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フィリピンにおけるプラスチック包装に関する企業の責任拡大
APリスクアドバイザリー ニュースレター(2022年10月4日)
2022年7月下旬、フィリピンで生産者責任拡張法(Extended Producer Responsibility Act: EPR法)が制定されました。この新しい法律は、製品に活用されるプラスチック包装に関する責任を企業に対して課すことで、プラスチック汚染を抑制することを目的としています。
EPR法は、総資産が1億ペソを超える大企業に適用され、零細企業や中小企業は規制を遵守することが強く奨励されています。
1) 対象となるプラスチック包装
本法律が示す「プラスチック包装」とは、輸送・流通・販売のために商品を運ぶ・保護する・包装するために使用されるプラスチックを指します。これには以下が含まれます。
- 単層または他の材料との多層を問わず、個包装、ラベル、ラミネート、およびその他の軟質プラスチック。(例)シャンプーや麺類に使用されるプラスチック包装
- カバーや蓋等を含む硬質プラスチック包装(他の材料と層になっているものも含む)。(例)飲料や化粧品に使用されるボトル
- カトラリー、プレート、ストロー、看板等の 硬質プラスチックの販促品
- 使い捨てプラスチック袋
- 硬質ポリスチレン(例:取り出し容器)および発泡ポリスチレン(例:カップ、包装フォーム)
但し、プラスチック製の製品は本法律の規制対象外です。
2) 企業の責任
法律の対象となる企業は、年間プラスチック包装の量を計算し、法に規定される転用目標に基づいてこれらのプラスチックを回収および転用する計画を立てる必要があります。
2023年末までに前年のプラスチック包装量の20%、2024年末までに40%、2028年以降は年間10%増やし、最大80%までプラスチックを回収・転用することになります。本法が成立してから6ヶ月以内にEPRプログラム計画を策定し、National Solid Waste Management Commission(国家固形廃棄物管理委員会)に登録する必要があります。これらのプログラムに起因する費用は、年間総所得から控除可能です。
さらに、企業は、Department of Environment and Natural Resources(環境天然資源省)が定める基準に基づいて、プラスチック包装量、回収されたプラスチック量、回収率、およびEPRプログラムへの準拠を含むコンプライアンスレポートを毎年提出する義務を負います。
プラスチック回収・転用計画には、次のものが含まれます。
- 償還、買い戻し、またはプラスチック廃棄物の高い回収率とリサイクル率をもたらすその他の回収スキーム
- リサイクルやその他の持続可能的な方法
- プラスチック廃棄物の適切な処理・処分場への輸送
- 沿岸部や公道などに流出したプラスチック廃棄物の清掃
- 商業・工業規模のリサイクル・熱処理・廃棄物転用・処分施設の設置
- 地方自治体、コミュニティ、インフォーマル廃棄物セクターとのパートナーシップによるプラスチック廃棄物の回収
3) ペナルティ
EPRプログラムを登録していない企業、または転用目標を達成できなかった企業には、罰金が科せられます。
- 1回目の違反 – 500万~1,000万ペソの罰金
- 2回目の違反 - 1,000万~1,500万ペソの罰金
- 3回目の違反 - 1,500万ペソ~2,000万ペソ以下の罰金および遵守するまでの営業許可の停止
企業が転用の基準を満たさない場合、上記の罰金、または遵守に必要な量のプラスチックの回収・転用するコストの2倍の罰金のどちらか高い方を支払います。
デロイトフィリピンの関連サービス
デロイトフィリピンでは、上記のEPR法の対応支援だけでなく、サステナビリティや気候変動に関する各種リスクアドバイザリーサービスを提供しています。サービス内容の詳細は、下記リンクでデロイトフィリピンのサービス内容をご確認いただくか、デロイト トーマツ グループのプロフェッショナルにお問合せください。
【Sustainability and Climate | Deloitte SEA】(英語)
本記事は、2022年7月25日にマニラタイムズ紙に掲載されたデロイトフィリピンによるコラム記事である「The EPR Law takes on the Philippines' plastic problem」をもとに執筆しています。
詳細は各拠点デロイト トーマツ グループ担当者までお問合せいただけましたら幸いです。
著者:Bonar Laureto, Risk Advisory Director — Deloitte Philippines
※本ニュースレターは、2022年10月4日に投稿された内容です。
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