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MOU : Memorandum of Understanding(基本合意書)

ビジネスキーワード:ファイナンシャルアドバイザリー

MOUとはMemorandum of Understandingの略で、M&A取引を検討している当事者が、取引における了解事項を確認し、基本合意文書を締結するもの。本ページではMOUの概要や意義、主な条項について解説をしています。

1. MOUの概要

Memorandum of Understanding(略称:MOU)は、M&A取引を検討している当事者が、交渉の初期の段階で、その時点における当事者間の取引における了解事項を確認し、以下のような基本的な項目について合意文書を締結するものである。MOUは、Letter of Intent(略称:LOI)と表記されることもあり、日本語では基本合意書、または単に覚書とされること等もあり、案件ごとに異なっているが名称によって特に内容が変わるものではない。


MOUの主な記載項目

■買収価格(Purchase Price)
■重要な買収条件(Significant Purchase Condition)
■スケジュール(Schedule)
■表明・保証(Representation and Warranties)の概要*
■デューデリジェンス(Due Diligence)の範囲
■公表(Publicity)
■優先交渉権(Exclusivity)
■誠実交渉義務(Obligation to Negotiate in Good Faith)
■準拠法、管轄および言語(Governing Law, Jurisdiction and Language)
■守秘義務条項** (Non-Disclosure Agreement) 

* 表明・保証は最終売買契約書において表明するものであり、MOU締結の段階においては、 記載しない
 場合もある。

** 守秘義務契約を別途契約していない場合、MOUに当該条項を盛り込むことがある。

なお、MOUに記載される事項は案件によって異なることから、上記の限りではない点について留意されたい。

出典:M&Aファイナンシャルデューディリジェンスの実務(編者:デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社)
 

2.MOU の意義

最初に、本文中の意見や見解に関わる部分は私見であることをお断りしておくが、MOUでは、一般的に対象となる案件に関する最終契約の主な条項等が織り込まれる。MOUの内容および具体性はさまざまであり、特段の決まりはなく、法的拘束力を有するものもあれば、有しないものもある。MOUに盛り込む内容は、どのような目的をもってM&A取引を行うかに依拠しており、MOUを締結する目的として次のようなことが考えられる。

■M&A取引に係る当事者間の合意事項を記載し、当該取引に係る詳細を決定するにあたり大まかな方向性を確認する。
■MOU締結後、対象会社に対して行われるデューデリジェンス、協議および交渉のための体制を確保するための条件を定める。
■MOUの締結を適時開示することにより、インサイダー取引規制から関係者を解放する。
■MOUを締結することにより、安易にM&A取引を撤回することができないようにさせる。
 

3. MOUの主な条項について(1)

MOUに記載される条項は、前述のとおり案件ごとに異なり、MOUを締結する際には必要に応じて法務の専門家と協議することが重要であるが、多くのケースにおいて記載される主な条項について以下に説明を行う。

(1) 買収価格

買収価格については、MOUの段階で決まっていたとしても、デューデリジェンスの結果等によって変更の可能性が生じる旨を記載する場合が多い。しかしながら、MOUに記載されている以上は、当該価格の変更を提案する際には、合理的な理由が必要であることが一般的には期待される。

(2) 重要な買収条件

買収条件として記載する重要な内容としては、取引形態および支払条件などがある。取引形態は、株式売却、事業譲渡および資産売却等を記載する。なお、取引形態によって課税関係および法的手続が異なるため重要な合意項目となる。支払条件は、一括払いか分割払いか、または、アーンアウト条項を盛り込むのか等が重要な合意項目となる。

(3) スケジュール

スケジュールには、財務、税務および法務等のデューデリジェンス(調査)の開始と終了の時期、最終契約書締結時期および売買の目的物の引渡と支払が行われる日となるクロージングの時期を記載する。

(4) デューデリジェンスの範囲

デューデリジェンスの範囲には、財務、税務、法務、ビジネス、人事、環境、情報システムおよび技術等の買収にあたって必要となる調査項目を記載する。
 

3. MOUの主な条項について(2)

(5) 公表

各当事者は、相手方の事前の合意がない限り、対象案件に関する公表を行ってはならない旨を規定する。対象案件に関する公表は、各当事者間における交渉上の力関係に影響を与えることになる。よって、公表の時期、内容、方法等を規定し、拘束力を確保しておくことは重要である。

(6) 優先交渉権

優先交渉権とは、売り手は買い手以外の第三者と対象会社の売買に関する交渉を一切行ってはならない義務を負うものである。買い手の交渉にかかる取引費用が無駄になるリスクを回避する目的で行われるが、同様の義務を買い手に課すこともあり、その場合、買い手は対象会社と同一または類似の営業を営む会社の株式、資産、または営業を譲り受けるための交渉を行ってはならないという義務を負う。一般的に、拘束期間は、60日から90日で規定されることが多い。

(7) 誠実交渉義務

誠実交渉義務は、MOUの締結後に最終契約の締結に向けて当事者が誠実に交渉する義務を負うものである。規定されていない場合でも、MOUを締結したにもかかわらず相手方が対象案件において誠実に交渉を行わない場合は、契約締結上の過失や不法行為理論に基づき相手方に対し損害賠償を請求する余地があるが、MOUにおいて明確に規定することによって誠実交渉義務を導くことが可能となる。

(8) 準拠法、管轄および言語

紛争となった場合の解決手段として、裁判、仲裁、調停のいずれかの方式を用いることになるが、特にクロスボーダー取引においては、どの国の機関において紛争を処理するかは重要な争点となる。
 

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