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「収益認識に関する会計基準等」インダストリー別解説シリーズ(2)第2回 建設業

(月刊誌『会計情報』2018年12月号)

本稿では、まず、「1.建設業における実務上の論点」にて、収益認識会計基準等の適用による建設業の実務上の論点を解説する。次に、「2.代替的な取扱い」にて、これまで我が国で行われてきた実務等に配慮し、企業間における財務諸表の比較可能性を大きく損なわせない範囲で認められている重要性等に関する代替的な取扱いについて、建設業の実務に即した整理を行う。

著者:公認会計士 熊谷 和哉

2018年3月30日に企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(以下「収益認識会計基準」という。)、企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」(以下「収益認識適用指針」といい、これらを合わせて「収益認識会計基準等」という。)が公表されている。

本稿では、まず、「1.建設業における実務上の論点」にて、収益認識会計基準等の適用による建設業の実務上の論点を解説する。次に、「2.代替的な取扱い」にて、これまで我が国で行われてきた実務等に配慮し、企業間における財務諸表の比較可能性を大きく損なわせない範囲で認められている重要性等に関する代替的な取扱いについて、建設業の実務に即した整理を行う。

1.建設業における実務上の論点

(1) 契約の識別

契約とは、法的な強制力のある権利及び義務を生じさせる複数の当事者間における取決めをいい(収益認識会計基準5項)、契約は、以下の要件のすべてに該当する場合に識別する(収益認識会計基準19項)。

①当事者が、書面、口頭、取引慣行等により契約を承認し、それぞれの義務の履行を約束していること

②移転される財又はサービスに関する各当事者の権利を識別すること

③移転される財又はサービスの支払条件を識別できること

④契約に経済的実質があること

⑤顧客に移転する財又はサービスと交換に企業が権利を得ることとなる対価を回収する可能性が高いこと

<実務上の論点>

建設業では、顧客との間で契約金額や工期が未定でも着工指示書等に基づき工事を開始するケースや受注総額が決定されていないが工事の一部について契約を締結し工事を開始するケースがある。このようなケースで、上記要件を満たさず契約を識別しないと判断された場合、その後どのタイミングで契約の識別をするか、個別に判断する必要があると考えられる。

※続きは添付ファイルをご覧ください。

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