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公認会計士が現場でよく出会う内部統制上の問題点:ICTの活用編
結局印鑑を押す電子決裁(ITの活用?)
自治体の役所文化は紙文化と言われることがありますが、未だ「決裁書類に押印するために出勤している」、「電子決裁なのに相変わらず紙で印刷して押印」、という光景を目にします。では、どのように業務の効率性の向上を図れば良いのでしょうか。
ICTの活用による業務の効率性の向上
内部統制の目的の一つは、業務の有効性と効率性を向上することです。ICT(Information and Communication Technology)の活用として、例えば電子文書管理システムの電子決裁機能には、執務場所を選ばないというメリット(利点)があります。これにより、リモートワークも促進され、職場まで移動せずとも業務遂行が可能となり、効率性の向上が図られます。
ICTの活用による業務の有効性の向上
紙の決裁では誰がいつ決裁したかについて、決裁文書を確認するまでわかりません。また、決裁者や決裁日付についても、印鑑があれば決裁者でなくとも押印可能であったり、事後的に記入することが可能であるなど、正確な決裁者や決裁日付がわからない場合があります。
ITを用いることで、実際にシステム処理した者や日付が明らかになります。正確な決裁者や決裁日付が明らかになることで、権限を有しない者が処理することを防いだり、決裁されていないものが実行されてしまうこと(事後決裁)を防いだりすることができます。加えて、決裁がどこで止まっているかをタイムリーに確認することもできるので、決裁処理をスムーズに進めることもできます。
ICTの活用に伴うリスク
ICTの活用には多くのメリットがあり、ICTを活用すること自体も内部統制です。しかし、リモートワークの進展に伴い情報漏洩やデータの喪失等のリスクが高まります。このためにICTを適切に管理することも内部統制です。
例えば、自宅の私物PCから職場のPCにアクセスする際には、情報セキュリティの観点から2段階認証等が用いられるようになっています。また、職場PCを自宅に持ち帰るようになれば、紛失等のリスクが想定されるため、遠隔操作でデータを消去できるリモートワイプ機能が導入される場合もあります。
ICTの活用による行動様式の変化
慣れ親しんだ押印文化から脱却することは容易ではないかもしれません。また、これまでにないリスクに対する備えも必要となります。しかし、「ICTへの対応」は業務の効率性と有効性の向上が期待されるところです。内部統制の観点から、行動様式の変革を考えてみてはいかがでしょうか。
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