調査レポート

Deloitte CFO Signals Japan: 2024Q1

不確実性はこの1年で最も高水準

日本における第36回目の実施となったCFOを対象とした四半期ごとの意識調査。CFOの経済環境に関する意識変化やマクロ視点での日本経済及び世界主要国のリスクシナリオについて時系列で意識調査を行い、調査時点での最新の見通しを考察しました。本ページでは、今回のサーベイ結果の中で特徴的な回答結果についてまとめています。(調査期間:2024/5/14~5/24)

Deloitte CFO Signals について

Deloitte CFO Signalsは、デロイトがグローバルレベルで定期的に実施している、企業を取り巻く経済環境に関するCFOの意識調査です。毎回の調査で世界各国CFOの皆様から得られた回答結果を集約し、デロイトの専門家が考察を加え、CFOからの”Signals”として発信しています。日本で行うDeloitte CFO Signals Japanでは、「経済環境に関する調査」において、毎回グローバルで統一の設問を設定しています。それによって日本だけに限らず、グローバルレベルでCFOの動向を考察します。

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2024Q1 CFO Signals Report Highlights

財政的な見通し

設問1. 財政的な見通し

各社の財政的な見通しが3ヶ月前と比べてどのように変化したかを調査した。

今回調査では、財政環境が「概して変わっていない」との回答が68%と、依然半数を大きく超える状況が続いている。前回調査と比べると「楽観的」回答がやや減少、「楽観的でなくなった」回答がやや増加した。調査期間の2024年5月時点では、日本では引き続き物価上昇による消費低迷懸念が続き、また為替市場で大幅な円安が進んだ。更に自動車メーカーの認証問題で一時自動者生産が停滞するなど、日本経済はやや踊り場ムードであった。他方、春闘における大幅賃上げの実現や、インバウンド需要の大幅増加などの好材料もあり、合わせて財政環境は不変との判断の模様だ。デロイト トーマツでは日本経済は今後順調に拡大しデフレ脱却が実現できるとみており、本来は財政環境は好転方向とみておきたい。

(全文レポートより一部抜粋)

今後1年間の日本経済の注目点

設問4. 今後1年間の日本経済の注目点

今後1年間の事業展開を展望するうえで注目される日本経済の注目点を調査した。

今回は、第1位が「為替動向」(前回2位)となった。4月の終わりにドル/円は34年ぶりの1ドル=160円の円安水準に達したのち、直後の財務省の為替介入とみられる円買いで150円台半ばまで円高になったものの、依然現在でも150円台後半の円安水準を保っている。一般には円安は、輸入物価の上昇などで物価高の要因となり特に家計への悪影響が大きいとされている。もっとも、円安には輸出企業や日本企業の海外事業、インバウンド消費拡大にとっては追い風となる。ただしいずれにしても、為替の大きな変動は企業業績に大きな影響を与えるため、今後もCFOの注目点であり続けるだろう。デロイトでは、米国FRBの利下げは年末頃まで後ずれする可能性があると見ており、年内はほぼ現状の円安水準が続くと予想している。第2位は「人材・労働力不足」が前回の1位からは順位を下げたものの、長期間にわたり注目点の上位回答となっている。春闘における大幅な賃上げ実施や様々な雇用改革に見られる通り、人材確保も当面CFOの課題となりそうだ。第3位には前回同様「日本銀行の金融政策」が入り、為替への影響や資金調達コスト動向への関心が窺われる。

(全文レポートより一部抜粋)

今後1年間の海外経済の注目点

設問5. 今後1年間の海外諸国経済の注目点

今後1年間の事業展開を展望するうえで注目される海外諸国経済の注目点を調査した。

第1位から第3位までは前回調査と不変で「米国大統領選挙」「中国の経済/産業動向」「米国の経済動向」の順となった。米国大統領選挙戦ではトランプ前大統領の裁判が進行中、他方バイデン大統領は対中国輸入関税引上げなどトランプ候補を先取りするような政策を積極実施する一方、中東問題やウクライナ問題については内外で賛否が分かれるなど難しい政策運営が続いている。選挙結果の行方は依然不確実である。中国経済は政府の支援策で一時底入れはしたと思われるものの、所得低下や不動産市場悪化などの構造的悪化要因は継続している。逆に米国経済は予想以上に好調であり、今後はその持続性が注目されよう。これらの注目点は今後もCFOの関心事の上位でありつづけるだろう。

(全文レポートより一部抜粋)

CFOにとっての“the Trusted Advisor”となるために

デロイト トーマツ グループでは、様々な課題に直面するCFOを支え、ファイナンス組織の能力向上に寄与することを目指したサービスを展開しています。グローバルに展開するプロフェッショナルファームとして先進的な知見やネットワークの場を提供し、CFOにとっての“the Trusted Advisor"となることを目指します。詳しくは、CFOプログラム*をご確認ください。

*CFOプログラムとは、様々な課題に直面するCFOを支え、ファイナンス組織の能力向上に寄与することを目指すデロイト トーマツ グループによる包括的な取り組みです。

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