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医師自身が労働時間を管理する時代へ

「医師の働き方改革」に対応した就業管理アプリ開発に至った背景や目的についてご紹介します

医師の働き方改革は、医師の労働時間を管理することがゴールではなく、医師の意識改革が最終ゴールです。医師の労働時間管理は、意識改革の第一歩であると考えます。これまで、労働時間管理だけにとどまらず、管理部門としては現場の医師にはなるべく手間暇かからないような配慮を行ってきたと思いますが、医師の労働時間管理に関しては、医師自身で実施していただき、意識改革の出発点にする必要があると考えています。

医師の働き方改革を通じて起こった変化

いよいよ2024年4月より医師の働き方改革がスタートします。960時間超の時間外労働が必要な救急病院等では、B水準・連携B水準・C水準の指定を受けなければならないことは周知のところであり、B水準を申請した医療機関には、医療機関勤務環境評価センターから結果報告書が送られてきている頃と思われます。2023年11月20日現在、全国で476の医療機関で評価センターへの受審申込みが行われました。

医師の働き方改革に向けた活動を通じて、宿日直許可を申請した医療機関は多くあったと思います。その結果、同じ病院の中でも労働基準監督署の許可を得ている診療科・得ていない診療科が混在していたり、変形労働時間制導入によって勤務パターンが数十に及んでいたりする病院も少なからずあります。加えて、複数の医療機関で勤務がある場合の労働時間の報告ルールなどを整備したり、勤務間インターバル、代償休息など、A水準・B水準の違いによって異なる院内ルールを作成したり、人事部や総務部などの管理部門の負荷は大きなものとなっています。それだけでなく、医療機関には医師のほか、看護師やコメディカル職といった多岐に渡る職種の方が働いており、雇用形態も多様で常勤だけではなく非常勤職員の労働時間も管理しなければならないなど、複雑な状態となっています。

また、医師の働き方は、上位者から具体的な指示命令があって業務を行うというよりも、受け持つ患者さんの状態により対応時間が長くなることもあれば、複雑なオペを担当することで夜中まで働かなければならないこともあります。医師の働き方改革により、タスクシフトや医師のシフト制導入などの効果もあり、全体としての労働時間は短縮傾向にあるものの、労働時間の削減に向けた活動としてはまだまだこれから進めなければならないという実態があると言えます。

医師自身が労働時間を管理する時代に

医師の働き方改革の最終ゴールは医師の意識改革であると言えます。労働時間管理はその意識改革に向けた第一歩であると考えています。医師は労働者であることを認識し、医師だけが特別な職種ではないことを自覚していただく必要があります。

民間企業の従業員など、医師以外の職種の労働時間管理を考えてみましょう。一般には、始業・終業時刻を自分たちで打刻し、残業する場合は時間外申請を行い、承認を得ています。こうした手続を経ることで、労働時間管理の重要性を認識し、効率的に働く必要性の意識が芽生えてきます。

医師も労働者であるため、自分自身で労働時間を打刻するのは当然なのですが、労働時間管理だけが目的となってしまうと、医師に負担をかけずに労働時間を記録する方法はないかという思考が働いてしまいます。せっかくの医師の意識を高める機会を損失してしまうとも考えられます。

一方、前述のように、医師の働き方は非常に複雑です。一般に設置されているようなタイムカードだけでは管理し難い働き方になっています。例えば、自己研鑽や労基署の許可ありの宿日直、他の医療機関での労働がそれに該当します。わざわざ自己研鑽の時間をとる度にタイムカードを押しに行くというのは現実的でないですし、他医療機関での労働を報告するのも煩わしいという一面もあります。

また、労務管理は職員の働きやすさや働き甲斐を実現するうえで、経営管理において非常に重要な位置づけにあるものの、当然ながら労務管理そのものがお金を生むものではありません。就業管理システムは、労務管理を行う上で非常に重要であり、高価なものであることも多いため、導入には相応の意思決定が必要になります。一方で、折角導入したものの、現場職員、特に医師に効果的に活用されていなかったり、他病院に派遣されたりしている場合は別途管理しなければならなかったりして、想定していた運用ができていないといったお話もよくお聞きします。

意識改革を推進する就業管理アプリの開発

このような背景の中で、医師の労働時間に対する意識を高めつつ、手間をかけずに労働時間を管理する方法はないか、また、もっと安価に、もっと多くの医療機関に使っていただけるような就業管理システムはないか、と考えました。こうしてヘルステック研究所とデロイト トーマツ リスクアドバイザリーにより就業管理アプリ「医働日記」「らくらく医働日記」が共同開発されました。

このアプリ(医働日記)は、医師個人の持つスマートフォンを使って、簡単に始業・終業時刻を記録でき、また、自己研鑽の時間や他病院での勤務などを記録することができます。勿論、打刻し忘れた場合でも後から修正することができます。今自分自身がどのくらい働いているのか、働きすぎてはいないか、自分自身のスマートフォンで確認し、自己管理することができます。

医療機関は、医師が打刻した記録を閲覧することができます(らくらく医働日記)。医療機関が持つシステムに打刻してもらうものではなく、医師が自分で時間管理しているものを医療機関が確認するのです。医師はプロフェッショナル職であるため、仕事も時間も自分自身で管理することが求められます。このアプリは、それを実現するものであると考えています。

※クリックまたはタップして拡大表示できます

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医師の意識改革を本気で進めたい医療機関に

2024年4月から本格的にスタートする医師の働き方改革に向かって、本気で医師の意識改革を進めたいと考えている医療機関にとっては有用なツールであると考えています。新しい時代の就業管理の在り方を体験していただきたいと考えています。

お問い合わせサイト(外部サイト:ヘルステック研究所)は以下:

https://rakuraku-idounikki.htech-lab.co.jp/