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財務書類の作成に関する提言内容の解説

5分で理解!地方公会計の推進に関する研究会(令和元年度)シリーズ

財務書類作成ポイントに関する最近の動向が気になる、地方公会計の推進に関する研究会(令和元年度)報告書に書いてあるのは知っているし読んでおきたい、でも時間がない、という方に、短時間で報告書の要点を知ってもらえるようコンパクトにまとめました。

地方公会計の推進に関する研究会(令和元年度)報告書の公表

総務省において地方公会計の推進に関する研究会(令和元年度)が開催され、令和2年3月に報告書(地方公会計の推進に関する研究会(令和元年度)報告書 以下、「報告書」)が公表されました。今回は「報告書」のうち財務書類の作成に関する内容について紹介します。

なお、本ページは総務省のホームページで公表されている以下の資料をもとに記載しています(記事の都合上、省略している内容もあります)。

 

【参照】
総務省「地方公会計の推進に関する研究会(令和元年度)」(外部サイト)

  • 地方公会計の推進に関する研究会(令和元年度)報告書(本体)
  • 地方公会計の推進に関する研究会(令和元年度)報告書の概要(要約版)
  • 地方公会計の推進に関する研究会(令和元年度)報告書のポイント

財務書類の作成等に関する課題と対応策

総務省において財務書類の作成状況を調査したところ、決算年度の翌年度末までに、財務書類の作成が完了していない団体が一定数見られるとのことでした。(平成29年度決算に係る財務書類を平成31年3月末までに作成した団体は、全団体の80.5%にあたる1,440団体)

また、以下の課題が報告されています。

・附属明細書及び注記を作成していない又は公表していない団体が散見される

・外部の事業者に財務書類の作成を委託している団体が多く、その上で内容のチェック体制が確立されてない

・財務書類の作成に関する担当者が1人という団体が多くなっている

・財務書類作成の必要性・重要性が十分に理解されていない

 

こうした課題に対し、次の対応策が提言されています。

  1. 作成時期の早期化(業務負担の軽減)
  2. 内容の精緻化
  3. 附属明細書・注記の作成
  4. 体制整備・意識向上

1.財務書類の作成時期の早期化(業務負担の軽減)について

財務書類等が、決算審査や予算の編成のタイミングで提供されれば、有用性が高まるため、本来的には翌年度9月頃までに作業を終えることが理想と考えられます。それを将来的に見据えながら、年度ごと、適切に財務書類を作成していくため、まずは最低限、決算年度の翌年度末までに作成作業を終えることが必要となります。

作成時期の早期化について、報告書では以下の対応策が提言されるとともに、自治体における取組例が紹介されています。

2.財務書類の内容の精緻化について

適切な財務書類を作成していく上では、以下の事項を確認しつつ作業を進めることが必要であり、また、一度財務書類を作成した後にも、再度確認することが必要であるとされています。

こうした観点から、財務書類の内容の精緻化について、報告書では以下の対応策が提言されるとともに、自治体における取組例が紹介されています。

なお、財務書類の作成業務を外部業者に委託している場合であっても、完成した財務書類について、地方公共団体の職員が自ら、このチェックリストを活用して、正確性を確認することが望まれます。また、職員が自らチェックを行うことで、担当者として財務書類の中身を理解することにも繋がるため、財務書類の活用の促進に向けた一歩となるものも考えられます。

 

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3.附属明細書・注記の作成

附属明細書・注記には、財務4表には計上されない情報(地方債のうち将来の交付税措置が見込まれる金額、所有外資産の取得価格・減価償却累計額等)をはじめ、地方公共団体の財政状況を理解する上で必要かつ重要な情報が記載されており、本文と同様に重要なものであるため、作成・公表する必要があるものとされています。

加えて、地方公共団体の財政マネジメント等に活用していく観点からは、一般会計等のみでなく、例えば、水道事業や国民健康保険事業等についての情報を含んだ全体会計等の附属明細書についても、作成・公表していくことが重要であるとされています。

4.財務書類作成に関する体制整備・意識向上

年度ごと、適切に財務書類を作成していくためには、庁内全体で財務書類の作成業務の必要性の認識を持ってもらうことが必要です。
体制整備・意識向上について、報告書では以下の対応策が提言されるとともに、自治体における取組例が紹介されています。

なお、令和3年度より地方公共団体の「経営・財務マネジメント強化事業が創設され、総務省と地方公共団体金融機構の共同事業として、地方公共団体の状況や要請に応じてアドバイザーを派遣する事業が予定されており、こうした制度を活用することも考えられます。

 

次の記事

 

以上

地方公会計に関するコンテンツ

【地方公会計に関するコンテンツまとめ】

これまでに配信している以下のコンテンツ集を上記サイトにまとめています。

  • 特集:公会計を今よりちょっと先に進める方法
  • 特集 5分で理解!地方公会計の推進に関する研究会(令和元年度)
  • 統一的な基準による財務書類の作成状況等に関する調査結果について
  • 地方公会計の概要
  • シリーズ5分で理解!公会計の財務書類
  • シリーズ5分で理解!公会計の固定資産台帳

 

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