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IASBは、持分法の適用に関する修正を提案する
IAS Plus 2024.09.19
IASBは、公開草案IASB/ED/2024/7「持分法会計-IAS第28号『関連会社及び共同支配企業に対する投資(202X年改訂)』」を公表した。コメントは2025年1月20日まで募集している。
国際会計基準審議会(IASB)は、公開草案IASB/ED/2024/7「持分法会計-IAS第28号『関連会社及び共同支配企業に対する投資(202X年改訂)』」を公表した。コメントは2025年1月20日まで募集している。
背景
IASBのアジェンダ協議2011における関係者のフィードバックにより、持分法会計の一定程度の批判が明らかになった。
関係者から提起された懸念には、以下が含まれる。
- 持分法により提供者される情報が、利用者にとって有用かどうか
- 複雑性及び他のIFRS会計基準の要求事項との不整合。例えば、のれんの減損、株式に基づく報酬及び共同支配の取決め
従って、IASBは投資者にとっての有用性及び作成者にとっての困難さの観点から、持分法会計の抜本的な評価を目的とするリサーチ・プロジェクトをアジェンダに追加した。しかし、抜本的なレビューは利用可能なものを超えて時間及び資源を要求することとなるため、IASBはその後プロジェクトの目的を修正した。プロジェクトの目的は現在、IAS第28号「関連会社及び共同支配企業に対する投資」に示される持分法の適用上の問題が、連結及び単体財務諸表において、IAS第28号の原則で識別及び説明することにより対処できるかどうかを評価することである。
変更案
公開草案IASB/ED/2024/7「持分法会計-IAS第28号『関連会社及び共同支配企業に対する投資(202X年改訂)』」における変更案は、投資者が以下の場合における持分法の適用に関する適用上の問題に回答することを意図している。
- 重要な影響力または共同支配を獲得する投資者の所有持分の変動
- 重要な影響力または共同支配を維持している投資者の所有持分の変動。これには、以下が含まれる。
・関連会社または共同支配企業の追加の所有持分の購入
・関連会社または共同支配企業の所有持分の処分
・投資者の所有持分が変動する関連会社または共同支配企業の純資産についてのその他の変動(例えば、新株式の発行) - 投資者の損失に対する持分の認識。これには、以下の提案されている決定が含まれる。
・関連会社または共同支配企業に対する投資をゼロに減額している投資者が、当該関連会社または共同支配企業に対する追加の持分を購入する場合、認識されていなかった損失を「キャッチ・アップ」することが要求されるか。
・関連会社または共同支配企業に対する投資をゼロに減額している投資者が、当該関連会社及び共同支配企業の純損益に対する持分と当該関連会社及び共同支配企業のその他の包括利益に対する持分を別個に認識するかどうか。 - 関連会社または共同支配企業との取引。 これには、例えば、IFRS第10号及びIAS第28号の要求事項に従った、関係会社または共同支配企業への子会社の売却から生じる利得または損失の認識が含まれる。
- 当初認識における繰延税金の影響。 これは、関連会社及び共同支配企業の識別可能な資産及び関連会社及び共同支配企業の負債に対する投資者の持分を公正価値で測定することに関連する。
- 条件付対価。
- 公正価値の下落の評価。これは、関連会社または共同支配企業の公正価値の下落は、純投資が減損している可能性がある客観的な証拠であるかどうかの問題に関連する。
公開草案における提案の一部として、IASBは、2014年9月に公表したが2015年12月に発効日の確定できない延期を行った2014年の修正「投資者とその関連会社又は共同支配企業の間での資産の売却又は拠出」(IFRS 第10号及びIAS 第28号の修正)を廃止することも提案する。
変更案に対するコメントは、2025年1月20日まで募集される。
発効日
公開草案では、本修正の発効日を特定していない。発効日は、IASBが本提案を再審議中に決定される。
さらなる情報
》IASBのプレスリリースの日本語訳(ASBJのWebサイト)
》 IFRS財団ウェブサイトでの公開草案へのアクセス(PDF:340KB-IASBのWebサイト-英語)
》IFRS財団ウェブサイトでの結論の根拠へのアクセス (PDF:340KB-IASBのWebサイトー英語)
》IFRS財団ウェブサイトでの本提案のスナップショットへのアクセス (PDF:164.02KB-IASBのWebサイトー英語)
》IAS Plusのプロジェクトページの持分法会計(IAS Plus-英語版)