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企業結合シリーズ(1) 経理財務PMIの概要

(月刊誌『会計情報』2019年11月号)

本シリーズの目的は、日本企業が実施するM&Aのうち、特に子会社化を目的とした株式取得について、M&Aプロセスの全体像を概観したうえで、主としてわが国の会計基準に準拠した適切な会計処理を行うために特に留意すべき論点を整理することにある。第1回目は「経理財務PMIの概要」とし、経理財務領域におけるPost Merger Integrationの概要を概観することを目的とする。

著者:公認会計士 小野 賢二

1.はじめに

近年、日本企業のM&A(Mergers and Acquisitionsの略)*1は件数、金額ともに増加傾向にあるが、日本企業のM&Aはマーケット別に、① 日本企業同士のM&A、②日本企業による外国企業のM&A、③外国企業による日本企業のM&Aに分類される。

日本企業のM&A件数は、リーマンショック後に一時的に落ち込んだものの、2017年に初めて年間3,000件を超え、2018年には過去最大となる年間4,000件に迫るほどに急速に増加している。M&A件数の増加要因は主に、上記①日本企業同士のM&A件数増加によるものであり*2、非中核企業事業を切り離す再編型や、中小企業による事業承継型のM&Aが活発になっていることが理由のようである*3。

一方、日本企業のM&A金額は、2018年に年間約30兆円と過去最大となったが、その要因は主に、上記②日本企業による外国企業のM&Aと③外国企業による日本企業のM&Aの金額ベースでの増加によるものである*4。

このように日本企業のM&Aが近年活発になり、また、買収スキームもより複雑になっていること等を背景に、本シリーズの目的は、日本企業が実施するM&Aのうち、特に子会社化を目的とした株式取得について、M&Aプロセスの全体像を概観したうえで、主としてわが国の会計基準(以下「JGAAP」という)に準拠した適切な会計処理を行うために特に留意すべき論点を整理することにある。

第1回目は「経理財務PMI*5の概要」とし、経理財務領域におけるPost Merger Integration(以下「PMI」という)の概要を概観することを目的とする。

※続きは添付ファイルをご覧ください。

(792KB, PDF)
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