ナレッジ
IASBは、引当金の会計処理に関する修正を提案する
IAS Plus 2024.11.12
IASBは、公開草案IASB/ED/2024/8「引当金-的を絞った改善」(IAS第37号の修正案)を公表した。コメントは2025年3月12日まで募集している。
国際会計基準審議会(IASB)は、公開草案IASB/ED/2024/8「引当金-的を絞った改善」(IAS第37号の修正案)を公表した。コメントは2025年3月12日まで募集している。
背景
IASBは、IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」の 改訂の必要性を長年にわたり検討してきたが、現在のプロジェクトに関するリサーチは、2015年に取り上げられ、本プロジェクトは、2018年12月にリサーチ・パイプラインからIASBのアクティブ・リサーチ・アジェンダに移された。
その時までに、当初認識されていた問題の一部は、他のプロジェクトの一部として対処される、または改訂「概念フレームワーク」により修正されたため、的を絞った改善のみが残っていた。 2020年1月までに、IASBは、IAS第37号に対して以下の3つの的を絞った改善を行うことを目的と指して、プロジェクトを基準設定アジェンダに移行するのに十分な程度に識別された問題を絞り込んだ。
- 現在の義務の認識規準
- 引当金の測定
- 割引率
変更案
公開草案IASB/ED/2024/8「公開草案IASB/ED/2024/8「引当金-的を絞った改善」(IAS第37号の修正案)における変更案は、的を絞った改善として識別された3つの分野を取り扱っている。
- 現在の義務の認識規準。IASBは、以下を提案している。
・IAS第37号における負債の定義及び現在の義務の認識規準を、「概念フレームワーク」における負債の定義に合わせるために更新する。
・「概念フレームワーク」の概念を利用して、現在の義務の認識規準をサポートする要求事項を修正する。
・IFRIC第6号「特定市場への参加から生じる負債 - 電気・電子機器廃棄物」を廃止し、IAS第37号の適用ガイダンスにおける設例に置き換える。
・その要求事項が公開草案での提案と整合しないIFRIC第21号「賦課金」を廃止し、IAS第37号の適用ガイダンスにおける設例に置き換える。
- 引当金の測定。
IASBは、現在の義務を決済するための支出は、当該義務に直接関連するコストで構成され、これには、当該債務を決済するための増分コストと当該種類の義務の決済に直接関連する他のコストの配分の両方が含まれることを明確化することを提案している。
- 割引率。
IASBは、企業がリスクフリー金利を使用して引当金を割引くことが要求されることを明確化することを提案している。
IASBはまた、IFRS第19号「公的説明責任のない子会社:開示」に、引当金の測定に使用した割引率を開示する要求事項を追加することを提案しているが、当該レート(または当該複数のレート)を決定するために使用したアプローチを開示する要求事項は追加しないことを提案している。
変更案に対するコメントは、2025年3月12日まで募集される。
発効日
公開草案では、本修正の発効日を特定していない。発効日は、IASBが本提案を再審議中に決定される。
さらなる情報
》IASBのプレスリリースの日本語訳(ASBJのWebサイト)
》 IFRS財団ウェブサイトでの公開草案へのアクセス(IASBのWebサイト-英語)
・IAS第37号の修正案(PDF:238.24KB)
・IAS第37号の適用ガイダンスの修正案(PDF:307.90KB)
・結論の根拠 (PDF:210.05KB)
》IAS Plusのプロジェクトページの引当金-的を絞った改善(IAS Plus-英語版)