最新動向/市場予測

デジタル成熟度指数

製造業におけるデジタル化の加速

本レポートでは、デロイトドイツがデュースブルク・エッセン大学と共同で開発したデジタル成熟度指数(Digital Maturity Index)に基づいて、製造業がデジタル化への旅を進めるのに役立つ4つの傾向について掘り下げている。

日本語版発行に寄せて

グローバル競争の激化、熟練労働者の不足、サプライチェーンの混乱など製造業を取り巻く事業環境は劇的に変化している。その環境変化はこれまでにないスピードと大きさであり、製品の品質や価格だけでなく、製品開発リードタイムやサプライチェーン、アフターサービスの効率、イノベーション創出など多角的な視点で競争力を持つことが求められている。

これらの環境変化に対応するためには、デジタル化は必要不可欠なものであり、Generative AIや5G、IoT、クラウドコンピューティングなど、デジタルテクノロジーの進化はビジネスのあり方を根底から変えている。その結果、企業はデジタル化を進めることで、競争優位性を維持するとともに、新たなビジネスチャンスを掴んでいく必要がある。
しかし、製造業のデジタル化は容易な課題ではない。製造業は、多くの既存の設備とプロセスを持っており、これらをデジタル化するためには、大きな投資と時間が必要となる。また、デジタル化を促進し、効果を創出するには、高度なスキルと知識が求められる。

本レポート内でも示しているが、デジタル化を加速させるためには、エコシステムアプローチの採用が重要である。エコシステムは、既存の業種・業界の枠組みを超えたドラスティックな変化を巻き起こし、新たな価値を解き放つことを可能にする。共同経済活動に関わるガバナンス、協業によるモジュール化に向けた価値創造、エコシステム全体における価値の配分などが重要な要素となる。
また、デジタル化戦略を推進するにあたり、企業は明確なロードマップを備えた専用のトランスフォーメーションプログラムを策定し、適切な評価指標に照らしてデジタルイニシアチブの進捗状況を定期的にモニタリングする必要がある。さらに、デジタルファーストモデルを自社の文化に浸透させることも重要であり、従業員のデジタルマインドセットを醸成することで、企業は真の変革に向けた基盤を築くことができる。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴いグローバルサプライチェーンが混乱し、デジタル化のロードマップが大きな打撃を受けたが、多くの企業が近年の危機的な環境がデジタル投資を加速させるきっかけとなったと指摘している。
本レポートでは、主に自動車と産業機械を中心とした業界において、800人以上の経営幹部および事業部門のリーダーにインタビューを実施し、企業がどのように今後のデジタル方針を決めているかを分析している。製造業の経営層や現場リーダーが、自社の状況や課題を振り返り、今後デジタル化を加速させる一助となれば幸いである。

熊本 祥明
ディレクター
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

デジタル成熟度指数:製造業におけるデジタル化の加速(PDF, 1.6MB)
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