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2024年診療報酬改定速報
2024年診療報酬改定に関する答申直後の抑えたいポイント
2024年2月14日に中央社会保険医療協議会・総会から2024年度診療報酬改定に関する答申が公表されました。2024年の診療報酬改定における全体改定率は▲0.12%のマイナス改定、本体改定率は+0.88%のプラス改定でした。人材確保と働き方改革、医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進など、多くの病院に対応が求められる改定内容になりました。
2024年診療報酬改定のポイント
2024年2月14日に中央社会保険医療協議会・総会から2024年度診療報酬改定に関する答申が公表されました。2024年は6年に一度の医療、介護、障害福祉とのトリプル改定でもあり、重要かつ大規模な改定になります。
まずは、2024年診療報酬改定の基本方針についてご説明します。
2024年診療報酬改定の基本方針
2024年診療報酬改定は、以下の4項目の基本的視点で構成されています。
- 現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進
- ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた 医療機能の分化・強化、連携の推進
- 安心・安全で質の高い医療の推進
- 効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上
2022年改定では「新型コロナ感染対策」「働き方改革」が重点課題に指定されていました。2024年の改定では、「人材確保と働き方改革」が重点課題として指定されています。
参考:第572回中央社会保険医療協議会総会「令和6年度診療報酬基本方針について」(2023年12月13日)(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00231.html)をもとに作成
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改定率
2024年の診療報酬改定における全体改定率は▲0.12%のマイナス改定、本体改定率は+0.88%のプラス改定でした。2016年以降で5回連続、全体はマイナス改定、本体はプラス改定のトレンドが続いています。
参考:第574回中央社会保険医療協議会総会「令和6年度診療報酬改定の改定率等について」(2023年12月20日)(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00233.html)をもとに作成
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以下、急性期医療・回復期医療・慢性期医療/精神・外来/オンライン診療・医療従事者の働き方改革・医療DXのテーマ別に解説します。
急性期医療
重症度、医療・看護必要度
- 急性期入院医療の必要性に応じた適切な評価を行う観点から、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度が見直されました。
- 急性期一般入院料1、特定機能病院入院基本料7対1及び専門病院入院基本料7対1における該当患者の基準及び割合の基準について、B項目に係る評価が削除され、①「A3点以上」又は「C1点以上」に該当する割合が一定以上であること②「A2点以上」又は「C1点以上」に該当する割合が一定以上であることの両者を満たすことが要件化されます。
- また、評価項目の見直しに伴い、該当患者割合の基準は引き下げられています。
参考:第584回中央社会保険医療協議会総会「答申について」(2024年2月14日)(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00247.html)をもとに作成
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急性期一般入院料
- 急性期一般入院料1の施設基準のうち平均在院日数の基準について、18 日から16日に短縮されます。
地域包括医療病棟入院料の新設
- 高齢者の救急患者等に対して、一定の体制を整えた上でリハビリテーション、栄養管理、入退院支援、在宅復帰等の機能を包括的に提供する地域包括医療病棟入院料が新設されます。
- 急性期一般入院料やサブアキュート機能を持つ地域包括ケア病棟入院料等からの、地域包括医療病棟入院料への転換を検討することが考えられます。地域包括ケア病棟入院料との主な違いは、看護配置が10対1以上であることや、在宅復帰率80%以上、転棟割合5%未満、救急車等搬送患者が15%以上の実績要件が求められる点です。
回復期医療
地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料
- 在宅医療等の実績を適切に評価する観点から、施設基準において訪問看護に係る実績の見直し、及び在宅復帰率等の対象患者から短期滞在手術等基本料の患者を除外する点が変更になりました。
回復期リハビリテーション病棟入院料
- 回復期リハビリテーション病棟入院料1について、入退院時の栄養状態の評価にGLIM基準を用いることが要件化されます。
- 回復期リハビリテーション病棟入院料1・2について、専従の社会福祉士の配置が要件化されます。
