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2040年のヘルスケアを象る変革ドライバー

未来の想像と創造

本書では、医療・ヘルスケア領域における様々な変革要素の中から、社会秩序の形成を牽引するであろう10要素(変革ドライバー)に着目する。各々のドライバーが齎す変化と相互作用を検討し、新たな社会秩序としての医療・ヘルスケアの姿とその実現に向けた論点を考察したい。

世界は新たな社会秩序の構築に向かう

昨今の情報社会は、⽣活スタイルや社会構造を大きく変化させた。IoTの普及によって世界中の人々がネットワークで繋がった一方で、一部のプラットフォーマーが国際経済活動を牽引することで経済格差の懸念が高まっている。そのような状況下、本邦では、現在の情報社会「Society 4.0」では解決できない、持続的な経済発展と様々な社会的課題の解決を果たすため、サイバー空間とフィジカル(現実)空間を高度に融合させたシステムの実装、すなわち人間中心社会「Society 5.0」の実現を目指している。

医療・ヘルスケア領域に目を向けると、超高齢化に伴い社会保障費が増大する一方、健康寿命の延伸、希少疾患治療法の開発、キュア中心の医療からケアへのシフト(身体的のみならず精神的・社会的な意味も含めた健康を保つこと)など、保健医療ニーズが多様化しており、イノベーションとサステナビリティの両立が求められている。このような社会的要請に加え、今後のテクノロジーの発展により、医療・ヘルスケアに関わる社会秩序は大きく変化するものと考えられる。

  • N=1医療、セノリティクス薬、 Human/Brain machine Interfaceの登場により、多くの生活者が、心身ともに健やかな状態で寿命を全うすることが可能な社会に向かう。
  • 個々人に推奨される予防・治療法の選択肢や、サイバー上の新たな生活様式も選択肢として提供される。それらの選択肢は、個々の価値観に応じ主体的に選択できる社会に向かう。
  • Connected Healthやヘルスケアのデータ循環の普及により、これまで分断していた製品・産業・社会はデジタルで繋がり、個々人に最適な複合的なソリューションが提供される。結果として、医療・ヘルスケア業界の垣根は希薄化し、あらゆる産業が医療・ヘルスケアと連動する。
  • 医療価値の定量化や知財の自由市場流通により、医療・ヘルスケアに関わる多様な価値や資産が可視化・共有され自由競争と協創が促されることで、価値転嫁が加速化する。

本書では、医療・ヘルスケア領域における様々な変革要素の中から、社会秩序の形成を牽引するであろう10要素(変革ドライバー)に着目する。各々のドライバーが齎す変化と相互作用を検討し、新たな社会秩序としての医療・ヘルスケアの姿とその実現に向けた論点を考察したい。

なお、本書は、世にあふれる未来予測ではない。未来は決定論的ではなく、我々の思考と試行によって変えることができる。換言すれば、我々は未来を想像し、創造することができる。執筆者たちは、将来の明るいヘルスケアの在り方について、議論を喚起し、読者の方々と語らい、本書自体を更新し続けていくことを望んでいる。

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