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親子上場

ビジネスキーワード:ファイナンシャルアドバイザリー

ファイナンシャルアドバイザリーに関する用語を分かり易く解説する「ビジネスキーワード」。本稿では「親子上場」について概説します。

親子上場とは

親子上場とは、親会社と子会社が共に上場していることをいう。欧米ではあまり見られない慣行であるが、日本では1980年代から2007年ごろまで増加傾向にあった。子会社を上場させても買収等の脅威にさらされる危険が少なく、上場基準緩和などの後押しもあったからである。

一方で、従来から親子上場にはさまざまな弊害が指摘されており、東京証券取引所は「親会社を有する会社の上場に対する当取引所の考え方について」(2007 年6 月25 日)を公表し、「子会社上場を禁止はしないが、望ましい資本政策とは言い切れない以上、株主の権利等への配慮、積極的なアカウンタビリティの遂行が望まれる」趣旨の見解を示している。これ以降、親子上場解消の動きが目立つようになっている(図表1を参照のこと)。

図表1:親子上場件数の推移(*1)

(*1):上表の親子上場件数は、親会社(保有比率40%以上)が上場企業である子会社数であり、関係会社等は含んでいない。
(*2):同じ事業の子会社は上場できない、親会社からの出向者を受け入れている子会社は上場できない等の厳しい規制の緩和 

最近の親子上場の動向

一般に、親子上場には以下のようなメリットがあるが、最近の親子上場に関しては、株式公開自体が少ないこともあり、新規上場のケースは2008年4月~2009年3月が2件、2009年4月~2010年3月が1件、2010年4月~2011年3月がゼロと減少傾向にある(図表2を参照のこと)。

(1) 親会社では、子会社株式の売却により資金調達とキャピタルゲインの獲得が行える。

(2) 企業グループの従業員に対して、親会社以外にも上場会社の役員ポストを確保できる。

(3) 子会社にとっては、親会社に使途を制約されにくい資金の調達が可能になる。

(4) 上場により、子会社の社会的信用力の増大、知名度の向上が見込める。

株式市場の低迷によって前述(1)(3)のメリットがかつてほど期待できなくなっていることもあり、当面、親子上場の解消は進むと考えられる(図表3を参照のこと)。

 また、一般に、親子上場には以下のようなデメリットがある。

(1) 親会社と少数株主との間に利益相反関係が生じる。

(2) 少数株主等の利害関係者が増え、グループ全体としての意思決定が遅れる可能性がある。

(3) 親会社にとっては、上場子会社の利益の一部が企業グループ外に流出する。

(4) 子会社においては、上場により情報開示や内部統制報告制度への対応等のコスト負担が生じる。

近年の税務・会計の動向は、親子上場の解消に拍車をかける可能性がある。税制においては、2010年にグループ法人税制が導入され、完全支配関係のある法人間の取引(対象となる資産は、固定資産、土地、有価証券、金銭債権、繰延資産であり、簿価が10百万円に満たない資産等は除く)から生じる譲渡損益への課税は繰り延べられることとなった。一方、会計においては、日本基準とIFRSのコンバージェンスの過程で、支配権を維持したままの子会社株式の売却は資本取引として損益を認識しない処理の導入が検討されている。

図表2:最新の親子上場事例(新規上場のみ)

図表3:最近の親子上場解消事例

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