- 回復期リハビリテーション病棟入院料1・3については、FIMの測定に関する院内研修を行うことが要件化されます。
- 回復期リハビリテーション病棟1~5までについて、FIMを定期的に測定することが要件化されます。
- 回復期リハビリテーション病棟入院料1・2について、口腔管理を行うにつき必要な体制が整備されていることが要件化されます。
- 回復期リハビリテーション病棟入院料の体制強化加算1・2は廃止されます。
- 医療資源の少ない地域において、回復期リハビリテーション病棟が病室単位で届出できるようになりました。
慢性期医療/精神
療養病棟入院基本料
- 療養病棟入院基本料の疾患及び状態に着目した医療区分が見直されます。具体的には、医療区分とADL区分に基づく9分類となっている現行の療養病棟入院基本料について、疾患・状態に係る3つの医療区分、処置等に係る3つの医療区分および3つのADL区分に基づく27分類及びスモンに関する3分類の合計30分類の評価に変更されます。
出所:第566回中央社会保険医療協議会総会「入院(その4)について」(2023年11月22日)(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00225.html)
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- 中心静脈栄養について、患者の疾患及び状態並びに実施した期間に応じた医療区分に見直され、また、中心静脈栄養を終了後7日間に限り、終了前の医療区分により算定できるようになります。
- 医療区分、ADL区分ともに1である入院料27(現行の入院料I)について、1日につき2単位を超える疾患別リハビリテーション料は包括範囲に含まれます。
- 療養病棟に入院中の患者に対し、「静脈経腸栄養ガイドライン」等を踏まえた栄養管理に係る説明を実施した上で、新たに経腸栄養を開始した場合に一定期間算定可能な経腸栄養管理加算が新設されました。
精神科地域包括ケア病棟入院料の新設
- 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を推進する観点から、精神疾患を有する者の地域移行・地域定着に向けた重点的な支援を提供する精神科地域包括ケア病棟入院料が新設されました。
外来/オンライン診療
外来
- 特定疾患療養管理料から糖尿病・脂質異常症・高血圧が除外されました。200床未満の医療機関では外来収益の減収が予想されます。一方、検査料を包括しない生活習慣病管理料(Ⅱ)が新設されています。
オンライン診療
- オンライン資格確認の導入による診療情報・薬剤情報の取得・活用の推進、電子処方箋の更なる普及等、医療DX を推進する体制が新たに評価され、医療DX 推進体制整備加算が新設されました。
医療従事者の働き方改革
処遇改善
- 賃上げに対応するため、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)、歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)、歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)、入院ベースアップ評価料、訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ) 、訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)が新設されました。
- ベースアップ評価料は2階建て方式になっており、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)で1.2%相当(病院では2.3%)の処遇改善に至らない場合、診療所等では外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)、病院では入院ベースアップ評価料がその補填分として設定されています。賃上げは原則として基本給又は月次支払の手当の引き上げとされ、定期昇給によるUPは対象外です。
働き方改革
- 救急搬送件数が年間2,000件以上の医療機関で届出できる地域医療体制確保加算に、対象医師の時間外・休日労働時間制限が要件化されます。
医療DX
オンライン資格確認等システムによる情報取得
- オンライン資格確認等システムの導入が原則義務化されたことを踏まえ、算定要件として患者の診療情報取得が必須となりました。
WEBサイト掲載
- 食事療養に係る事項や保険外併用療養費に係る事項等、これまで院内掲示が必要であったものについては、ウェブサイトへの掲示も原則として必要となります。
改定を踏まえた病院経営の方向性
- 2024年の改定では、入院料等の引き上げにより医療従事者の処遇改善が推進されます。これは人件費に充てられるため、医療機関の経営改善に大きくプラスの影響を及ぼすものではありません。
- 2024年診療報酬改定を踏まえて、相応しい入院料、期待される役割に必要な加算・指導料等の積極的な算定を目指すべきです。
執筆
デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社
ヘルスケア
※上記の部署・内容は、掲載日時点のものとなります。2024/3
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