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「収益認識に関する会計基準等」インダストリー別解説シリーズ(3)第3回 小売業-ポイント制度、商品券

(月刊誌『会計情報』2019年1月号)

2018年3月30日に企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」、企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」が公表されている。本稿では、収益認識会計基準等のうち小売業におけるポイント制度及び商品券の会計処理について解説する。

著者:公認会計士 石川 慶

はじめに

2018年3月30日に企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(以下「収益認識会計基準」という。)、企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」(以下「収益認識適用指針」といい、これらを合わせて「収益認識会計基準等」という。)が公表されている。

本稿では、収益認識会計基準等のうち小売業におけるポイント制度及び商品券の会計処理について解説する。

1.ポイント制度

(1) 取引の概要

ポイント制度は、企業が顧客に対して商品販売代金などに応じてポイントを付与し、顧客がそのポイント使用により商品購入時に値引きを受けることや、ポイントと商品を交換することができる制度である。当該制度は、販売促進の手段の一つとして、小売業の多くの企業において導入されている。また、複数の企業が提携し、提携企業間でお互いに利用が可能なポイントを付与する制度(共通ポイント制度)もある。小売業におけるポイント制度は、1ポイント当たりの価値(例えば1ポイント当たり1円など)が定められており、顧客がそのポイント使用により商品購入時に値引きを受けることができる制度が多く見受けられることから、本稿では当該ポイント制度を前提に解説する。

また、「自社でポイント制度を運営し、自社ポイントによる取引を行う場合(ポイント運営に関して企業が本人である場合)」と「他社が運営するポイント制度(共通ポイント制度)に加盟して、他社ポイントによる取引を行う場合(ポイント運営に関して企業が代理人である場合)」では、会計処理が異なるため、本稿では各取引を解説する。

※続きは添付ファイルをご覧ください。

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