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IASB、買収に関する情報を強化することを提案

IAS Plus 2024.03.14  

国際会計基準審議会(IASB)は、公開草案IASB/ED/2024/1「企業結合-開示、のれん及び減損 (IFRS第3号及びIAS第36号の修正案)」を公表した。コメントは、2024年7月15日まで募集されている。

国際会計基準審議会(IASB)は、公開草案IASB/ED/2024/1「企業結合-開示、のれん及び減損 (IFRS第3号及びIAS第36号の修正案)」を公表した。コメントは、2024年7月15日まで募集されている。

 

背景

このプロジェクトは、IFRS第3号「企業結合」の適用後レビューの結果である。

適用後レビューにおけるフィードバックは、のれんの減損が必ずしも適時に認識されているとは限らないこと、IFRS会計基準が要求する開示では、取得した事業が取得時に期待されたとおりに業績を上げているかどうかを理解するのに十分な情報が得られていないことが明らかになった。また、IAS第36号「資産の減損」に基づくのれんに要求される減損テストは、コストがかかり、複雑であるというコメントもあった。

したがって、IASBは、IFRS第3号「企業結合」及びIAS第36号の改善の可能性を検討することを決定し、2020年3月19日にディスカッション・ペーパー(デロイトトーマツのWebサイト-※1)を公表した。

本日公表された公開草案は、ディスカッション・ペーパーに寄せられたフィードバックを考慮し、これは、企業の企業結合のパフォーマンス、及び経営者がこれらの事業を取得するために企業の経済的資源をいかに効率的かつ効果的に利用したかをより適切に評価することを可能にする情報を利用者に提供することを目的とする、IFRS第3号及びIAS第36号の修正を提案している。

 

変更案

IASB/ED/2024/1「企業結合 - 開示、のれん及び減損」(IFRS第3号及びIAS第36号の修正案)の公開草案における修正案は、以下のとおりである。

IFRS第3号の修正案

  • 重要性がある企業結合のサブセットであり、IFRS第3号の一連の閾値を使用して識別される戦略的企業結合については、企業は、企業結合の取得日の主要な目的及び関連する目標、及びこれらの主要な目的と関連する目標が達成されているかどうかに関する情報を提供することが要求される。企業は、経営幹部によって検討された情報のみを開示することが要求される。
  • 企業は、その情報が商業上の機密である場合、または企業が訴訟リスクにさらされる場合、情報の一部を開示することを免除される。
  • 公開草案には、IFRS第3号の開示要求に対する他のいくつかの修正案が含まれており、その中には、新たな開示目的及び企業結合の戦略的根拠として期待されるシナジー効果に関する開示要求が含まれている。

IAS第36号の修正案

  • IASBは、資金生成単位へののれんの配分方法を明確にすることにより、シールディングを低減する、IAS第36号の減損テストの修正を提案する。
  • その他の修正案は、どの報告セグメントに資金生成単位(のグループ)が含まれているかの開示、及び企業が資産の使用価値をどのように計算するかに関するものである。

その他の修正案

  • また、公開草案では、企業結合の戦略的根拠、期待されるシナジー効果、買収した事業の貢献度、及び使用価値の算定に用いる割引率に関する開示について、今度のIFRS第19号の修正を提案している。

修正案に対するコメントは、2024年7月15日まで募集される。

 

発効日

IASBは、公開後に修正案の発効日を決定する。IASBは、企業に本修正を遡及的に適用することを要求することを提案している。早期適用は認められる。

 

さらなる情報

》IASBのプレス・リリースの日本語訳 (ASBJのWebサイト)
》IFRS財団のウェブサイト上の公開草案へのアクセス (PDF:297.48KB-IASBのWebサイト-英語)
》本提案の概要を示すスナップショット (PDF:112.08KB-IASBのWebサイト-英語)
》本提案を説明する短いビデオ (IASBのWebサイト-英語)
》IAS Plusのプロジェクトページのれんと減損(IAS Plus-英語版)

 

※1》 IFRS in Focus「IASB が、ディスカッション・ペーパー「企業結合-開示、のれんおよび減損」を公表」(デロイトトーマツのWeb サイト)

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