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内部監査に自動化を導入する

ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)とコグニティブ・インテリジェンス(CI)を利用して第3の防御線を強化する

自動化時代の幕開けとともに、高度なテクノロジーを内部監査機能に組み込む機会が到来しています。内部監査部門は、規模の大小にかかわらず、従来のアナリティクスの利用を拡大することによってすでに自動化の世界に踏み込んでおり、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)、コグニティブ・インテリジェンス(CI)などを導入し始めています。本稿では、自動化技術が急速に進歩し、早期導入事例がその効果を実証している今こそ、内部監査組織が監査プロセスの自動化へと踏み出すときに実行すべき3つの主要なステップを解説しています。

既存概念を破壊する自動化技術

デロイトの定義によると、「自動化のスペクトル」は、非常に幅広いデジタルテクノロジーから成り立っています。データ統合や視覚化のための予測モデルやツールから、人間の挙動を模倣するコグニティブ(認知)要素を取り込んだ高度なテクノロジーまであります(図1を参照)。

多くの内部監査組織は、この自動化のスペクトルの最初の部分についてはよく理解しており、すでに、基本的なデータ統合/アナリティクスの工程を確立して、リスク評価、往査、報告書作成などのプロセスを改善しようとしています。そのような組織はこのスペクトルに沿ってそれぞれの歩みを進めていますが、一部の組織は、すでにRPAを特定のCIツールと組み合わせて採用し始めており(まとめて「RPA&CI」と言います)、効率と効果の増大、処理能力の拡大、質の向上、そして監査範囲の拡大に役立てようとしています。機械学習と人工知能(AI)は、スペクトルの先端に位置しており、このレベルのデジタル成熟度まで到達している組織はまだ少数しか存在しません。しかし、この状況は急速に変化しています。このテクノロジーの能力が実証されるにつれ、近い将来、内部監査へのコグニティブテクノロジー導入は拡大していくでしょう。一部の内部監査組織は、人工知能(AI)を利用したパイロットプロジェクトにおいてすでに成果を上げており、新たなリスクを積極的に予測することでリスク評価に役立てています。内部監査部門がこのスペクトルの最先端部分まで踏み込み始めている今、自動化の未来はもう現実になろうとしているのです。

 

内部監査に自動化を導入する(PDF, 1.89MB)

図1 自動化のスペクトル

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自動化を組み込むメリット

内部監査が自動化機能を監査ライフサイクル全体にわたって活用できる方法は数多く存在します(図2を参照)。例えば、リスク評価、監査計画、往査、報告書作成などです。自動化技術への投資が、監査プロセスの効果と効率を高め、より多くの洞察を事業部門に提供することで、どのようにプラスの効果をもたらすかの事例を紹介します。

希少なリソース利用の効率化。自動化は、手作業の活動に取って代わることで、チームに余力を生み出すため、各メンバーは、品質保証審査、例外管理、プロセス改善、対人的なやり取りなど、より価値の高い活動に注力することが可能となります。さらに、このような付加価値のある活動へ集中的に取り組むことで、内部監査業務の有効性が向上し、ビジネスの変化とそれに伴う影響に即座に対応することが可能になります。

効率の増大とコストの削減。RPA&CIは、24時間休みなく働いて、監査業務をより速いペースで実行できます(多くの場合、手動プロセスより90%以上速くなります)。自動化は、時間がかかる手作業を減少させることで、大きなコスト節減を生み出すことができます。

より質の高い成果物。RPA&CIにより、より均一かつ効率的に作業を実行できるようになります。それに加えて、結果のトレーサビリティも高まります。プロセスが標準化されることにより、手作業のミスが起こる可能性が減少し、監査の正確性と質が向上します。ミスが発生したときは、手作業に起因するかどうかに関係なく、体系的なプロセスによりミスを速やかに検出、修正できます。

ビジネス価値の増大。ほとんどすべての内部監査組織が、保証と適用範囲を拡大しようと努めています。RPA&CIは、内部監査が統計的なサンプリングによる試査から全数検査による精査へと移行できるようにすることで、この目標への歩みを前進させます。このようなテクノロジーによって検証の頻度を増やすこともでき、また多くの場合、継続的監査モデルに移行してタイムリーな洞察を事業部門に提供することも可能となります。テクノロジーが進歩するにつれて、ビジネス価値もそれと連動して増大することが期待され、先を見越した洞察と分析を報告書に盛り込むことができるようになるでしょう。

 

図2 高度アナリティクスと自動化を内部監査全体にわたって活用する

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