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収益認識基準への税務上の対応(平成30年度税制改正)

(月刊誌『会計情報』2018年9月号)

本稿では、収益認識基準への税務上の対応の概要と留意すべき点を解説します。

著者:デロイト トーマツ 税理士法人 公認会計士・税理士 大野 久子

平成30年3月30日、企業会計基準委員会から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)(以下「収益認識基準」)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号)(以下「適用指針」)が公表された。収益認識基準は、平成33年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用されるが、平成30年4月1日以後開始する事業年度の期首からの早期適用も認められている。また、これに加え、平成30年12月31日に終了する事業年度から平成31年3月30日に終了する事業年度までにおける年度末からの早期適用も認められている。
従来より、我が国の法人税における収益認識は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとされていたため、これに合わせて平成30年度税制改正が行われ(平成30年3月31日公布)(以下「本改正」)、次いで6月1日に法人税基本通達等の改正が公表された。

本稿では、収益認識基準への税務上の対応の概要と留意すべき点を解説する。

1  収益認識基準をめぐる平成30年度税制改正の概要
(1) 改正の概要
従来より、法人の各事業年度の所得金額の計算における益金の額は、別段の定めがあるものを除き、資本等取引以外の取引に係る収益の額とされており(法法22②)、その収益の額は一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとされていた(旧法法22④)。そのため、収益認識基準の公表に合わせて平成30年度税制改正が行われ、税務上の対応が図られた。
更に、収益認識についての実務上の取扱いについては、従来より、法人税基本通達に具体的な指針が設けられていたため、平成30年6月1日にその改正内容が公表され、本改正後の法人税法上の収益の認識についての基本的・具体的な考え方が明らかにされた。
なお、中小企業については当該収益認識基準は適用しないことも可能とされているため、従来処理が継続することも想定された内容になっている。

※続きは添付ファイルをご覧ください。

(551KB, PDF)
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