組込型保険とデジタルチャネルの可能性 ブックマークが追加されました
ナレッジ
近年注目を集めている組込型保険(エンベデッド・インシュアランス)では、消費者が自分で情報を得て判断を行うこととなる。保険募集のプロセスが変わっていく中で、情報提供や体制整備、意向把握といった保険募集における義務がどのように果たされることが求められるのか。保険募集のデジタル化が進む中で適切な保険募集を考える。
保険のクロスセルの手法においてオンラインやアプリなどのデジタルな顧客インターフェースを用いるようになり、近年改めて保険募集チャネルとして意識されるようになった。最近注目を浴びている組込型保険(エンベデッド・インシュアランス)は、他の商品・サービスのデジタルな提供の場面において同時に保険の募集を行い、シームレスなカスタマーエクスペリエンスを向上させるという、デジタルな側面が強調されている。
保険募集を行うにあたっては、消費者保護の観点から様々な行動規制が課せられる。しかしながら、組込型保険のような新たな保険募集の手法に特化した規制条文は見当たらず、原則的に代理店や営業職員等を通じた保険募集と同じ規制が適用されると考えられる。
本稿では保険以外の商品・サービスにおけるデジタルエコノミーの拡大という時流に乗った組込型保険の出現を追い、さらに募集規制の観点から考察を加える。デジタル技術の急速な発達に規制が十分に追いついていない面もあるが、新たな技術を用いても、どのように保険募集の業務を運営すべきか、規制当局と対話を行いながら適切な保険募集を行っていくことが求められる。
APIを使ったデータシェアリングによる新たな保険マーケットプレイスの出現