ナレッジ

【保険ERM】ERMの高度化と内部モデルの意義

(2017.12)

保険ERMにとって、内部モデル(Internal Model)はリスクを評価し、意思決定を向上させるための重要なツールであり、リスクの定量化し、組織内で標準化・客観化・共有化するために様々な発展をしてきました。

保険ERMの高度化と内部モデルの信頼性強化

保険負債の経済価値ベースの評価である、国際財務報告基準(通称「国際会計基準」International Financial Reporting Standards: IFRS)第17号が2017年5月に公表され、また本邦においても、経済価値ベースの新ソルベンシー制度への準備が進められている。
これまで保険経営は、保有契約の期待値の評価やリスクの評価のために内部モデルを開発し、その分析結果を意思決定に活用していくことによって、ERM経営を高度化してきた。
しかし一方で、モデルが不適切に管理された場合には深刻な問題を引き起こすのも事実である(これを「モデルリスク」と呼ぶ)。
このように保険ERMにとって、内部モデルは密接かつ重要なツールといえる。

保険事業のグローバル化とハーモナイゼーションの動き

規制は、市場の失敗を矯正し、国民や企業の安心・安全・信頼を確保するために必要なものである。
保険事業は、金融事業と同様、国民経済にとって密接かつ重要な制度であるため、原則免許事業となっている。
銀行においては、国際的業務を営む銀行に対して、バーゼル銀行監督委員会(Basel Committee on Banking Supervision: BCBS)による国際規制(バーゼル規制)が存在している。しかし保険規制は、国際的に統一されたものはなく、各国・地域ごとに異なっている。
保険会社の活動は多国籍化している。規制や監督においても、グローバルに整合的で効果的な保険監督が必要になってきている。また、グローバル金融危機以降、金融システム安定に貢献するための対策の必要性も高まっている。
1994年に設立された保険監督者国際機構(International Association of Insurance Supervisors: IAIS)には、現在約150カ国の200を超える管轄区域の保険監督者および規制者がメンバーとなって保険監督のハーモナイゼーションに関する活動を続けている。
例えば、IAISは、保険業界の健全性を促進し、契約者の適切な保護を確保するために必要な保険監督に関する保険基本原則(Insurance Core Principles: ICPs)を策定している。金融危機以降の規制改革の動向やその後のIAISでの論議内容はICPsに適宜反映させる改定作業も続けられている(IAISの活動については、2015.10.「IAISの最近の動きと保険ERM」、2017.1.「IAIS Update:2016年春」、2017.5.「IAIS Update 2016年 年次総会概要」参照)。

保険ERMの枠組みの標準化とベストプラクティスの追及

今日の保険ERMは、リスクを計量化した上で、リスク量とリターン、資本の関係を基軸にして管理する、いわゆる「定量的アプローチ」の高度化を推進してきた。
また、銀行ERMとは異なり、保険ERMにおいては、保険負債の経済価値評価、リスク評価が重要な領域を占めている。従って、保険内部モデルは、一般保険負債に関する数理モデル、自然災害等のエンジニアリング・モデル、資産運用リスクの金融モデルを統合したものである(2016.4.「保険ERMと数理モデル管理」参照)。
保険ERMは、実務を通じて発展させていくものである。同様に、内部モデルも経営管理に積極的に活用し、その中から高度化していく必要がある(Use Testと呼ばれている)。
異なる経験の中で発展してさせてきた、ERMや内部モデルをベストプラクティスの参考に、自社の仕組みを高度化していくことは、ERM実務には既に定着している。
Deloitteは、金融機関のモデルやERMに関するグローバルサーベイを定期的に実施してきている。サーベイ結果を一つのバロメーターとして自らのERMや内部モデルをレビューすることは有意義だと考える。

保険ERM態勢の高度化支援サービス

デロイト トーマツ グループでは、保険ERM態勢に関し、基礎的な情報提供から、各社固有の問題解決まで幅広く関わり、Deloitte Touche Tohmatsu Limited(DTTL)のグローバルネットワークを駆使し、最新の情報と豊富なアドバイザリーサービスを提供します。

保険ERM態勢高度化支援サービス
(ブロシュア、PDF、384KB)

保険業界における支援サービス

保険インダストリー関連サービス
(ブロシュア、PDF、212KB)

お役に立ちましたか?