ナレッジ

IASB、年次改善の第11集を最終化

IAS Plus 2024.07.18
 

国際会計基準審議会(IASB)は、「IFRS会計基準の年次改善(第11集)」を公表した。本年次改善には、IASBの年次改善プロジェクトの成果として、5つの基準の修正が含まれている。本修正は、2026年1月1日以後開始する事業年度に発効する。

国際会計基準審議会(IASB)は、「IFRS会計基準の年次改善(第11集)」を公表した。本年次改善には、IASBの年次改善プロジェクトの成果として、5つの基準の修正が含まれている。本修正は、2026年1月1日以後開始する事業年度に発効する。

IASBは、他の主要プロジェクトの一部として含まれない、必要であるが緊急ではない修正を行うために、年次改善プロセスを使用する。本年次改善は、以下の修正で構成される。

 

 

基準

 

修正の主題

 

IFRS第1号「国際財務報告基準の初度適用」

 

初度適用企業によるヘッジ会計
修正は、IFRS第1号B6項とIFRS第9号におけるヘッジ会計についての要求事項の文言の不整合から生じる混乱の可能性に対処する。

 

IFRS第7号「金融商品:開示」

 

認識の中止に係る利得または損失
修正は、IFRS第13号「公正価値測定」が公表された際にIFRS第7号から削除された項への参照から生じる、IFRS第7号B38項における混乱の可能性に対処する。

 

IFRS第7号「金融商品:開示」(適用ガイダンスのみ)

 

公正価値と取引価格との間の繰延差額の開示
修正は、IFRS第13号の公表による結果的修正がIFRS第7号の28項に行われたが適用ガイダンスの対応する項には行われなかったことから生じた、IFRS第7号の28項と付属する適用ガイダンスとの不整合に対処する。

 

IFRS第7号「金融商品:開示」(適用ガイダンスのみ)

 

はじめに及び信用リスクの開示
修正は、ガイダンスがIFRS第7号の参照項のすべての要求事項を例示するものではない旨IG1項を明確化すること及びいくつかの説明を簡素化することにより、混乱の可能性に対処する。

 

IFRS第9号「金融商品」

 

借手のリース負債の認識の中止
修正は、IFRS第9号2.1.項(b)(ii)がIFRS第9号3.3.1項への相互参照を含むが、IFRS第9号3.3.3項への相互参照を含まないために生じる、借手のリース負債の消滅を会計処理するIFRS第9号の要求事項の適用における明確性の欠如の可能性に対処する。

 

IFRS第9号「金融商品」

 

取引価格
修正は、「取引価格」の用語がIFRS第15号における定義と必ずしも整合しない意味でIFRS第9号の特定の項において使用されているが、IFRS第9号付録AのIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の「取引価格」の定義へ参照していることから生じる、混乱の可能性に対処する。

 

IFRS第10号「連結財務諸表」

 

「事実上の代理人」の判定
 
修正は、両方の項の文言を合わせることにより、他の当事者が投資者のために行動しているかどうかの投資者の判定に関連するIFRS第10号のB73項とB74項の不整合から生じる、混乱の可能性に対処する。

 

IAS第7号「キャッシュ・フロー計算書」

 

原価法
修正は、IFRS会計基準においてもはや定義されていない「原価法」の用語の使用から生じる、IAS第7号37項の適用における混乱の可能性に対処する。



本修正は、2026年1月1日以後開始する事業年度に発効し、早期適用は認められる。

企業が本修正を最初に適用する事業年度の期首以後に消滅するリース負債に対してIFRS第9号2.1項(b)(ii)の修正を適用することが要求されること以外は、本修正には経過措置は含まれていない。

 

さらなる情報

IASBプレスリリース の日本語訳(ASBJのWebサイト)
》IAS Plusのプロジェクト・ページ Annual im¬prove¬ments — Volume 11(IAS Plus-英語版)

お役に立ちましたか?