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ベトナムで発生した不正には、どのような特徴があったか?
APリスクアドバイザリー ニュースレター(2021年12月1日)
ベトナムにおける不正の特徴
ベトナムは東南アジア諸国の中でも親日国として知られています。ベトナム人は勤勉というイメージもあり、日系企業にとって投資先として有望視されています。ベトナムという国において、不正が横行しているイメージはあまりないかもしれませんが、ビジネスにおける不正が現実に発生していると筆者は認識しています。本記事では、ベトナムにおける不正にはどのような特徴があるのか概観します。
ベトナムに限らず、東南アジア諸国では不正が一定の頻度で発生しており、中には不正に受け取った金銭を個人のポケットに入れる傾向も見受けられます。中でも、筆者が認識する限りでは、ベトナムでは不正に入手した金銭を複数人で分配する傾向があり、複数人が共謀して不正を行うケースが多いという特徴が見受けられます。このようなベトナムで横行する不正の特徴を考慮した内部統制を構築しない限り、不正の防止・発見が大変困難な状況にあると考えられます。
コンプライアンスに厳しい日本人のマネジメントであっても、ベトナムで不正を防止・発見することは簡単ではありません。その最大の理由のひとつとして、言葉の問題があります。ベトナム語は他の言語と比較しても発音が複雑であり、ベトナム人による現地語での会話を理解することは、多くの日本人にとって難しいと考えられます。また、賄賂等の金銭の授受が不正行為と認識されておらず、手数料の受け渡し程度と思われているケースも多いため、不正を予防することは容易ではありません。
不正事例の紹介
例として、金融機関が関与していた不正事例をご紹介します。
工場経理担当者が、会社の余剰資金を金融機関に預ける際、その預金額に応じて支払われる利息の一部を個人的に受け取っていた事例がありました。このケースにおいて、会社はベトナムドンでの預金額に応じて市場金利とほぼ同額の利息を受け取っていましたが、実際に金融機関から支払われる利息は市場金利より高く、市場金利との差額がプロモーションとして工場経理担当者の個人の銀行口座に当該金融機関から振り込まれていました。金融機関と会社との金銭消費貸借契約書上の金利は、実際に会社が受け取っていた金利と同一であったため、日本人マネジメントは、工場経理担当者が別途利息の一部を受け取っている事には全く気付いていませんでした。コンプライアンスが比較的厳しい日本では、金融機関が利息のキックバックを行うことは考えにくいですが、ベトナムでは日本と比較すると高い預金金利(5%~8%程度)が不正の要因になることがあります。この事例で紹介した日系企業では数年に渡り、多額のプロモーションが工場経理担当者個人の口座に振り込まれていたことが明らかになりました。
この不正事例は、日本本社側に内部通報制度を通じた報告があり発覚に至っています。その内部通報によると、当初は工場経理担当者が金融機関から受け取った金額を他の従業員数人と分け合っていたのですが、そのうちの一人が仲間割れで退職した際に内部通報を行ったことが発覚のきっかけとなりました。
このような不正事例を防止・発見するためには、以下に記載する有効な内部統制を構築、運用する事の他、定期的な不正ヘルスチェック(内部統制のレビュー)や、ベトナム人従業員へのコンプライアンス研修が有効と考えられます。詳細についてはデロイト トーマツ グループのプロフェッショナルまでお問い合わせください。
本稿に関連するデロイト トーマツ グループのサービスのご紹介
カテゴリー |
サービス |
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不正関連 |
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内部統制関連 |
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著者:原田 潤一
※本ニュースレターは、2021年12月1日に投稿された内容です。
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