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今こそ必要なソフトウェア資産管理

リモートワークによりリスクが急激に増加  

組織のビジネス活動において、ソフトウェア製品の利用は生産性の向上や新規ビジネスの創出等様々な恩恵を与えている。しかし、これらソフトウェアの使用状況が可視化されておらず、適切に管理できていない場合、多くのリスクが顕在化する可能性がある。

ソフトウェア管理が出来ていない場合の主なリスク

昨今のIT環境の複雑化に伴い、リスクが増加傾向にあったが、COVID-19によるリモートワーク環境の導入等、短期間でドラスティックにソフトウェア利用環境が変化したため、以前よりも急激にリスクが増している。また、一部のデバイスやソフトウェア製品に限定したソフトウェア資産管理(SAM:Software Asset Management)の取り組みになっている組織では、IT投資管理やIT資産管理や脆弱性管理等のIT管理に活用できず、経営層からは費用対効果が低く、重要性の低い取り組みと判断されてしまうことがある。

しかしながら、ソフトウェアの使用状況が可視化されておらず、適切に管理できていない場合、次のようなリスクがあることを認識しなければならない。

  • ソフトウェアライセンス違反等のコンプライアンスリスク
  • 利用しているソフトウェアの現状を把握できず、適切なセキュリティ対策がとられていない等のセキュリティリスク
  • 余計なIT資産を購入してしまう等のコストリスク

これらリスクの低減には、網羅的かつ継続的にソフトウェア使用状況を把握するとともに、識別された課題を適正化することが必要である。この取り組みはリスク低減のみならず、遊休ライセンスの有効活用や不要なライセンス購入防止、システム構成見直しによるライセンス費用の最適化といったコスト低減効果も得ることができる。

一方、このSAMの取り組みは、工数負荷に加え、ソフトウェア使用許諾条件等の専門性も必要となるため、自社ですべてをまかなうことは容易ではない。

 

SAMの取り組みに向けたポイント

SAMの取り組みには、大きく2つのポイントがある。1つ目はテクノロジーの活用による効率化である。インベントリデータ収集機能やコンプライアンス分析機能を実装したSAMツールの導入や他システムとの連携等により、手動で実施している作業を自動化することで効率を向上させるアプローチである。

2つ目は、専門家の活用による高度化である。ソフトウェア使用許諾権の知見やSAM運用のノウハウを持つ専門家を活用することで、1つ目のSAMの効率化に加え、ライセンス契約や調達の見直しや保有ライセンスの有効活用等、ライセンス最適化(コスト削減)も実現可能なSAMとなる。近年はこれらを組み合わせたSAMマネージドサービスも普及しつつある。
 

SAMツールによるSAMプロセスのイメージ

SAMツールによるSAMプロセスイメージ
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SAM運用プロセスとプロセス分担のイメージ

SAM運用プロセスとプロセス分担のイメージ
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リモートワークが広まり、IT環境がより複雑になった今こそ、適切なSAMにより、IT資産・運用コストの削減や脆弱性管理によるサイバーセキュリティ対策の強化、社内リソースを高度な領域への分配等、IT投資をビジネスニーズに合わせていくことが肝要である。

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