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「デジタル時代における広告投資見える化セミナー」開催報告レポート

2019年2月15日開催

有限責任監査法人トーマツは、2019年2月15日に「デジタル時代における広告投資見える化セミナー ~「広告取引に関する広告主実態調査」からみる広告投資管理の課題と透明性向上に向けた要諦」を開催しました。本ページでは、開催レポートとして講演内容のサマリーをご紹介します。

講演サマリー

ご挨拶

有限責任監査法人トーマツ 
監査・保証事業本部 ビジネスアシュアランス担当 
パートナー 豊泉 匡範

デジタル時代における広告投資に関する市場の潮流として、企業は広告投資に関して、社外の投資家へ透明性やガバナンスの観点からの説明責任が問われており、社内に対しても投資対効果について、企業戦略・業績の観点からの説明責任が問われている。

有限責任監査法人トーマツ(以下トーマツ)は、このような背景を踏まえて2019年1月より「メディア&アドバタイジング アドバイザリー(Media & Advertising Advisory:M&AA)」という広告投資に関する一気通貫したサービスを4大監査法人の中で初めて提供を開始した。

またトーマツはサービスを提供するだけではなく、「広告取引に関する広告主実態調査」を行い、2019年1月15日にニュースリリースをした。

 

本日はグローバルおよび日本企業の実態を踏まえながら広告投資管理について解説し、本調査の結果のサマリーをご紹介する。

豊泉 匡範

広告投資管理の透明性向上に向けた機運の高まり 日本企業における広告取引の実態 ~「広告取引に関する広告主実態調査」からの問題提起~

有限責任監査法人トーマツ 
リスクアドバイザリー事業本部 新規事業推進
シニアマネジャー 飯塚 香


広告投資において何が求められているか?

「デジタルシフト」が世の中の大きな潮流になっている。広告投資の先も、マスメディアからデジタルにシフトしている中で、デジタル広告費の拡大だけではなく、広告投資におけるガバナンスが問われる動きが加速している。このトピックに対する企業の情報ニーズが高まっていることから、本セミナーの開催に至った。

本セッションでは、トーマツが実施した「広告取引に関する広告主実態調査」の結果を基に解説する。

 

「広告取引に対する広告主実態調査」の概要

※画像をクリックすると拡大表示します


デジタル広告不正に対する取組を実施している企業は25%に留まる

デジタル広告への投資が加速する中、従来にも増して広告費がどれだけ商品の売上高等に寄与したかという投資対効果を厳しく追及する傾向にある。調査結果から見ても、今まで以上に広告投資における「広告効果測定の難しさ・不透明さ」「媒体としての信頼性」に対して課題意識を持っていることが見て取れる。また、調査結果から「デジタル広告不正」は78%の企業が認知していることが分かった。

しかし、「デジタル広告不正」に関し、アドベリフィケーションやアドフラウドといった具体的な広告不正の内容については、言葉の意味や仕組み、予防策などまだまだ知られていない状況であり、不正に対する取組を実施しているのは25%の企業に過ぎず、主体的な取組に至っていない実情であった。

さらに、広告投資のガバナンスに関しては、約半数の企業で未整備であることが分かった。

 

日本は他国に比べて広告投資に関する整備が遅れている

世界広告主連盟が発表している指針はあるものの、世界共通とは言えない状況である。米国や英国では、業界団体が広告投資に関するガイドラインを作成しているが、各国独自のものであり、世界共通ではない。

一方、日本においては業界団体自体が存在しておらず、ガイドラインの制定まで至っていない状況である。具体的な日本企業の動きとして、CMOとCFOがタッグを組み、広告宣伝費をコストではなく事業戦略における投資として有効活用する動きが出てきており、それと同時に投資対効果および広告投資に対する透明性に関する説明責任の重要性が高まってきている。

 

広告投資領域において今後日本企業に求められるものは言語の共通化とガバナンス強化

製造業を例として挙げると、設備投資は売上に対して4~5%程度、広告投資も同様に4~5%程度であるにも関わらず、設備投資はコンプライアンスの条件等を非常に厳しくチェックしている一方、広告取引にはガバナンスが一切無いため、企業戦略上のリスクになっている。

リスクにもなり得る広告投資を成長領域として捉えていくためには、これまでのようにマーケティング部門に留まっていては実現が難しい。つまり、「広告投資の効果」をマーケティング部門だけではなく他部門との共通言語としながら、事業のKPI設定として捉えることが出来るようにチャレンジしていくべきである。

 

飯塚 香

グローバルにおける広告投資管理や透明性向上に向けた取組み

有限責任監査法人トーマツ
監査・保証事業本部 ビジネスアシュアランス担当
マネジャー 石田 一秋
 

グローバルにおける広告業界全体が疑心暗鬼になっている?

