調査レポート

デジタルトランスフォーメーションを成功に導くために

デジタルマチュリティを向上させる7つのケイパビリティとは

多くの企業がデジタルトランスフォーメーションの取り組みにより具体的な効果を得ることに苦戦しています。デロイトは企業のデジタルトランスフォーメーションの取り組みについて知見のある、1,200人の上級経営幹部を対象に調査を実施しました。この調査結果は、企業がどのようにデジタルトランスフォーメーションの取り組みを設計すれば事業上の成果を獲得することができるのか、そして、デジタルマチュリティ向上を実現できるのかを示すものです。

デジタルマチュリティは財務的インパクトを生み出す

デロイトの調査によると、デジタルマチュリティのレベルが高まると、財務的な成果が伴うということが示されました。マチュリティが高い企業では、純利益と売上が業界の平均をはるかに上回っているとの回答がどちらも49%に上り、一方マチュリティが低い企業の回答は順に17%と19%に留まりました(以下の図)。この調査結果は、デジタルマチュリティが高い企業は、デジタル・ピボットの実行により、新たな機会の発見や収入源の開発、また、顧客や市場の要求への迅速な対応、そして業務の効率性の大幅な向上を実現できていることを示しています。

日本語版発行に寄せて

“デジタルトランスフォーメーション”という言葉が、一部の人たちが話題にする言葉から、政府が取りあげるまでに一般化し、ある種のバズワード化してきて久しいが、その実態はどうであろうか。言葉だけが先行し、なかなか前に進まない、または成果が上がりきらない企業が多いのではないだろうか。

本レポートは、原文タイトルが「Pivoting to digital maturity ~Seven capability central to digital transformation~」となっているように、デジタルマチュリティ(デジタル化の成熟度)を促進する要素を7つのデジタル・ピボット(デジタル化に向けた取り組み・軸)として定義し、その実践を提唱している。一つ一つの内容としては、デジタルトランスフォーメーションに関心がある、または関与されている方であれば、違和感がなくその通りと思われるものばかりであろう。その一方で、インフラストラクチャー・データ活用・人材の3つの基礎的なピボットから着手することを推奨し、その実装に目途がついたら次は、一つの部署に対象を絞ってこれらのピボットを適用し、包括的な変革に取り組むべき、などはデジタル特区などでデジタルトランスフォーメーションを推進またはこれから推進しようとしている企業にとっては参考になる点も多いのではないだろうか。特に、様々なしがらみが多く、動きが遅くなりがちな大手企業にとっては、特区型のアプローチが有効であり、またそれは日本だけに限ったことではない、ということはデジタルトランスフォーメーションを推進する立場の方にとって大いに励みになるだろう。

残念ながら、日本企業のデジタルトランスフォーメーションに向けた取り組みは、海外企業と比較して相対的に遅れている印象があり、その大きな要因はデジタル化に対する全社的な危機感の欠如、もしくは危機感の共有が不十分である点だと考えられる。特に、様々な日本企業との意見交換や議論を重ねるにつれて、現場レベルでの危機感とマネジメント層との意識の乖離が大きい点は否めない。日本企業のマネジメント層に危機感を伝えることは我々の仕事でもあるが、今一度読者の企業内でのデジタルトランスフォーメーションの必要性の喚起や、具体的なアクションへと繋げていって頂ければ幸いである。

 

Pivoting to digital maturity(原文)
~Seven capabilities central to digital transformation~
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プロフェッショナル

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
アソシエイトディレクター
田中 公康

外資系コンサルティングファーム、IT系ベンチャー設立を経て現職。

『Digital HR & Employee Experience』領域のリーダーとして、デジタル時代に対応した働き方改革や組織・人材マネジメント変革に従事。

直近では、HRテック領域の新規サービス開発にも従事。講演・執筆多数。Certified Scrum Master (CSM) 保持者。
 

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