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開催報告レポート:独自価値にエナジーを吹き込む事業強化実践セミナー(2022年10月26日)
「事業統合によるバリューアップが思うように進まないのはなぜ ! ?」をテーマに成長力を強化し、事業価値の再構築を促す8つの力についてWebinarを開催しました 。本ページではレポートとして講演内容の要旨をご紹介します。
事業の独自価値を定義付ける発想法
自社の独自価値を定義する上でよく起こりがちなことは、いつのまにか自社の「機能価値」や「提供価値」だけを言語化してしまうことです。独自価値を生み出していくためには「顧客価値」や「社会価値」も含めて定義していかないと、独自の企業・事業や独自の商品・サービスの創出につながらないことに注意が必要です。私たちの事業は、「どんな社会に」「どんな喜びを」「どのように提供する存在か」、もしくは、私たちの商品・サービスは、「誰に」「どんな喜びを」「どのように提供する存在か」を明らかにしていく必要があります。
また、「いいものを作っているのに、思うように売れない」「いいものを作っても、その良さが上手く伝わらない」という声をよく聞きます。人々は商品やサービスの機能や仕組みにお金を支払っているのではなく、購入後、その商品・サービスを利用したときに得られる「喜び」(BtoBでは「得られる効果」)に期待して代金を支払っていることを忘れないようにしてください。企業は、商品・サービスだけではなく、事業そのものが社会にどのような「喜び」を提供するものであるかを起点にして、独自価値を発想していくことが重要となります。
統合後の事業価値を高めるために必要なこと
M&Aによる事業統合後によくある悩みごととして「ベクトル合わせが思うように進まない」「組織間に見えない溝がある」「企業文化が異なって合意形成に至らない」といったことがありますが、組織に一体感を生み出し事業価値を高めていくためには「事業ビジョン」を共有していくことが必要となります。事業ビジョンは、商品やサービスを通じて事業が実現しようとする社会の姿であり、事業活動を通じて実現を目指す社会像のことを指します。「なぜ、私たちの会社は統合する必要があったのか?」という従業員の問いに対して、「こういう社会を実現するために、私たちは統合する必要があった」と事業ビジョンを掲げることで、納得感や腹落ち感を醸成することが重要となります。
統合後のバリューアップが思うように進まず「1+1<2」となっている企業がありますが、このようなケースは、そもそもの発想が「A事業の価値+B事業の価値=(A+B)事業の価値」という積み上げ式になっていることが多いと感じています。新しい価値の創出やバリューアップに成功していくためには、「A事業の価値+B事業の価値=(新しいC)事業の価値」といった化学反応式の発想で再構築していくことが重要となります。また、独自価値をどのように発見していくかについては、事業に関係する部門が集まるワークショップを開催し、新事業の価値やビジョンに対する共通認識が醸成しながら、新たな価値を見出す企業風土がつくっていくことが有用です。このワークショップの中で、徹底した議論を尽くすことで、新たな独自価が見えてくることが多いと感じています。
また、共通の価値に対する認識のズレをなくすためには、「誰に」「どんな喜びを」「どのように提供する存在か」や「事業ビジョン」をインプットするだけではなく、事業の独自価値を決定づける以下の7要素を定め、事業のビジョンステートメントを作成・共有していくことが重要となります。
- 機能価値:事業が顧客や社会に提供する価値
- 背景要素:事業の独自性・らしさを支える背景や要因
- パーソナリティ:事業が大切にしている個性や性格
- シンボル:事業の価値を顧客や社会が認識する象徴
- 社会像・社会欲求:事業の存在によって喜んでほしい社会像(欲求・不満)
- 情緒価値:事業の存在によって得られる社会の喜び
- 関係性:事業が社会と築くべき関係性
事業価値の再構築を促す力
事業価値の再構築を促す「8つの力」は、価値の棚卸しをする際の「独自力」、社会価値を提供する「貢献力」、将来の展望や市場動向を見極める「洞察力」、事業ビジョンを通じた「共感力」、事業計画を策定する「計画力」、商品強化・体験価値の強化をもたらす「実態力」、広報・販促による「伝達力」、そして関係部門・従業員の主体性やモチベーションとなる「推進力」となります。
なかでも「推進力」に関しては、「どうすれば、社員・従業員の主体性が上がるだろうか」「社内から積極的な提案が、もっと欲しいのになぁ」「エンゲージメントの向上はどう取り組めばいい」といった声を良く聞きます。
人は、今の姿と未来の理想の姿にギャップがあり、その壁を超えようとするときにモチベーションスイッチが入ります。企業においても、事業の今の状況と事業ビジョンとの間にあるギャップがあり、そのギャップを埋めようとする際にモチベーションスイッチが入ります。個人と組織ではモチベーションの在り方が異なるという意見もありますが、組織には集合意識というものがあり、多くの企業では、その集団体独自のモチベーションスイッチがうまれているものです。その各社特有のモチベーションスイッチを見つけて推進力をあげていくことが重要です。
では、どのようにして社内のモチベーションスイッチを見つけるかですが、従業員インタビューやアンケートでは見つけることが難しいと感じています。これまでの経験の中で有効だった取り組みは、ワークショップ等でビジョンの実現に必要な社内施策(アイディア)を出し合ったりする際に、参加者のたくさんのアイディアを俯瞰して見たり、アイディアの奥にある隠れた不満・満たしたい欲求を発見することでスイッチが見つかることが多いと感じています。
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