広告投資の効果測定は永遠の課題と言われている。昨今では、ROI(Return On Investment)こそが最大の効果測定の指標という話もあるが、そもそもROIに使うデータ自体が信頼できるものなのかという課題がある。また広告投資の4割程度が実際にターゲットに届いていないことから、広告業界全体が疑心暗鬼になっている。

 

主要国(英国・米国・中国)の広告業界における特徴および課題と取組とは?

・英国(欧州全体も含)
EU内の業界団体の横連携に関する垣根が低いことが特徴。広告費の割合が日本に似ており、ネット広告費は30%程度。AVB(Agency Volume Bonus)リベートが適切に広告主へ返還されていないことや、適切な投資配分および予算策定がされていない課題がある。

ヨーロッパ広告業団体(The European Association of Communications Agencies:EACA)が透明性向上を推進し、広告代理店も自ら監査が必要と主張し透明性向上に積極的に取り組んでいる。

・米国
デジタル広告費は日本の5倍と新しいテクノロジーへの投資が大きいことが特徴。課題は、メディアプランニングからの逸脱やサービスレベルの未達、効果的・効率的なPDCAが実現できていないことである。

全米広告主協会(Association of National Advertisers:ANA)が、適宜方針を発表し、健全性および透明性を推進しており、2017年10月に行ったデロイト グローバルの調査によると、ガバナンス強化のための内部投資が増加している。

・中国
2015年9月1日に広告表示への規制の法律である「新広告法」が施行。中国企業は自主規制しているケースが多く、広告主はツールを活用して自らデータ分析をしていることが特徴。課題は、代理店を通じて媒体へ広告費用を前払いすることで割引されるという仕組みがあるものの前払費用が媒体にタイムリーに届かず、割引が適用されないケースがある。また、仲介業者が何層も入り不透明な取引になっている。

広告代理店監査が広く一般的に行われており、広告主は監査を通じて広告代理店の信頼性を評価する取組がなされている。

 

日本における特徴と日本企業が抱える課題とは?

日本においては、英国や米国のように権利義務や方針等のガイダンスが作成されておらず、基本契約のみの締結となっていることが特徴。また、海外では盛り込まれている調査権(*)は日本の基本契約書にはほとんど含まれておらず、ブランドセーフティおよび広告品質担保がリスクとなっている。

*広告主が広告代理店に対して、契約内容やコンプライアンスおよび広告パフォーマンスを調査するための権利

マーケティング部門が抱える課題は、効果測定が属人的で部門間でKPIが統一されていないことや、グループ会社間で統一したKPIが測定されていないことである。これにより、「ガイダンス策定」「KPI策定」「グローバル基準のガバナンス策定」が必要となっている。

一方、ファイナンス部門が抱える課題は、業務の委託内容や広告投資に対する資金の流れが不明瞭であるために、請求内容がチェック不能になっていることである。これにより、「管理体制の構築」が必要となっている。

 

このような中でCMOには何が求められるのか?

CMO(Chief Marketing Officer)の役割・期待に変化が出ており、以下3つのカテゴリーに分類されている。

・Operative CMO:マーケティング実務を担う
・Strategic CMO:経営戦略の方針を基に、マーケティング戦略と効果測定の検討を担う
・Top management CMO:経営目線の戦略を担う

半数以上のCEOが求めている役割は「Strategic CMO」と「Top management CMO」だが、実態は「Operative CMO」が多いことから、CEOの期待とCMOの能力に乖離が出ている。

またCMOには、今後ガバナンス強化の能力も必要とされる。日本においては、「広告費用」から「広告投資」という言葉が使われるようになっているように、ROIの説明責任が問われ始めている。

 

広告投資管理には3つの方向性が必要

トーマツでは3つの広告投資管理の方向性が重要であると考えている。

・長期的な戦略的目線
・関係強化および信頼性の向上
・グローバルスタンダードへ

トーマツは上記3つの方向性を重視した広告投資に関するアドバイザリーサービスを2019年1月より提供開始した。

 

具体的なアプローチ方法の例

※画像をクリックすると拡大表示します

「広告取引に関する広告主実態調査」調査レポート抜粋版

本セミナーでご紹介した、「広告取引に関する広告主実態調査」の調査レポート抜粋版をダウンロードいただけます。

調査レポート抜粋版をご覧になりたい方は、下記よりPDFをダウンロードしてください。

石田 一秋

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