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サービスワークフォーストランスフォーメーション実現までの道のり
産業機械メーカーのための実践ガイド:成功をもたらすサービス要員の確保と維持
産業機械メーカーは、アフターサービスの提供に関して非常に大きな課題を抱えている。テクノロジーのデジタル化が進むにつれ、サービスエンジニアとして働く資格を有する人材が減少している。それに加え、資格を有する人材は必ずしもサービスエンジニアの仕事を熱望しているわけでもない。本レポートでは、デロイトドイツが「サービスワークフォーストランスフォーメーション」の旗印のもと、変革を実現するために導入できる、または導入すべき基本要素をまとめた研究結果を基に考察する。
日本語版発行に寄せて
日本の製造業において「サービス事業が更なる収益力強化のエンジンになる」と認識されてから久しい。
特に、産業機械メーカーでは、顧客に対する製品設備や機器の納入後に、長期間にわたる顧客による設備や機器の運用・保守に貢献するアフターサービスを収益の柱とする取り組みに着手してきた。近年では、設備・機器運用におけるトラブル対応などの受動的なサポートに加え、進化するテクノロジー(IoTによるリモートセンシング、AI によるデータ分析の高度化など)を駆使した、顧客の経営課題解決に貢献する有償サービスの提供を通じて、まさに顧客にとっての事業パートナーとしての地位を獲得しようとしていた。
しかし、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、サービス事業の担い手であるサービスエンジニアにとって、これまでのワークスタイルを見直す社会認知が加速したことにより、産業機械メーカーがサービスエンジニアを確保・維持することがこれまでに増して難しい状況となっている。産業機械メーカーにおけるアフターサービス事業関係者は、この影響を肌で感じているに違いない。特に日本では、外国人労働者を招き入れても労働力人口が減退していくと見込まれているなか、サービスエンジニアの確保は業界全体が抱える課題になると思われる。
産業機械メーカーにとって、高収益を生み出すアフターサービス事業を拡大・維持していくために必要なサービスエンジニアを適時・適切に確保する打ち手の巧拙や迅速な対応が、厳しい競争の勝敗を決める。産業機械メーカーの経営層や現場のリーダーが、本日本語版の内容をきっかけに、これらの課題を解決するアイデアを整理・加速させるための一助となれば幸いである。
粒良 堯史/Takashi Tsubura
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 ディレクター
コンサルタントとして、重工業・電機・重電を含む大手製造業、交通輸送サービス業等のクライアントに対し、グローバル市場・競合調査分析、成長戦略策定、新規事業構想策定、営業戦略策定、業務改善等のコンサルティングサービス提供の経験を有する。
※本ページの情報は2023年4月3日時点のものです。