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アセットマネジメントにおけるグリーンウォッシュのリスク

常に一歩先を行く

Performance magazine issue39より

グリーンウォッシュとは、企業や投資ファンドが自社の商品や活動の「環境パフォーマンスについて、誤解を招く、あるいは根拠がない主張をすること」とイギリス政府が説明しています。特にサステナブルな金融商品に対する投資家の需要が高まっていることから、イギリス、EU、そして世界で、グリーンウォッシュを巡る規制問題がますます深刻化しています。規制当局は、この高い利益を生む成長市場での競争を後押しすることが資産運用会社のプレッシャーとなり、サステナブル商品の環境的特性の誇張につながることを懸念しています。

一方で、標準化されていない不完全なサステナビリティデータに基づいて投資判断が成された場合や、資産運用会社が、適用方法が曖昧なサステナビリティ関連用語を会社やファンドに用いてコミュニケーションを行った場合にも、グリーンウォッシュが生じる可能性があります。また、継続的報告で非財務パフォーマンス(炭素排出量の削減など)の説明に専門用語を過度に使用すると、最終投資家が新しい用語や指標に馴染みのない場合に、実際に述べられているよりも優れた環境的効果をもたらしていると捉えるケースが生じる可能性もあります。

EUタクソノミーとサステナブルファイナンス開示規制(SFDR)は、グリーンウォッシュリスクの軽減を主要目的の一つとしています。資産運用会社は、監督的介入により、重大な風評リスクにつながりかねないファンドの分類見直しを迫られることを大いに懸念しています。業界では、2023年1月に予定されているSFDRレベル2の発効に伴い、SFDR実施に関する欧州委員会からの追加のガイダンスやEU各国規制当局による監督事例が得られることが期待されています。分類が実際的にどのように機能するかについての監督事例と規制事例が十分に集まれば、不適切な分類も規制による罰則の対象となる可能性があります。  

 

要点

  • グリーンウォッシュは規制上の重要な懸念事項であり、資産運用会社は積極的にこのリスクを管理するべきです。
  • グリーンウォッシュは「コンダクトリスク」、つまり商品の環境面の特性を故意に偽って表示したり販売したりする行為とみなされている一方、標準化されていないサステナビリティデータや、サステナブル投資に関する馴染みの薄い用語が要因となり、意図せず発生する可能性もあります。
  • 当面はサステナビリティデータの不完全性が主な課題として残ると考えられるため、そうしたデータによる制約とその対応措置を明確に開示することが、最終投資家にとっての透明性の向上につながります。
  • グリーンウォッシュリスクへの対応責任は、コンプライアンス部門やリスク部門の責任範囲を大きく超えるものであり、資産運用会社およびファンド評議会が、全社戦略とファンド固有の戦略を策定することが必要です。

 

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