特に「デジタル人財の育成」は2年前の調査では29%であったが今回の調査では48%となり、以前よりも増加している。人財育成の重要性と難しさが垣間見られる結果であり、各組織に一任するのではなく全社的な取り組みが必要と推察できる。

また、本調査での回答の選択肢として挙げたすべての取り組みに対して「取り組む予定なし」の回答が皆無であった(0%)。今の時代の経営・事業活動においてはデータ活用が不可欠であることを示す結果となっており、データ活用の各取り組みが今後も益々実施されていくことが予測できる。

(全文レポートより一部抜粋)

AIの普及により改善が期待できる業務

設問10. AIの普及により改善が期待できる業務

この調査結果により、「AIは有効だと考えておらず、導入の予定はない」という回答が皆無であったことがわかる(0%)。どの企業のCFOも、何かしらの形でのAIによる業務改善の効果を期待しているといえる。

また、AIにより改善を期待する業務内容は多岐にわたるが、特に期待の声が多かったのは、「予測・計画数値の向上」(52%)、「分析・考察テキストの作成」(48%)、「データ分析・解釈のサポート(予測差異の原因・対応策の提示等)」(48%)であった。AIの利用については、ヒトの作業の単なる代替というよりも、予測の数値向上や分析の示唆の提供において、AIを活用した気づきの発見や広範なデータを活用した分析等、業務の高度化を求めていると考えられる結果といえる。

(全文レポートより一部抜粋)

CFOにとっての“the Trusted Advisor”となるために

デロイト トーマツ グループでは、様々な課題に直面するCFOを支え、ファイナンス組織の能力向上に寄与することを目指したサービスを展開しています。グローバルに展開するプロフェッショナルファームとして先進的な知見やネットワークの場を提供し、CFOにとっての“the Trusted Advisor"となることを目指します。詳しくは、CFOプログラム*をご確認ください。

*CFOプログラムとは、様々な課題に直面するCFOを支え、ファイナンス組織の能力向上に寄与することを目指すデロイト トーマツ グループによる包括的な取り組みです。

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