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税効果会計シリーズ(9) 最終回 連結財務諸表における繰延税金資産及び繰延税金負債の計上(2)

(月刊誌『会計情報』2018年12月号)

税効果会計シリーズでは、税効果会計に関する会計処 理及び開示の基本的な内容をQ&A方式で連載している。本号(最終回)では、連結財務諸表固有の一時差異についての繰延税金資産及び繰延税金負債を計上する場合の論点のうち、未実現損益の消去に係る一時差異及び退職給付に係る負債又は退職給付に係る資産に関する一時差異について、2018年2月に公表された企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」を踏まえて解説する。

著者:公認会計士 永江 孝幸

はじめに

税効果会計シリーズでは、税効果会計に関する会計処理及び開示の基本的な内容をQ&A方式で連載している。

本号(最終回)では、連結財務諸表固有の一時差異についての繰延税金資産及び繰延税金負債を計上する場合の論点のうち、未実現損益の消去に係る一時差異及び退職給付に係る負債又は退職給付に係る資産に関する一時差異について、2018年2月に公表された企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(以下「税効果適用指針」という。)を踏まえて解説する。

Q1 未実現損益の消去に係る一時差異

連結会社間の売買取引から生じた未実現損益を消去したことに伴う一時差異に繰延税金資産又は繰延税金負債を計上する場合、どのような点に留意する必要があるか。

A

▶ 我が国の税効果会計は、資産負債法が採用されているが、未実現損益の消去に係る税効果会計については、例外として繰延法が採用されている。

▶ 未実現損益の消去に係る連結財務諸表固有の将来減算一時差異については、売却元の連結会社において売却年度に納付した又は軽減された当該未実現損益に係る税金の額を繰延税金資産又は繰延税金負債として計上する。

▶ 未実現利益の消去に係る繰延税金資産を計上するにあたっては、その回収可能性を判断しない。

▶ 計上した繰延税金資産又は繰延税金負債については、当該未実現損益の実現に応じて取り崩す。

解 説

1. 連結決算手続(未実現損益の消去)の概要

連結会社間の取引によって取得した棚卸資産、固定資産その他の資産に含まれる未実現損益は、その全額を消去する。ただし、未実現損失については、売却元の帳簿価額のうち回収不能と認められる部分は消去しない(企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(以下「連結会計基準」という。)第36項参照)。未実現損失を消去しない場合、連結財務諸表において取得した棚卸資産等を簿価切下げしたことと同じ結果となる。

売却元の子会社に非支配株主が存在する場合、未実現損益は、親会社と非支配株主の持分比率に応じて、親会社の持分と非支配株主持分に配分する(連結会計基準第38項参照)。

※続きは添付ファイルをご覧ください。

(711KB, PDF)
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