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環境変化に対応した組織構造へのシフトと人的資源(リソース)の最適化【後編】

リソース最適化推進へのアプローチとそれをサポートするCorporate as a Service(CaaS)

前編では人的リソースを有効活用する施策としてシェアード・サービス・センター(SSC)やビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)の導入の検討ポイントや懸念点について紹介しました。今回はリソース最適化を推進するための構想策定の進め方とデロイト トーマツ グループが提供するCorporate as a Service(CaaS)をご紹介します。

リソース最適化 推進に向けてのアプローチ(構想策定)

昨今のデジタル化・オンライン化の加速、労働市場の多様化、労働力の減少に対応するため、人的資源の有効活用(リソース最適化)が求められています。

リソース最適化の推進にあたっては、あるべき姿(将来どのような組織構造を目指すのか)を実現するために、どのようにアウトソース手段を活用するかを検討する必要があります。具体的には以下のステップで進めます。

① 現状調査

リソース最適化の検討対象について組織体制、人員、ルール(規程等)、業務プロセス、使用システム等を把握します。

次に組織内の担当者へのインタビュー等を通じて業務内容、業務の頻度(日次/月次/年次等)、業務タイプ(定型/非定型業務)等を把握し、業務内容を整理・構造化した業務リストを作成します。

業務リストに記載の各業務詳細についての工数(作業ボリューム)を調査し、検討対象部署の業務内容・業務量を整理・分析します。

 

② あるべき姿の定義

リソース最適化を実現するための方針策定として、アウトソースをどのように活用するのか、対象とする業務は何か、アウトソースを実施した後、どのようにリソースを活用するかを検討します。

アウトソースの活用方針は、将来目指す組織体制を実現できるよう、これまで述べてきたアウトソース手段の特性を踏まえて検討する必要があります。

活用方針に基づきアウトソース対象業務・業務工数を整理し、アウトソース後の組織体制・必要人員数、人員活用方針(リスキリング、配置転換等)を整理します。

また、アウトソース活用後、デジタルテクノロジーを活用したより効果的・効率的なプロセス案の策定もこの段階で実施します。

 

③ 変革の合意形成

前工程で整理したあるべき姿を実現した場合、現状と比較してどの程度の効果が見込めるのか(アウトソースを実行すことによるコスト削減効果や組織構造の変更による定性的な期待効果)を試算します。

また、あるべき姿を実現するために投資が必要となる場合、投資項目や投資額の概算についても試算し、費用対効果を確認します。

期待効果が十分見込めることを確認し、あるべき姿を実現するための実行計画(ロードマップ)を策定し、実現にあたっての前提条件等、実現シナリオを整理し、関係各者との合意形成を図ります。

 

Corporate as a Service(CaaS)のご紹介

前編において、人的リソースを有効活用する一般的な施策として社内・グループ企業内で業務を完結させるシェアード・サービス・センター(SSC)、外部へアウトソースするビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)について、それぞれの内容及び課題)について説明しました。

ここで、SSCやBPOでは解決が難しい課題への対応として、デロイト トーマツ グループが提供するCorporate as a Service(CaaS)を紹介します。

CaaSとは、バックオフィスの多様な課題解決のため、デロイト トーマツ グループが有する会計やリスクマネジメントの専門性、デジタルアセットやオペレートセンターを活用し、課題収束、機能の安定化、業務の変革および運用(オペレーション)を一体でサポートするサービスをいいます。

昨今の企業は以下のような課題を抱えています。

  • 人件費高騰、インフレによるコスト増加の中、株主からは販管費削減を求められる
  • 脱炭素化等新規制に対応できる専門性の高い人材が必要となる一方、人口減や雇用流動化により、人材確保が困難
  • 人材確保・コスト削減を解決するためにBPO/SSCを活用するが、BPOでは専門性の高い業務への対応が難しく、SSCの立ち上げにはコスト・時間がかかる

これらの課題を解決する手段として、デロイトトーマツグループとして、企業の経理部門や情報システム部門を中心に「アドバイザー」ではなく、「同じ船に乗り、ともに進む、変革のパートナー」として①目指す姿の具体化、②変革の実現、③オペレーション運用、までを同時に行うCaaSを提供しています。

部門別サービス紹介

コーポレート部門の多様な課題を解決する「Corporate as a Service」
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/risk/solutions/or/corporate-as-a-service.html

 

CaaSの運用拠点(CaaS Operate Center MAEBASHI)

CaaSの運用を行う拠点として、デロイト トーマツ グループが前橋市とともに解説した地域イノベーション拠点「MAEBASI Social Innovation Hub」内に「CaaS Operate Center MAEBASI」を設置しています。

Operate Centerではデロイト トーマツ グループの多様な専門性を生かし、これまで外部委託が難しかった判断・意思決定を伴う非定型業務や規制対応等による新たな業務の受託も可能です。

アウトソースを活用することで労働余力が創出され、人的リソースをより効率的に配分することが可能となります。結果、組織の柔軟性を高め、変化する市場環境に迅速に対応する能力の強化につながります。企業が核となるビジョンに集中し、持続可能な成長とイノベーションを推進するために、人的リソースの最適化を検討してみてはいかがでしょうか。

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