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組込型金融:顧客関係とバリューウェブ・ダイナミクス

組込型金融(embedded finance)は、金融機関にとって重要な戦略的検討事項になりつつあります。本レポートでは、組込型金融の概念と、それが顧客体験にどのような影響を与えるかを調査しています。また、組込型金融の成長状況、もたらされるメリット、デメリット、および課題などについてのインサイトも紹介しています。

主要なハイライト

  • 組込型金融は、金融サービス・商品を非金融サービス・商品のデジタル体験に統合するものです。
  • 最近の推計によると、2030年までに、組込型金融の市場は7兆2000億米ドルに成長するとされています。
  • 組込型金融がもたらすメリットには、ユーザー体験の向上、金融包摂の強化、より良いよりカスタマイズされた商品・サービスの提供を可能にすること、金融機関の新規顧客獲得コストの削減、スケーラビリティの促進などがあります。
  • 一方、組込型金融が金融機関にもたらす課題には、顧客からの信頼の維持、顧客の選択肢の多様化のサポート、消費者保護の維持、相互運用性とシームレスなユーザー体験の実現、市場におけるその他の主要な進化(例:オープンデータ、デジタルID)との組み合わせによる組込型金融の最適な導入方法の決定などがあります。
  • 組込型金融はまだ完全に普及していません。私たちは、中小企業向けのビジネスケースの拡大とともに企業間取引(B2B)分野がさらに発展すること、また、組込型金融のユースケースにおいて自動化と人工知能(AI)の導入が増加し、消費者がより良い金融上の意思決定を行えるようになること、さらに、サービスの統合とプラットフォーム化現象によって市場で一定の統合が進むことを予想しています。
  • 金融サービス内の多くの分野において組込型金融のユースケースが現れていますが、現在の最も成熟したユースケースは決済と保険に見られます。

  • デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社
    菅谷 幸一

    現職にて、海外金融規制の調査業務等を担当。以前は、証券会社系シンクタンクにて、金融機関の事業動向・経営環境の調査・分析業務に従事。財務省国際局国際機構課、金融庁企画市場局市場課への出向経験あり。

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